2009年06月05日

「Relapse」 EMINEM

ダイエットの方も何とか間に合ったみたいです。



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EMINEMのニューアルバム「Relapse」。

復帰1作目となる本作。全英、全米、そして日本のチャートで初登場1位ということで、いかに待たれていたかがよく分かります。

音楽界に復帰していく現在の自分の心境を語るスキット「Dr. West」から、Eminemらしい暴力描写を交えて本編へと入っていきます。前半では、以前のアルバムに見られた暗い雰囲気は控えめになっており、より音を厳選し、完成度を高めたトラックが並んでいます。それでも歌詞は相変わらずで、「Bagpipes From Baghdad」では元彼女のMariah Careyとその夫Nick Cannon、「Same Song And Dance」ではLindsay LohanとBritney Spearsが標的にされています。「We Made You」のPVでも、数多くのセレブがしているが話題をさらい、相変わらずの姿勢を見せ付けてくれます。

「Stay Wide Awake」から始まる後半は、これこそが誰もが知っているEMINEMといった感じの曲が並びます。「Old Time’s Sake」、「Crack A Bottle」では本作でもプロデューサーを務めているDr. Dreとのデュエットも聴けます。

驚いたのが、PAUL RODGERSの「Reachin’ Out」をサンプリングした「Beautiful」。こんな繊細なバラードが聴けるとは予想していませんでした。以前も「Sing For The Moment」でAEROSMITHの「Dream On」をサンプリングしていた事が話題になりましたが、彼は意外と70年代Hard Rockに造詣があるんですね。ちなみにこの曲は、再結成QUEENのライブでのオープニング曲でもありました。この曲から続けて始まった「Tie Your Mother Down」のあまりの格好良さが、Paulを迎えた再結成の正当性を証明していました。

なお、年内に早くも続編となるアルバム「Relapse 2」が発表予定だそうです。NINE INCH NAILSやU2もそうですが、近年は短いスパンに複数枚のオリジナルアルバムを発表するのがトレンドみたいですね。

個人的なことですが、EMINEMを聴くと思い出す友人がいます。2005年、引退を表明したEMINEMがラストツアーを発表し、そのLondon公演を仲の良いチュニジア人のラッパーと一緒に観に行こうと、チケットを取ったのでした。しかし、直前にツアーはキャンセルになり、その直後に今度はその友人にビザの問題が生じ、急遽母国へ帰らざるを得なくなってしまったという事態に。

彼とはそれ以来、会えずにいます。彼もまた、このアルバムを遠く離れた場所で聴いているんだろうかと思うと、何とも言えない気持ちになりました。
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2009年06月04日

「21st Century Breakdown」 GREEN DAY

Londonの街中でよく見た様なジャケットです。



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GREEN DAYのニューアルバム「21st Century Breakdown」。

Punk Rockの内外問わず空前の成功を収めた前作「American Idiot」が諸刃の剣となって5年。未来の彼等を想い邪念を払拭する為にも、次は全く違うものを持ってくるだろうと思っていました。

しかし、蓋を開けてみれば、本作は「Heroes And Cons」、「Charlatans And Saints」、「Horseshores And Handgrenades」の3章から成るコンセプトアルバム。僕の憶測は、根本から外れました。本作は、前作のストラクチャーを忠実に継承し、さらに展開させています。

語りかける様に始まるオープニングの「Song Of The Century」、タイトルトラックの「21st Century Breakdown」。 ”Americaよ夢を抱け” とまで歌う様になった彼等の姿を、GREEN DAYを一過性のものとして見下していた1994年のメディアが見たら何と言うでしょうか。

本作のプロデューサーはButch Vig。NIRVANAの「Nevermind」やTHE SMASHING PUMPKINSの「Gish」等を手掛けたプロデューサーです。Billy Joe Armstrongの頭の中には、THE WHOの「Quadrophenia」、PINK FLOYDの「The Wall」、THE CLASHの「Sandinista」があったに違いありません。これは彼なりの、Rockの歴史への挑戦です。GREEN DAYの骨格はそのままに。

「Know Your Enemy」、「Murder City」等は昔ながらのGREEN DAYらしいキャッチーな曲。「Restless Heart Syndrome」、「21 Guns」等は前作を経たGREEN DAYならではのドラマチックな曲。そして、後半の「American Eurogy」は前作への返答。作中を通して、ギターのスイッチ奏法がモールス信号となり何度も繰り返されます。何かの暗号かも知れません。

こういうアルバムを前にしては、どうしても堅い事を考えがちですが、曲のクオリティー、親しみやすさ、途中でPATTI SMITHの「Gloria」が聴こえてくるといった愛嬌は以前のGREEN DAYと何ら変わりはありません。

僕の中のGREEN DAYは3人ですが、このアルバムを作ったGREEN DAYには何人いるんでしょう。唯一、このアルバムに難癖をつけるとしたらそこでしょうか。

キャパシティー10万人のスタジアムで3コードの曲を堂々と聴かせるのも、Punk Rockですよね。

安心してください。本作を聴いて、決して残念な感想は抱きません。そこが一番素晴らしくないですか。何度も言う様ですが、あの後にこれですよ。
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2009年05月28日

「Page By Page」 高橋幸宏

早くも次の動向が気になります。



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高橋幸宏のニューアルバム「Page By Page」。

時を同じくして坂本龍一もニューアルバム「Out Of Noise」を発表していましたが、高橋幸宏もまた負けじと多忙な人。ここ3年だけでも、SADISTIC MIKA BANDの再結成、YELLOW MAGIC ORCHESTRAの再結成、自身の新たなバンドPUPAのデビュー、そして、今度はソロです。

ゲスト参加しているLALI PUNAのValerie Trebeljahrとのデュエットを聴かせる「Out There」に始まり、心地良い楽曲が並びます。昨年PUPAのデビューアルバム「Floating Pupa」を発表したばかりですが、本作はそちらと同時進行で制作されたものだそうで、音像はかなりリンクしています。

本作には、小山田圭吾、高田蓮、権藤知彦、Steve JansenといったYELLOW MAGIC ORCHESTRAを囲むレギュラーメンバーの他、前述のLALI PUNA、SIGUR ROSのコラボレーターとして知られるAMIINAといった豪華なゲストが多数参加しています。

AMIINAのストリングスに導かれる「The Words」、小山田氏のギターでRock然とした雰囲気の「Emerger」等、様々な楽曲が並びます。「Atomic Chicken Dog」には思わずにやけてしまいました。初期YELLOW MAGIC ORCHESTRAそのままのかわいい曲です。そして、それに続くのはTHE BEATLESのカヴァー「You’ve Got To Hide Your Love Away」。かつてYELLOW MAGIC ORCHESTRAが「Day Tripper」をカヴァーした様に、彼の歌うTHE BEATLESは長年のファンを嬉しくさせてくれます。

近年のYELLOW MAGIC ORCHESTRA、そしてPUPA同様、電子音で構成されたメロディーの中に絶妙なタイミングで生の楽器が入っています。権藤氏はトレードマークのユーフォニウム、高田氏は今回はマンドリンとブズーキを演奏。

爽やかな感じのまま聴き終えるかと思いきや、悲しくなってしまうくらい叙事的なクライマックスを迎える「Valerie」がラストに。憎いですね。

それにしても、高橋氏のヴォーカルはとても心地良い。YELLOW MAGIC ORCHESTRA以降、世界中で彼のヴォーカルにヒントを得たミュージシャンが登場しました。彼のヴォーカルはそれだけセンセーショナルだったのです。僕も初めて聴いた時は、テープの逆回転かと思いましたし。

ちなみに、高橋氏は映画「20世紀少年 第3章」にケンジのバンドのベーシスト、ビリー役で出演する事が発表されました。そうです、あの焼鳥屋の店主です。
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2009年05月27日

「4:13 Dream」 THE CURE

真似したい髪型です。



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THE CUREのニューアルバム「4:13 Dream」。

冒頭から、A PERFECT CIRCLEみたいな「Underneath The Stars」、SPITZみたいな「The Only One」、THE SMASHING PUMPKINSみたいな「The Reason Why」、といった印象を受けました。つまり、裏を返せば実に多くのミュージシャンがこのTHE CUREにヒントを得て今日の音楽を作っているということなのでしょう。

オープニングからとても暗く悲しいメロディーだったので、「Disintegration」の頃の様なアルバムになるのかと思いきや、とてもキャッチーでバラエティー豊かな楽曲が並んでいます。前述の通り3曲目までが素晴らしいのに、4曲目の「Freakshow」がその名の通り少々ふざけた曲なので、ここでリセットされてしまいました。しかし、どんな曲でもRobert Smithのヴォーカルが入ってくると即座にTHE CUREなんだなと納得させられる、独特のメロディーラインは健在。

フォロワーに分配したものが育ち、世に出て行くのを確認し、再び自らのインスピレーションとして取り込む。そんなTHE CUREはHeavy Metalで例えればJUDAS PRIESTの様な存在だとふと思いました。この様に、過去NIRVANAとPEARL JAMの関係を吉田拓郎と井上陽水の関係に例えた事もありましたが、別のジャンルから例えを持ってくると個人的に分かりやすくなるので良く使います。しかし、JUDAS PRIESTとTHE CUREの両方を好んで聴く人というのは変人以外の何者でも無いと思うので、この例えが多くの人に伝わらないのは残念です。

電子音とギターが今まで無かった使われ方をしている「Switch」。そしてラストの「It’s Over」もまた、Hard Rock然としていて従来のTHE CUREらしからぬ曲。復活や原点回帰といった印象を与えようと意図された前作「The Cure」を経て、今また次のステップへ向けての試行錯誤の段階に入ったのです。

歓喜する姿、苦悩する姿、THE CUREの音楽はRobertの様々な側面を映し出す、とても人間的な媒体です。どんなにキャッチーであろうと、コード進行がメジャーであろうと、悲しく聴こえるTHE CURE。それは、誰よりもポジティヴな方向を見据えているからこそ。

儚くて脆い。そんな印象を受ける反面、30年という活動歴を誇るTHE CURE。

Robertが何度THE CUREを終わらせようと決意しても、結局やめられなかったのは、THE CUREを愛し続ける世界中のファンと、その愛に誰よりも忠実であり続けたRobertとの間にはたらくインタラクティヴな意思こそが、THE CUREの実体だからなのでしょう。
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2009年05月25日

「Sounds Of The Universe」 DEPECHE MODE

今年最も待ち望んだアルバムかも知れません。



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DEPECHE MODEのニューアルバム「Sounds Of The Universe」。

本作も20ヶ国のチャートで初登場1位を記録と、相変わらずの世界的人気を誇る彼等。静かに始まるオープニング「In Chains」、それに導かれる決意表明の様な「Hole To Feed」、キャッチーな先行シングル「Wrong」。Dave Gahanのセクシーな歌声と厳選された電子音。素敵です。

僕には常に、同性愛、バイセクシャル、中性的な存在というものに惹かれる傾向があります。聴覚的にも視覚的にもDave がとにかくセクシーで、僕はこのバンドを好きになっていきました。僕がシンパシーを覚えるミュージシャンには、このDEPECHE MODEをはじめ、R.E.M.、MORRISSEY等、同性愛のアイコンが多く存在します。ただ、DaveやMorrissey等、当の本人はハイプである場合がありますが。Europeに住んで、最も思考を変革させられたのはここかも知れません。

まさにこれがDEPECHE MODEと言うべき「In Sympathy」、スペーシーで頽廃的な「Come Back」。予定調和と言われればそうかも知れませんが、待ち望んだ通りの音がここにありました。

彼等の音楽には、常に ”新しい” ということがデフォルトとして設定されています。今回のニューアルバムにしてみても、下手すれば前時代の遺物と捉えられかねないこの80年代サウンドが、2009年の今、嘘みたいに新しく聴こえます。それまでの音楽が次々と血祭りにあげられた90年代のGrungeによる革命に於いても、処刑台に上げられるどころか崇められた彼等。変革期に時代を味方につけたミュージシャンには、ある種の知覚が授けられるのでしょうね。

サウンドは相変わらず暗いですが、何処か前向きです。前作「Playing The Angel」は反抗心が見え隠れしていたパンキッシュなアルバムでしたが、本作は彼等自身に対して向き合っている、素直な印象を受けます。

その昔、彼等の代表曲「Enjoy The Silence」を聴いた僕は、ある発見を導きました。それ以来、僕が執るコミュニケーションの形は、全てこの歌詞に倣っていると言っても過言ではありません。

そんな普遍的なメッセージと、ファンを裏切らないサウンド。今回のニューアルバムは、啓蒙されたあの日のままのDEPECHE MODEを聴く事が出来ました。

しかし、油断しているとまたこの先、「Music For The Masses」や「Exciter」みたいなポピュラリティーを無視した実験的なアルバムを発表されてしまうかも知れません。そんなスリルを忘れさせないのも、彼等の罪なところです。
posted by Yoshitaka at 04:44| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月05日

教授の外出

1人でいるのを見るのは久し振りです。



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坂本龍一のニューアルバム「Out Of Noise」。

このブログもそうなのですが、メディアは常に ”今度のニューアルバムは何年振りに発表されたか” について言及したがりますよね。今回の坂本氏のニューアルバムは5年振りということで、あの「Chasm」からもう5年か、と思ってしまいました。しかし、この5年、彼は手を休める事を殆どしなかった様に思います。ALVA NOTOのと共作「Insen」、FENNESZとの共作「Cendre」、それらに伴うワールドツアーに、YELLOW MAGIC ORCHESTRAの2度目の再結成。僕もまた、この5年間ほぼ毎年の様に、ライブでの彼の姿を様々な形態で目にしてきました。

抽象的な「Hibari」で始まる本作は、やはり近年の彼の趣向であるMinimalがベース。ALVA NOTOとの3部作でコラージュの材料として使われたピアノは、断片的な側面を残しつつ具体的なメロディーを辿る様になっています。しかし、それも冒頭だけに留まり、やがては肉声、ヴァイオリン、ペダルスチールギター、笙といったアコースティックな楽器を取り入れ、より有機的な方向へシフトしていきます。

レコーディングには、小山田圭吾、高田漣が当然のように参加。本当に仲が良いですよね。

坂本氏のソロアルバムというものを久し振りに聴いて思った事、それは、彼は結果としてシンフォニックな音楽を体現するのだ、という事。中盤の「Firewater」はまさにそう。「Thousand Knives」、「Neo Geo」、「Life」等、歴史に名を残す彼の作品には必ず根付いていた、あのシンフォニックさ。コラボレーション時には、やはり抑え気味にしていたのでしょう。その分ソロでは容赦無しです。

タイトルの如く、少しずつ輪郭を書き加えていく様に進む本作。終盤の「To Stanford」に辿り着く頃にはもう完全に ”歌” になっています。この曲、少し「Energy Flow」に雰囲気が似ていますね。しかし、キャッチーさが伺えるのはほぼここだけと言って良く、「Undercooled」、「War And Peace」、「World Citizen」とシングル曲が並んだ前作とは対照的です。

日本人で彼の事を知らない人は、まずいないでしょう。しかし、彼が実際にどういう音楽をしているのかと問われると、知っている人は限られています。これがファンにとっては、実に気持ちが良い。彼は、考え得る限りの広さを持つ公共の場に、自身の居場所とアーティストとしての自我を同時に確保する事に成功したのです。

どうでもいい様な日本人ミュージシャンの、冗談みたいな世界進出が多く伝えられる今、真の功労者である彼の音楽は無言のうちに警告をしたため、ここに新たな指標として印されます。
posted by Yoshitaka at 01:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月04日

本当は21個

いつまでも失われない若さと、譲らない職人芸が同居しています。



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PAUL WELLERのニューアルバム「22 Dreams」。

Paul Wellerという人物は、Punk RockやMods文化のアイコンとして語り継がれてきた反面、時代に対し実にフレキサブルなキャリアを歩んで来たミュージシャンであります。70年代の同じPunk Rockミュージシャン達とは、かなり異なる立ち位置に居続けているのではないでしょうか。

「Light Nights」で随分渋く始まったなと思えば、続くタイトルトラックの「22 Dreams」はかなりRockな曲であったり、「Empty Ring」の様なアダルトな曲もあったりと、目まぐるしい展開に彩られたアルバムです。

前作「As Is Now」では、まだこんな若さを持っていたのかという印象を与えてくれたPaulでしたが、本作ではそこから更に、彼の引き出しの多さを改めて見せつけられた感があります。

U.K.音楽界のゴッドファーザーと呼ばれる彼、本作にもRobert Wyatt、Noel Gallagher、Gem Archer、Graham Coxon等、豪華なゲストミュージシャン達がレコーディングに参加しています。

レコードのA、B面を意識しているのでしょう、丁度折り返し地点の12曲目、60年代調の「Push It Along」からサイケデリックな世界が広がります。やがて辿り着く、オリエンタルな「God」で詩を朗読しているのは、彼と長い親交のあるTHE STONE ROSES解散時のギタリスト、Aziz Ibrahim。

アルバムを通して聴いた結果、コンセプトアルバムを聴かされた様な印象を持ちました。小さな幾つもの物語が、1つずつ部屋に飾ってある絵から出て来る様な。

日本人とイギリス人の共通点の1つは、 ”歌心” をたいせつに守ってきた、という歴史にあると考えます。遠く離れた日本人の心に、何処か暖かく、何故か懐かしく伝わるEnglandの歌。彼の歌を聴いていると、どれだけ丁寧に彼の想いが込められて作られたのかが感じ取れます。確固たる長年のキャリアが基盤にある、彼だからこそ成し得る業。若手がどんなに粋がっても辿り着けない境地です。

THE JAM、STYLE COUNCILは言うまでも無く、「Wild Wood」の渋さ、「Heliocentric」のモダンさ、彼が辿ってきたあらゆる地点を思い起こさせる本作は、PAUL WELLERというミュージシャンのポートフォリオと成り得るアルバムでしょう。

かと言って、ここでキャリアの総括に取り掛かって頂くには、まだ早過ぎますけれどもね。



P.S.

レビュー消してるだろう、と言われましたがそんな事はありません。時間が経ったレビューは、ブログを整理する時に余計な前置き文を消して本来の日にちに格納されます。先月観たライブのレビューを今月載せても、しばらくしたら観た日にちの所に移動する訳です。ずるい。

手っ取り早く観るには、左のカテゴリーから行ってくださいまし。
posted by Yoshitaka at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年03月25日

地平に見える姿は

原点回帰も今回まで。



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U2のニューアルバム「No Line On The Horizon」。

本作のジャケットは、日本人フォトグラファー杉本博司によるもの。もうこの色遣いが初期を彷彿とさせますよね。その割に今回のBonoのメイクは随分Gram Rockめいていますが。

オープニングに配されているタイトルトラックの「No Line On The Horizon」は、些か無理矢理なメロディー進行が耳につき、あまりスマートな印象は受けません。どちらかと言えば、続く「Magnificent」の方がオープニングに相応しい様な。このバンドのトレードマークである、The Edgeのドラマチックなギターリフで導かれるU2らしい曲です。

今回のニューアルバムで目を引くのは何と言っても、プロデューサーの豪華さ。「Boy」、「October」、「War」のIrish三部作を手掛けたSteve Lillywhite、歴史的名盤「Joshua Tree」を手掛けたBrian EnoとDaniel Lanoisの3人が一同に会すという前代未聞の事態。 ”原点回帰” を宣言した2000年の「All That You Can’t Leave Behind」で既にBrian、Danielのタッグが復活していたので、本作ではそこから更なる時間を遡り、彼等のルーツを探ろうとしていたのかと思われます。

先行シングル「Get On Your Boots」は僕の中で言わば「Elevation」みたいな曲だと認識したので、敢えて触れずにおきます。

レコーディングで訪れたMoroccoのFezを題材にした「Fez Being Born」がなかなか実験的な展開をみせます。そういうことなら、初めからそう言ってくれれば良かったのに。

コンパクトな点は評価に値します。

彼等のスケールに比例して、いつも次なるものには悉く何か荘厳なものを期待してしまいがちで、そういう気分で迎えると肩透かしをくらってしまいます。悪いのは彼等ではありません。僕です。生まれて初めてリアルタイムで聴いたU2が「Pop」だった僕が悪いのです。

そもそも、U2は曲ありきのバンドなので、何も常に革新的である必要は無いのです。ただ、バンドの体裁としてもうそれを宿命付けられている以上、並のPopsを歌っては許されないのです。00年代の彼等は、それを再確認すると共に、その平行線の間でどれだけ挑戦する事が出来るのかを見せてくれました。

これでまた1つ、U2の三部作が完結しました。次は、どんな世界が待っているのでしょうか。
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2009年01月19日

幸宏先生の新しいバンド

日本のアーティストのアルバムで、ここまで感銘を受けたのは久し振りです。



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PUPAのデビューアルバム、「Floating Pupa」。

SADISTIC MIKA BAND、YELLOW MAGIC ORCHESTRAと日本が世界に誇る2つのバンドのメンバーである高橋幸宏が結成したバンド、PUPA。メンバーは高橋氏以下、細野晴臣のサポートメンバーの高野寛、NEIL AND IRAIZAの堀江博久、YELLOW MAGIC ORCHESTRAのサポートメンバーの高田蓮と権藤知彦という、近年のYELLOW MAGIC ORCHESTRAの再結成に携わった5人が集まり、原田知世をヴォーカルに迎えて製作されたこのアルバム。近未来的なイメージで統一されたメンバーの衣装、Technoですね。

ちなみに高野氏がデビューしたのは、高橋氏と鈴木慶一が結成したTHE BEATNIKのサポートギタリストとしてでした。THE BEATNIKも豪華なバンドでした。

イントロダクション「Jargon (What’s Pupa)」から始まる、綺麗でシンプルな音に彩られた楽曲達。「At Dawn」、「Anywhere」等で聴ける、高橋氏と原田氏のヴォーカルのコントラストが素敵。後期YELLOW MAGIC ORCHESTRAから高橋氏のソロアルバムへの変遷を組んだ、見事な音像。そして、今まで日本音楽界の陰の立役者といわれてきた高野氏の見事な貢献がアルバムを通して窺えます。今まで様々なミュージシャンのサポートを務めてきた彼が、この様にバンドで前面に出てきているのは嬉しい限り。彼の存在は、知る人ぞ知る、という様なものでは決して済まされないと思っていたのです。

「New Order」が早くも別れを告げていますが、待ってくださいよ。惜しまれるくらいが丁度良い、とは言いますが。

電子音が基本的な枠組みを構成していますが、バグパイプ、ユーフォニウム、アコースティックギターといった生音もフィーチュアされています。YELLOW MAGIC ORCHESTRAが登場した頃から言われてきたことですが、やはり本物の電子音楽とは、コンピュータを完全に人間の支配化に置いた音楽であって、コンピュータに判断を委ねたものでは無い、と。これは本当にライブで観てみたい。ライブで演奏する姿を、生の音を、体感してみたい。

高橋氏が細野氏と結成したSKETCH SHOWは結果、YELLOW MAGIC ORCHESTRAの再結成を導いたと考えて、このPUPAはワンオフのプロジェクトにするにはあまりに勿体無い。

このバンドは、絶対にこのアルバム1枚で終わらせてはなりません。
posted by Yoshitaka at 00:45| Comment(3) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月18日

加藤先生の新しいバンド

また面白いバンドが出てきましたよ。



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VITAMIN-Qのデビューアルバム、「Vitamin-Q」。

THE FOLK CRUSADERS、SADISTIC MIKA BANDと日本の音楽界を作り上げた2つのバンドのメンバーであった加藤和彦が結成した、SADISTIC MIKA BANDの延長線上とも言えるバンド、VITAMIN-Q。元SADISTIC MIKA BANDの小原礼、元JAPANの土屋昌巳、元SIMPLY REDの屋敷豪太という、U.K.に進出したバンドもしくはU.K.出身のバンドに在籍した4人が集まり、HEAD PHONES PRESIDENTのヴォーカリストAnzaを迎えて製作されたこのアルバム。Atlantic Recordsのマークをもじったバンドのロゴ、憎いですね。

ちなみに土屋氏と屋敷氏は、佐久間正英とMick Karnが結成したTHE D.E.P.のメンバーとして顔を合わせた事があります。THE D.E.P.も豪華なバンドでした。

「The Queen Of Cool」みたいな、いかにも加藤氏が好みそうな、輪郭のある女性ヴォーカルが先導する明るい曲が並びます。「Cupid’s Calling」、「Lotus Avenue (The Ballad Of The Blackout Boys)」と加藤氏がヴォーカルを執る曲もあり、小原氏、屋敷氏もまたヴォーカルを執っています。サウンドはSADISTIC MIKA BANDの延長線上。テイストは完全にBritish Rock志向。ただ、楽曲が少し弱いかなとも思ってしまいます。折角土屋氏が参加しているので、彼の色がもう少しあっても良かったです。となると、もしかしたらこれは先のSADISTIC MIKA BAND再結成時のアウトテイク集だったりするのではないか、とまで考えが進んでしまいます。

すると、「In This Moment」で土屋氏のあの特徴のあるギターが聴こえてきました。LOSALIOSの「The End Of The Beauty」以来です。感動。

デビューライブも決まりました。歌舞伎からRockまで、信じられない数のプロジェクトをこなす加藤氏の事、このバンドが単発のプロジェクトなのか、持続的に活動していくのかどうかは分かりませんが、このメンツが揃って観られる機会は滅多に無いでしょう。特に僕はTHE FOLK CRUSADERSの再結成ライブは観る事が出来ましたが、SADISTIC MIKA BANDの再結成ライブはLondonにいて観逃しているので、エレクトリックギターを持つ加藤氏はまだ観た事がありません。

随分前の話ですが、実は僕、18歳の誕生日に加藤氏からプレゼントをもらいました。時効が訪れればここでまた、詳しく取り上げるかも知れませんが。

メンバーがメンバーだけに、昔話ばかり語ってしまいました。どうもすみません。
posted by Yoshitaka at 00:35| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月22日

待ち望んだ民主主義

どうやら本当みたいです。



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GUNS N’ ROSESのニューアルバム「Chinese Democracy」。

製作期間17年、制作費14億円。僕もまた、待つこと8年。悔しい事ですが、この話題性こそがRockかと思います。GUNS N’ ROSESのニューアルバムが出ると聞かされた16歳の少年は、待たされ続け気が付いたら24歳になってしまいました。

店頭に並べられたアルバムを眺めても、手に取って眺めても、実感が得られませんでした。今まで通り、直前になって延期されると思っていたのに。出る時は、案外すんなり出てしまうんですね。本当、夢みたいです。

雑然としたイントロに攻撃的なギターリフが絡む、オープニングの「Chinese Democracy」。そこへ続く、昔ながらの彼等を匂わせる「Shackler’s Revenge」。

以前書いた通り、「Use Your Illusion I」、「Use Your Illusion II」の世界観をベースに、よりドラマチックに、よりエキセントリックに、よリメロディアスになったGUNS N’ ROSESがここにいます。Buckethead、Bumblefootが面白いギターを聴かせてくれています。

「Better」、もう格好良過ぎて頭がおかしくなりそうです。「Sorry」、Sebastian Bachとのデュエット。「Madagascar」、ただただ感動。全体的に、予想より遥かにコマーシャルで聴きやすい作りです。

あの「Appetite For Destruction」を作ったバンドが、こんなアルバムを作るなんて。このバンドには、Slash、Izzy Stradlin、Duff McKagunといった愛すべきキャラクターがいて、共に世界を手中に収め、やがて袂を分かち、1人また1人と去っていったというドラマがありました。

僕はこのアルバムについて考えているうちに、昔彼等と比肩したとあるバンドの存在を思い出しました。METALLICAです。80年代にHeavy Metalの先導者としての地位を築いたかに見えたが、90年代に入りモダンなアルバムを次々と発表し、離れていく古くからのファンをよそに更なる世界的成功を収めていったMETALLICA。Axl Roseが同様のベクトルを持っていたとすれば、この様な音楽性の展開が見られたのは必然かと。

両者とも、かたやHeavy Metal、かたやHard Rockという前時代的アウトプットから、Alternative世代の象徴へと、よくぞなれたものです。ポストAlternative世代である僕はそこを評価したい。

僕達がこのアルバムを手に取ってしまった時点で、Axl Roseは勝ったのです。
posted by Yoshitaka at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月20日

黒い氷からの目覚め

遂に動き出しました。



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AC/DCのニューアルバム、「Black Ice」。

前作「Stiff Upper Lip」以来、実に7年振りのニューアルバムです。前作に伴うツアーが終了した後、殆ど何もしていなかった彼等。数年前からスタジオに入っているとの噂がありましたが、まさかこんな唐突にニューアルバムが届けられるとは。

先行シングル「Rock 'N' Roll Train」を聴くと、もう居ても立ってもいられませんでした。この曲のPVを目にした時、画面の中で動く彼等を観て、本当に帰ってきたんだと感慨も一入でした。

本作ではオープニングに配されているこの曲。もちろんそれだけで無く、聴き進める度に蘇る、AC/DCの世界。Angus Youngのギターリフには、「Back In Black」の頃の様な冴えが蘇っています。そして、61歳になったBrian Johnsonのヴォーカルにもまた、衰えというものが微塵もありません。

妙に時代に沿いたそうな作りだった「Ballbreaker」、ルーツに立ち返り渋くなった「Stiff Upper Lip」と、前2作はやはりAC/DCならではのアルバムではありましたが、正直ここまでの満足感は得られませんでした。今回はストレートなRock ‘N’ Roll一本勝負。ニューアルバム、とは言え、彼等はAC/DC。その内容は以前と絶対に変わらないし、聴かずにレビューも書いてしまえるくらい、分かりきったものです。しかし、いざニューアルバムが出たとなると、やはり嬉しくなって聴いてしまう。

意地でも変わらないこのサウンド。もう本当に何も変わっていません。しかしこのニューアルバムも当たり前の様に、世界18ヵ国のチャートで初登場1位を獲得し、初動売り上げは500万枚を越すという快挙を成し遂げました。

30年近く前から殆ど変わっていない、分かりきっているこのバンドに、何故、未だこんなに興奮させられるのか。もうこれは、理屈では説明出来ません。

ちなみに、本作は日本盤を買ったこともあって、伊藤正則の解説というものを久し振りに目にすることとなりました。同時に、テレビで伊藤氏が本作について語っている所も見つつ、彼の解説が本作をとりまくどのメディアの紹介よりも当を得ている様に感じました。やはり適材適所、という事なのでしょうね。

前回の来日は2001年、僕が高校1年生の時。大阪までライブを観に行くというバイタリティーが欠落していた16歳の僕は、みすみす19年振りの来日公演を観逃してしまうのでした。今度こそは世界の何処であろうと絶対に観てやるつもりです。







ああああああかっこいいわああああああ
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2008年10月15日

兄弟の冒険は続く

皆さん揃って馬鹿呼ばわり。



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OASISのニューアルバム、「Dig Out Your Soul」。

Liam Gallagherが歌うオープニングの「Bag It Up」は割と今まで通りのOASIS節。ところが、曲が繋がり2曲3曲と進むにつれて、随分と違う事に気付かされます。

”良い” と言う人と ”酷い” という人と綺麗に分かれている本作の評価。僕はというと、どんなに酷いのか期待した割には、意外と良くて残念でした。

ジャケットもそうですが、音が極めてサイケデリック。聴いていて連想したのが、THE BRIAN JONESTOWN MASSACREやTHE ALIENの様なマリファナの匂いがするバンド達の音。そういったバンドが好きな人なら、このアルバムははまるのかも。OASISが面白くなったと感じるかも知れません。僕は少なくともそう思いました。

日本ではどうかわかりませんが、彼等の本国Englandでは間違い無く ”絶賛される典型的な音” ですね。

同じく今年に発表されたPRIMAL SCREAMのニューアルバムのあるべき姿を、OASISが代わりにやってくれた、という感じもします。

THE BEATLESの「Helter Skelter」を馬鹿にした様な「The Nature Of Reality」なんかは感動すら覚えました。あの馬鹿兄弟も随分器用になったんだな、と。

Zak Starkeyの脱退により、後任のドラマーに就任したのは何と元THE LA’SのChris Charrock。元RIDEのAndy Bellに続き、またも猛者の獲得に成功した模様です。

ちなみにZakが抜けたお陰で、彼が掛け持ちしていたTHE WHOとOASISが同時に活動出来る様になりましたね。めでたし。

THE ROLLING STONESに例えれば、「Satanic Majesty」の様なアルバム。もしかしたら僕は、もの凄く気に入ってしまったかも知れません。

Rockがマンネリだとすれば、それを地で行くOASISなんかはマンネリの極みな訳で。それでもその長さ、広さという面でここまで出来るのは、天賦の才能のなせる業なのかな、と。Noel Gallagherの回復を祈りつつ。
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2008年09月29日

気になる生え際

皆さんOASISのニューアルバムばかりに気を取られていますが。



Ode To J. Smith   TRAVIS.jpg



TRAVISのニューアルバム「Ode To J. Smith」。

オープニングの「Chinese Blues」からとても叙情的。それも、今までの彼等の代表曲の様に自然な感じでは無く、意図的に前面に出してきた感じ。それにシングルカットされた乱暴な「J. Smith」が続きます。

「Something Anything」のギターソロが笑えます。その次の「Long Way Down」といい、何だか似合わないアグレッションが続きます。前作では例えばこれが「Eyes Wide Open」の様な楽曲に良い具合に使われていたので違和感はありませんでしたが、どうもこういう曲を作られてしまうと、変に感じるんですよね。

そんな中で僕が気に入ったのは、名曲「Sing」を髣髴とさせるイントロで始まる「Last Words」。

雰囲気は、彼等のデビューアルバム「Good Feeling」と似ていて、それ以降の各アルバムで育てたエッセンスが散りばめられている、という感じでしょうか。

それでも ”腐ってもTRAVIS” なのでやはり楽曲は良いのですが、「The Man Who」や「A Boy With No Name」の様な、それらの楽曲同士に繋がりはみられません。

歴史的名盤「The Man Who」でTRAVISを知った僕がいけないのか、どうもこのバンドのアルバムにはある種の統一感を求めてしまうのですが、これはバンド的にはありなのでしょうか。再び分からなくなってしまいました。

楽曲だけを評価すれば、叙情的を通り越して様式美すら窺えるので、とても日本人向けではあると言えます。来年2月には来日が決定しています。彼等はRADIOHEADと違って空気も読めるし、OASISと違ってオーディエンスをたいせつにするので、ライブはとても楽しいものになります。まだ観た事の無い人は是非。

これはTRAVIS史上に残る傑作、という触れ込みをよく見ますが、それを真に受けて買ったら正直肩透かしをくらいかねない危険なアルバムです。そう言っておきます。

予てから伝えられていた通り、非常に短期間でレコーディングする事を念頭に置いて作られたのが本作だった訳ですが、時間を掛けてファンを待たせてもいいから、このバンドは手抜きをすべきでは無い、と切に思うのでした。
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2008年09月22日

鷹の様なこのメロディー

Scotlandは食べ物はいまいちですが良い国です。



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MOGWAIのニューアルバム「The Hawk Is Howling」。

オープニングは、「I’m Jim Morrison, I’m Dead」。ネーミングセンスは相変わらず。始まり方は前作「Mr. Beast」と似た感じ。と、思ったら随分長い。そして、前作の様な劇的な展開では無く、自然な繋がりで持っていきます。

前作は随分と何かを宣言したがっている様な、挑戦的な楽曲が並んでいる印象があったので、その分余計にそう思うのかも知れません。Scotland出身のバンドというのは何かとリヴァーヴをかけたがる人達ばかりいますが、その中でも単音が際だつこのバンドは、やはり何処か差別化を図っている様に思えます。Brit Popを否定し続けているStuart Braithwaiteの発言もそうですが、多分あまり素直では無いのでしょう。

過去のアルバムを通して思い返してみると、前作だけが際立って何かが違ったのかも知れません。これは別に、前作が一番良かった、という意味ではありませんが。ライブでこのアルバムから多く曲を演奏するとすれば、前作の曲は逆にあまり演奏されなくなりそうです。

という訳で、MOGWAIは僕の中であまりPost Rockでは無かったんですが、このアルバムは非常にPost Rockだなと思いました。MONOあたりの雰囲気ですね。あそこまでいくと今度は逆に退屈過ぎて困りますが。

「Scotland’s Shame」を聴いて、METALLICAの「The Call Of Ktulu」を思い出しました。一体どこら辺が ”Scotlandの恥” なのか問いただしたい気分ですが。

「Thank You Space Expert」、「The Precipice」と繋がるラストがドラマチックで、いかにもMOGWAIらしい。

前回のツアーでは、LondonのSomerset Houseで彼等のライブを観ました。屋外で聴く彼等は噂に違わず凄まじかったです。そんな彼等を屋内で聴くとなるとどうなってしまうのでしょうか。DINOSAUR JR.、MY BLOODY VALENTINEという前例がありますが、不安です。

余談ですが、僕の知人にMOGWAIが好き過ぎてGlasgowへ行ってしまった人がいます。もう1人、似た様な理由でGlasgowに行った知人もいましたが、彼は少し理由が変わっていて、SIGUR ROSが好き過ぎての事だったそうで。泊まった宿で同室になった旅人との話で間違いに気付いたそうです。
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2008年09月12日

回帰の磁場

口には決して出しませんでしたが、待っていました。



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METALLICAのニューアルバム「Death Magnetic」。

往年の名曲「Blackened」を髣髴とさせる「That Was Just Your Life」から始まるこのアルバム。出だしからして信じられません。METALLICAですこれ。METALLICAが20年振りにMETALLICAしています。

その後は、「Creeping Death」を髣髴とさせる「The End Of The Line」へと繋がります。何て言うかもう嘘みたいです。僕が彼等を好きになってから今までのこの9年間は、一体何だったんだという感じです。

随分と器用になったJames Hetfieldの歌唱力を軸に作曲されたと思しき曲が並びます。Kirk Hammetのギターソロも復活しています。

今回のアルバムでは、長年METALLICAのプロデューサーであったBob Rockと別れ、Rick Rubinを迎えたという事が話題になりました。Rickは諸刃の剣です。SYSTEM OF A DOWNを育てたのもRickですが、RED HOT CHILI PEPPERSを手放したのもRickです。今回は、それがどうやら吉と出た様で安心しました。

普通に聴くに堪え得るアルバムであればもう満足の領域かなという感じです。METALLICAというバンドは決して今のHeavy Metalシーンを牽引する存在ではありません。しかし、彼等は言わば象徴的存在な訳で、いなければ皆が困ります。

世界中が落胆した、とされている「Load」、「Reload」というアルバムにも、思い返せば優れた曲は幾つもありました。前作「St. Anger」は、あまりに感情をプリミティヴにしようとした結果、耳に馴染む事すら拒絶するかの様な非常にプライヴェートなアルバムでした。ですから、本作で「The Day That Never Comes」の様に本気で良いギターリフだ、良いメロディーだと思える曲が聴けるので、METALLICAのニューアルバムとしてはもう充分では無いのでしょうか。そう考えたら、実に17年振りですよ。

有り得ないくらいの完成度、という訳ではありません。今年一番の、という訳ではありません。ただ、 ”悪くない” という事がこんなに嬉しいニューアルバムなんて他にあるでしょうか。これは事件です。またしてもMETALLICAが事件を起こしました。

この人間臭さが、METALLICAなんです。
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2008年08月25日

再生の誓い

まだ観ぬ憧れのバンドです。



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THE VERVEのニューアルバム「Forth」。

オープニングの「Sit And Wonder」、そして、先行シングル「Love Is Noise」。まさかこういう曲を冒頭に持って来るなんて、と思いましたが、聴き進めるにしたがって分かって来ました。

長い間、RICHARD ASHICROFTのソロアルバム達に心を奪われてばかりいて、そこから派生してTHE VERVEの中でのそういう側面ばかりが自分の中で美化されていて、元来あのバンドが持っていた凶暴さ、サイケデリックさを忘れかけていました。

その忘れかけていた部分を、これでもかという程前面に押し出した今回のニューアルバム。そして、一筋縄ではいかないサウンドの反面、実にコンパクトに仕上がっていて、聴く者を疲れさせません。Brit Pop最期の輝きといわれたこのバンド。課せられた宿命を、時間の洗礼を味方に付けて実に良い仕事をしています。

それでも怖さだけで無く安心も得られるのは、Richard Ashcroftの声が聴こえるからなのでしょうね。全く、この人は。

「Noise Epic」、「Columbo」の凄い事。先にも書いた通り、THE VERVEのライブはまだ観た事が無いのですが、過去の名曲を演奏する姿と同じくらい、本作の曲を演奏する姿を観てみたいと思いました。彼等はどうやら本気みたいですから。

ライブでの姿も、映像でしか観た事は無く。経験があるのはRICHARD ASHCROFTとしてだけなので、随分と違和感を覚えてしまうのかも知れませんね。

逆に「Urban Hymns」やRICHARD ASHCROFTから入ったファンは、こんなアルバムとても聴けたものではないでしょうね。唯一バラードらしいバラードもラストの「Appalachian Springs」まで待たされることになりますし、Liverpoolのバンドみたいに ”音の壁” に包まれていてなかなか素直ではありません。

恐ろしいまでに統一された楽曲が揃うこのアルバム。プリミティヴな部分に立ち返り、且つ解散前までとの差別化を図っているこのアルバムは、この先の継続的な活動を聴く者に約束しているかの様に、堂々としています。

「Bittersweet Symphony」に覆い尽くされる前のTHE VERVEが、静かにここに甦りました。
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2008年08月12日

哀愁の裏に

悲しいタイトルとは裏腹に。



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EXTREMEのニューアルバム「Saudades De Rock」。

再結成を経て、実に14年ぶりのニューアルバムです。オープニングの「Star」、続く「Comfortably Dumb」、逸る気持ちを抑えてかかるこの2曲はオリジナル活動期最後のアルバム「Waiting For The Punchline」を思い出させました。 ”本当はこういう事がしたかったんだ” と苦し紛れに残した断末魔は今再び彼等のもとに戻り、14年前果たせなかった続きへ取り掛からせたのです。

こうして聴いていて何よりうれしいのが、やはりNuno Bettencourtが自発的に今回のEXTREME再結成に関わっているんだと実感出来るという事。EXTREME脱退後、MOURNING WIDOWS、POPULATION 1、DRAMAGODS、SATELLITE PARTYと様々なバンドで模索を続けてきたNunoは結局古巣へ戻った訳ですが、ここまで全うな事が出来れば本人も納得していると思います。

Nunoの真骨頂とも言うべき変則ギターリフ、変拍子、ポリリズムをこれでもかと取り入れた曲が並びます。もちろんギターだけで無く、Country調の「Take Us Alive」、静かなバラード「Last Hour」等、曲のヴァラエティーも豊かです。ただでさえ恐ろしかったGary Cheroneの歌唱力も、更に磨きがかかっている様です。VAN HALENに加入した事をNunoにネタにされつつも、是非これからも仲良くやってもらいたいものです。

他のメンバーに関しては、2005年に日本でのみ行われた再結成ツアーにはベーシストのPat Badger以外全盛期のメンバーが揃っていたのに、今回はPatが復帰していると思ったらドラマーのPaul Gearlyが不在。なかなか揃ってくれません。

ちなみに、2007年JANE’S ADDICTIONのPerry FarrellとNunoが結成して話題になったSATELLITE PARTYのメンバーは、ベーシストが前述のEXTREME再結成でPatの代役を務めたCarl Restivo、ドラマーが今回Paul代役を務めているKevin Figueiredoとなかなか面白い事になっていました。そんな夢の様な組み合わせをみせてくれたSATELLITE PARTYは現在、解散状態ですが、Perryもその後JANE’S ADDICTIONを再び再結成させてくれたので文句はありません。全ては還るべき所へ還るのです。

「Pornograffitti」信者には耳障りなアルバムかも知れませんが、JANE’S ADDICTIONの「Strays」が好きだった人には受け入れられるでしょう。そんな事を言っている間に、オリコン洋楽チャート1位を獲得したらしいので、少なくとも日本は彼等の帰還を祝福していると言えましょう。

あとは、ライブを観るだけです。
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2008年08月02日

出来の良い兄を持つと弟は苦労するものです。



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ANDY YORKEのソロデビューアルバム「Simple」。

Andy Yorkeの兄は、誰もが知っているあのRADIOHEADの核、Thom Yorkeです。世間から羨望の眼差しを集める兄を持ち、コンプレックスにまみれながらもAndyは90年代、UNBELIEVABLE TRUTHというバンドを成功裏に収めました。UNBELIEVABLE TRUTH解散後は音楽の世界から退いたAndyでしたが、今こうしてソロという形で音楽の世界に戻ってきました。


静かなタイトルトラック「Simple」から始まるこのアルバム。兄同様、スタジオで作り込む事が好きなのでしょう。実に丁寧に作られたトラックが並びます。

しかし、メロディーに関しては兄と全く異なり、実に正統派。叙情的な「Twist Of The Knife」、優しいオルガンの音色が導く「Always By Your Side」、コーラスワークとチェロが美しい「Let It Be True」等、アコースティックギターを軸にした、今の時期に似合いそうな良質のPops。TRAVISやあたりが好きな人は、このアルバムを気に入ることでしょう。

兄と比較されるのは本人が何よりも嫌う事だと思うので、ここら辺にしておきます。

でもその割には、「Lay Down」とかいう紛らわしい曲が入っているんですよね。遊び心でしょうか。

一定の周期でこういうアコースティックなアルバムが聴きたくなる僕にとっては、嬉しい1枚。かと言って変わらず音楽に癒しというものを求めてはいません。こういうアルバムを聴くと、実にクリエイティヴな心持ちになれるのです。

あくまで予想ですが、僕は恐らく、このアルバムに関する活動が一段楽した後に彼の取るアクションは、UNBELIEVABLE TRUTHの再結成ではないかと思っています。2005年と2007年にそれぞれ1度きりのライブで再結成しているUNBELIEVABLE TRUTH、再びコンスタントな活動をする事を望んでいる人も多いでしょうし。

このアルバムには、彼の音楽に対する愛が込められていると思います。今度は、その愛を損なう事無く、適宜な距離を保って活動してくれれば。

ところで、冒頭にも書きましたが、出来の良い兄を持つと、弟は苦労するものです。

だから僕は、これからも妥協せず出来の良い兄で在り続ける所存です。
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2008年07月31日

自意識過剰の未来

良いものばかりは続きません。



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PRIMAL SCREAMのニューアルバム「Beautiful Future」。

何ですかこれは。オープニング「Beautiful Future」、リアクションが非常にとりづらい。痛い。やりたいことは分かるのですがサウンドがえらく健康的で不気味。

「Screamadelica」と「Give Out But Don’t Give Up」の中間を無理矢理行こうとしているサウンド。病んでいる感じが全然無くて、耳あたりの良いただのPopsになってしまっている気が。あのBobby Gillespieの事ですから、何か考えがあってこうしているのでしょうが。

本作が発表される直前、The Hop Farm Festival 2008で観た彼等のライブで演奏されていた、2曲目の「Can’t Go Back」はなかなか良い曲ではありましたが。前作「Riot City Blues」も痛かったですけれども、それはあくまで持ち味が発揮された痛さであったので良かった訳です。

次の曲に行く度に、残念に思ってしまいます。このバンドの武器であった先行性とか、実験性とかというのは、今回は無視ですかね。

CSSのLovefoxxxが参加している「I Love To Hurt (You Love To Be Hurt)」も、Lovefoxxxさをもう少し前に出しても良いかと思うのですが。もしかして、CSSのニューアルバムと呼応していると考えれば、まだ分かるかも。

何故かFLEETWOOD MACの「Over And Over」をカヴァーしています。そういえば、FLEETWOOD MACの新しいヴォーカリストにSheryl Crowが就くという話はどうなったのでしょうか。知名度だけではChristine McVineの後任は務まりません。でも、FLEETWOOD MACという名を冠したバンドのライブなら、一度は観てみたいと思います。

「Necro Hex Blues」ではQUEENS OF THE STONE AGEのJosh Hommeも参加しています。QUEENS OF THE STONE AGEは結局、Nick Oliveriが脱退してから長いスランプが続いていますよね。そろそろ本気を出すか、新しいバンドを組んでしまうかしてもらわないと。

といった感じに、PRIMAL SCREAM自体の話題がどうでも良くなるという不測の事態に。

それでもやはり想像してしまうのは、Maniの無邪気な笑顔なのかも。

次はよろしくお願いしますよ。
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