2016年10月14日

Loud Park 2016

Loud Park 2016 : 待望のヘッドライナーの下、再結成組、初来日組、目玉となるアクトを取り揃えた豪華なラインナップになった。様々な国の古参、若手、メジャー、マイナーが一堂に会す、日本が世界に誇るMetalフェスティバル。

CANDLEMASS : デビュー30周年記念ツアーの一環として出演、そして、今回が待望の初来日公演。長年待たれたその姿、そのパフォーマンス、貫禄というか、凄みというか、ただただ渋かった。加入当時は驚いたMats Levénのヴォーカルも、予想に反してバンドの雰囲気に合っていた。

RAGE : Peavy Wagner以外一新されたメンバーにも関わらず、文句無しのパフォーマンスを披露。王者という言葉が良く似合う。これこそが、バンドとオーディエンスがインタラクティヴに形成するライブ空間の雛形。日本のオーディエンスとの相思相愛ぶりをこれでもかと見せつけられた。

MASTERPLAN : 殆ど1stアルバム「Masterplan」からの曲で固められたセットリスト、その中にはHELLOWEENの「The Chance」も。オーディエンスからの反応に、日本での人気がどれ程のものか思い知らされ、Roland Grapowのスター性を再確認した。

ARMORED SAINT : デビュー32年目にして、意外にも今回が初来日公演。バンドもオーディエンスも喜びに包まれた中、さすがベテラン、初めてライブをする国でも堂々としたパフォーマンスを披露。久々のJohn Bushの全く変わらない、楽しそうな姿が観られたことが何よりだった。


EXODUS : 親しみのあるバンドなので、今回のラインナップの中で特別感は無かったが、いざライブを観ると、並み居るアクトの中で完全に頭一つ抜けていた。MCではSLAYER、Gary Holtへの愛を語っていた。気迫が違ったのか、グレードアップしていたのか。とにかく凄まじかった。

QUEENSRŸCHE : 分裂騒動後の姿はどうしても白けて見えてしまう。どれも体が覚えていて一緒に歌える、好きな曲ばかりなのに、目の前にいるのは違うバンドに思えてならなかった。バンドとしてのクオリティーは問題無いかも知れない。巧いトリビュートバンドを観ているかの様で虚しかった。

CHILDREN OF BODOM : 2年連続出演。日本慣れしているバンドだけあって、日本のオーディエンスの楽しませ方も十分心得ていた。特に思い入れがあるバンドでは無いが、さすがに「Needled 24/7」を聴くと、リアルタイムで聴いた当時のことが懐かしく思い出されてしまう。

DOKKEN : 今回の目玉。オリジナルメンバー再結成という偉業を果たしたが、以前と同様にDon Dokkenのヴォーカルが残念でならなかった。一方、George Lynchのギターは全盛期と変わらず冴え渡り、名曲の数々を彼のギターで聴けただけでも今回のライブを観た価値があった。

SCORPIONS : 代表曲を散りばめた文句無しの本編、そして、アンコールでは噂通りUli John Rothが登場、久々の再結集で泣く子も黙る「We'll Burn The Sky」。遂に日本でも実現してくれて感無量。先日の単独公演と殆ど変わらない尺で存分に楽しませてくれた。



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2016年08月22日

Summer Sonic Osaka 2016 / Summer Sonic Tokyo 2016

Summer Sonic Osaka 2016 : Summer Sonic 2016はヘッドライナーが理由で東京と大阪両方に参加することになった。大阪会場の舞洲は海に囲まれた素敵なロケーションの場所。ステージからの眺めも素敵そう。

サカナクション : 「Inori」から「ミュージック」に繋がるオープニングがどうも冗長に感じた。日本舞踊、和太鼓を取り入れたパフォーマンスは、視覚的にも聴覚的にも豪華で、対外的なアピールかとも思った。それにしても、名だたるアクトに並ぶポジションで、堂々としたパフォーマンスだった。

THE YELLOW MONKEY : 冒頭、雰囲気負けしそうになっていたがすぐに本来の姿を取り戻した。フェスティバル用にコンパクトかつ代表曲を網羅したセットリストで、オーディエンスの受けも良かった。しかし、これでは物足りなさを感じるのは当たり前で。もっと相応しい枠で観たかった。

RADIOHEAD : 「Burn The Witch」のドラマチックなイントロを期待していたら、無機質なアレンジが加えられていた。「Daydreaming」は美し過ぎて言葉を失った。毎回、ライブで観てこそだとしきりに思わされる。どんなに良くても、それが終わりでは無いということ。



Summer Sonic Tokyo 2016 : 東京会場では13年ぶりの奇跡を求めてなのか、期待と平静が入り混じり、異様な雰囲気が生まれていた。様々な人々の想いが集まった場で起こる出来事を見守る心境は、決して穏やかでは無かった。

サカナクション : 何と大阪では不満に思ったオープニングが変わっていきなり「ミュージック」からになり、この楽曲の掴みがそのまま活かされていた。キャッチーで多幸感を撒く楽曲の数々。このバンドには、このバンドやこのバンドの楽曲を知らないオーディエンスも自然とのせてしまう魅力がある。

THE YELLOW MONKEY : オープニングはサプライズゲストで由紀さおりが登場、「夜明けのスキャット」をデュエット。そこからの「Burn」が失神しそうなくらいの格好良さで。場を完全に掌握し、オーディエンスを終始のせ続けた。フェスティバルで見るこの光景は実に感動的だった。

RADIOHEAD : セットリストが8曲目まで大阪と同じで異例の事態かと思いきや、「No Surprises」から違う展開に。そして、「Let Down」、「Creep」、「Street Spirit (Fade Out)」という、信じ難いアンコール。13年越しの奇跡を叶えた。



Summer Sonic Osaka 2016 / Summer Sonic Tokyo 2016
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2010年08月20日

ATOMS FOR PEACE Live At Fuji Rock Festival

Fuji Rock Festival 2010に行ってきました。 ”意外だ” と散々言われましたが、実はこれが人生初のFuji Rock Festivalです。

ATOMS FOR PEACE。その名前が出演アーティストのラインナップに組み込まれた瞬間、とうとう今年は苗場に行くんだなと覚悟しました。自分の住む国にThom Yorkeが来るという事態に於いて、自分がそこに赴かない事なんて絶対に有り得ません。

ATOMS FOR PEACE結成時に話題となったのは何と言っても、RADIOHEADのThomとRED HOT CHILI PEPPERSのFleaという奇抜過ぎる組み合わせ。世界中の人が首を傾げました。

ミュージシャンとしての汎用性は、ThomよりもFleaの方が遥かに持ち合わせています。Fleaは母体であるRED HOT CHILI PEPPERS以外にも、JANE’S ADDICTION再結成時のメンバーであったり、Jeff BeckやPatti Smithと共演したり、METALLICAのライブにゲスト参加したりと、神出鬼没で実に様々なジャンルに加担しているのです。そんなFleaがRADIOHEADを嫌う筈も無く、そんなFleaをThomも見逃す筈も無く、といったところでしょうか。

ATOMS FOR PEACEが登場するメインのGreen Stageでは、早めの入場と立見を勧告するアナウンスが。ヘッドライナーでも無い、音源も出していない新人バンドにとっては異例の事態です。

話が逸れますが、ライブが始まる僅か10分程前、奇跡が起こりました。ふと横に目を遣ると、何年も会っていなかった僕のLondon時代の友人がそこにいたのです。お互い好きな音楽が似ているので、こうして同じライブに来ている事は不思議では無いのですが、まさか日本で、しかもこんな広い会場の中ですぐ隣りにいるなんて。本当に驚きました。

そうこうしているうちに、SEが止みました。いよいよです。青白い照明の中、現れたThom。トリコロールのヘアバンドにグレーのタンクトップという、予想の斜め上を行く格好。笑顔を見せつついそいそとピアノに向かって歩いて行くThom。そうこうしているうちに、残りのメンバーが登場。

センセーショナルな「The Eraser」のイントロが始まります。いや、もう少し待って欲しいです。僕の場合、視界の中にThomがいるということを脳に認識させるのに、とても時間がかかるんです。

聴きなれたピアノの旋律に、縫う様にして絡むFleaのベース。やがてThomのヴォーカルが聴こえてくると歓声が。洗練された音だけが伝いオーディエンスを踊らせます。後半、攻撃的なFleaのベースが電子音のパートを再現。冒頭から、凄い。歓声をあげる暇も無い程。

 ”こんばんは” 、 ”いらっしゃいませ” とマイペースな挨拶をするThom。そして、「Analyse」へ。Thomがギターを持ち、「The Clock」、Fleaのベースが冴える「Black Swan」、Fleaが鍵盤ハーモニカを演奏する「Skip Divided」と、RADIOHEADよろしく曲間のセットチェンジはとても機敏。そして、このバンドにはRADIOHEADの長年のパートナーであるNigel Godrichもいます。彼はステージ上でも目立つ事は無く、まだ裏方に徹し続けているかの様な印象。しかし、ギターを持った彼がThomやFleaと絡む姿は見物です。こんな形で、Nigelの姿が拝める日が来るなんて。

Thomはいつに無く楽しそうです。以前にも言いましたが、彼は日本で観るに限ります。こんな機嫌の良いThomは、Englandではとても観られません。

「Atoms For Peace」、「And It Rained All Night」ではドラムのJoey WaronkerとパーカッションのMauro Refoscoの洗練されたリズムが冴えます。音数は決して多くなく、厳選された音。メジャーシーンでは裏方に回っていたこの2人を連れて来た事も素晴らしい。

「Harrowdown Hill」。昨年、YouTubeにアップされたこの曲の映像で初めてThomの歌声とFleaのベースの融合を確認したのでした。思えばFleaを観るのも随分久しぶりの事。最後にRED HOT CHILI PEPPERSを観たのが2006年のLondon、Earls Courtだったのでもう4年も経っています。

演奏はとにかくシンプル。RADIOHEADのライブは色彩豊かなイメージがあるのに対して、このATOMS FOR PEACEのライブは一貫してモノトーン。ただそのモノトーンは実に緻密な音が織り込まれて形成されたものであり、実に美しい。

気付けば束の間のライブでした。「Cymbal Rush」が始まります。Fleaのベースに導かれるThomのピアノとヴォーカル。この世の全てを飲み込むかの様な、音の壁。もう、このまま永遠にこの瞬間に意識を閉じ込めたい。

前回、Thomに会った時の事を思い出していました。自分と、自分を取り巻く周りの状況。彼と対峙する時は、いつもそんな独りよがりの事しか考えられません。

音の壁が途絶え、歓声の中、ステージを去るバンド。余韻と呼ぶには、あまりに致命的な感覚。

やがて、アンコールに応え1人で現れたThom。そして、ギターだけで歌う「I Might Be Wrong」。そう、何かの間違いでRADIOHEADを聴き始めてから、今年で丁度、10年。

手拍子と声をループさせて始まる「Give Up The Ghost」。 ”Give up the ghost” とは “動けなくなる” という意味の慣用句ですが、この曲はまさにそう。ただ立ち尽くすのみ。

Thomがピアノに座ります。始まりの1音だけ試しに出しただけで歓声が上がった「Videotape」。ピアノだけのシンプルな演奏と、Thomの歌声が夜の森を背に広がり、とても神秘的。

バンドが再び登場し、 ”THE BEATLESの曲を歌うよ” とThomが冗談をかました「Paperbag Writer」。そして、「Judge Jury And Executioner」、「The Hollow Earth」、「Feeling Pulled By Horses」と本編とは雰囲気の違う未発表曲が立て続けに演奏されました。ここでようやく、冷静にバンドを見渡せた気がします。思えば、僕はRADIOHEADに比べて、THOM YORKEというソロのアーティストにはそこまで思い入れが無かったんだと思います。なので、Londonに住んでいた時もTHOM YORKEのソロライブがあっても観に行きませんでしたし。しかし、それをここへきてここまで完成された形で見せ付けられてしまった、という訳ですね。元々、避けられないと決まっていたのです。

全てが終わり、澄ました顔でステージを去る彼等。さようならThom。ありがとう。何年経っても、未だに取り残される僕。

まさに完璧と言うに相応しいパフォーマンス。5人組のバンドという体制を呈していながらも、従来のRockバンドというアウトフィットから完全に離れています。そして、離れた先でPopsを再構築する事を、有り得ない完成度で実現させた、ATOMS FOR PEACE。

言葉を失くす瞬間は、これまで何回もありました。ただ今回は、音楽そのもののクオリティーよりも、ステージ上にいるミュージシャンの才能に対する畏怖から来るものだった様な気がします。

無言で帰路に着く人の群れ。もちろんこの後にも、まだ出演アーティストは控えている訳ですが。確か僕も、ライブが始まる直前まで迷っていた筈でした。

初めての苗場の地、現地でたくさんの友人達と会う事が出来ました。皆さん、どうもありがとうございました。来年も是非、この場所に戻って来たいです。

それにしても凄かった、ATOMS FOR PEACE。別に人知を超えた途方も無いものを期待して来た訳では無かったのですが。本当に、Thomに会いに来ただけというか、RADIOHEADの時よりも遥かに気楽でしたもの。

何度でも言いますが、こんな素晴らしいライブ、もう2度と観られないかも知れません。今まで600本以上、ライブを観てきましたが、ここまでのライブは今まで5本あったかどうかです。

次はRADIOHEADでしょうか。そして、次もまた、2年前一緒にLondon、Manchester、大阪、埼玉、東京でThomを観た皆さんと共にいられます様に。



ATOMS FOR PEACE Live At Naeba Resort 01



ATOMS FOR PEACE Live At Naeba Resort 02



ATOMS FOR PEACE Live At Naeba Resort 03



Setlist:

01.   The Eraser
02.   Analyse
03.   The Clock
04.   Black Swan
05.   Skip Divided
06.   Atoms For Peace
07.   And It Rained All Night
08.   Harrowdown Hill
09.   Cymbal Rush
 Encore 1
10.   I Might Be Wrong
11.   Give Up The Ghost
12.   Videotape
13.   Paperbag Writer
14.   Judge, Jury And Executioner
15.   The Hollow Earth
16.   Feeling Pulled Apart By Horses



ATOMS FOR PEACE Live At Naeba Resort 04
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2010年01月05日

THE ROOSTERS Live At 福岡サンパレス

2009.12.29


THE ROOSTERSの再結成ライブを観る為に第2の故郷、福岡へと帰って来ました。

会場は、懐かしい福岡サンパレス。ここで最後に観たライブは、6年前の椎名林檎でした。この会場は、高校時代、演劇部でも使いましたし、高校を出てからLondonに移り住むまでしていたライブ会場の設営のバイトでもまた、何度となく仕事に来ました。何かと思い出のある会場です。



・・・さて、THE ROOSTERSライブの前に8組のバンドが出演したイベントがここで行われたのですが、僕の友人達のバンド、THE DAYSが出演したので早くから会場入りして観に行きました。

彼等は持ち時間で出来るだけ曲をやろうと、MCもせずにただ演奏しきり、凄いライブでした。

こんなこと言うとあれですが、はっきり言って他の出演バンドとは比べ物になりませんでした。高校の文化祭に1組、プロのバンドが紛れ込んだ感じ。

THE ROOSTERSの曲もライブでよくカヴァーするTHE DAYS、今日は「恋をしようよ」とかやらないの、とか冗談半分でライブ前にメンバーと話していたのですが、本当にやってしまいましたよ。THE ROOSTERS本人達はまだ会場入りしていなかったそうですが、本人達に聴かせたかったです。

来年2月にはBAND HANADAのオープニングアクトとしてライブをするTHE DAYS。次のツアーはローディーか運転手でついて行こうかな、なんてね。

お疲れ様でした。次は東京で。



THE DAYS Live At Fukuoka Sun Palace



そして、いよいよTHE ROOSTERSです。僕のチケットは、2階席。当初は観に来るつもりは無かったのですが、今日この29日が休みになり、これは観に行けという事だろうと思い、即座にチケットを買ったのでした。

今夜は、僕の友人であるTHE DAYSのメンバー達も観客としてここでTHE ROOSTERSを待ち構えています。

立ち込めるスモークの中、開演時間を15分程過ぎた頃、会場は暗転。悲鳴の様な歓声の中、赤い逆光を背に姿を現す4人の男。花田裕之、井上富雄、池畑潤二、大江慎也。

この4人が再び揃ってステージに立つ事は、もう叶わないと信じられていた時代がありました。精神を病み、全盛期のTHE ROOSTERSを脱退。そして、長い年月の療養を余儀なくされた大江氏。

6年前の2003年、そんな大江氏が奇跡的に音楽活動を再開。元THE ROOSTERSの面々が結成したROCK ’N’ ROLL GYPSIESと互いにゲスト参加する形で徐々に4人が再び集まります。そして、2004年、けじめとしてTHE ROOSTERSの解散ライブが改めてこの4人で行われたのでした。

その後も何度か4人で集まり、ライブをしてはいましたが、THE ROOSTERSの名の下に、この4人が福岡で単独公演を行うのは実に28年ぶり。

ギターが挨拶代わりのフィードバック。そこへ、少しずつ感触を確かめる様に4人の音が重なり、始まった「I’m A King Bee」。初めて聴く、大江氏のヴォーカル。今夜の彼は、健康的かつ危ない感じがしてまず安心。今夜は逃げも隠れも出来ない単独公演。日本中から期待を携えて福岡に集結したオーディエンスを前に、この状況を乗り越えた大江氏、それだけでもう感動です。

しかし、ストレートなRock ’N’ Rollの曲をオープニングに持ってくるだろうと勝手な憶測を立てていた僕にとっては、かなり意表を突かれたオープニングではありました。

続けて、大江慎也の新曲「The Silent Midnight」。グルーヴィーな曲が続きます。

そして、次、「Rosie」が。くすぶっていたオーディエンスが一斉に歓声を上げ、ギターのカッティングに合わせて踊り出しました。伝説のバンドが、瞬間にして現役のRock ’N’ Rollバンドに様変わりしました。前に出てきて挑発する様にギターソロを執る大江氏。

今夜、とにかくやられたのは池畑氏のドラム。凶暴でありながら、この上ない安定感。こんなドラマー観た事ありません。

続けて、チューニングが合わずにイントロをやり直し、「Girl Friend」へ。しかし、1年に一度、集まるかどうかの4人なのに、信じられないくらいのこの一体感は何なのでしょうか。

更に「Sad Song」、「I’m Swaying In The Air」、「ニュールンベルグでささやいて」と代表曲が続きます。彼等の音楽性の評価が高まっていったと同時に、彼等の襲いかかる苦しみもまた過酷さを増していったこの時期。覇気のある大江氏のヴォーカルでこうして今、聴く事が出来るのですから、彼等のいなかった長い時間も報われたのかなと思えます。

大江氏のメンバー紹介を挟み、車のクラクションが鳴ると「新型セドリック」へ。4人を乗せた新型セドリックは、1979年から2009年へと行ったり来たり。

花田氏がギターをFender Telecasterへと持ち替え、彼のヴォーカルで「She Does It Right」が始まりました。彼等の定番曲、DR. FEELGOODのカヴァー。聴きたかったので嬉しかったです。花田氏のヴォーカルも、今夜の大江氏に触発されてかいつものけだるい感じとは違いました。

そして、「Case Of Insanity」。叫び狂う大江氏のヴォーカルが鋭く、これでもかと胸にきます。

「We Wanna Get Everything」。2階席から観ているのに、顔面を殴られている様な池畑氏のドラム。立て続けに、オーディエンスも一緒になって「Tequila」。そして、間髪入れず「Go For The Party」が始まりました。待ち構えていたかの様に歓声をあげるオーディエンス。名義は大江慎也の曲ですが、この4人での演奏で作られた曲ですからね。

自分の体の中に、込み上げてくるものを感じました。涙です。

ライブを観て泣いた事は、これまでに何度もありました。しかし、このTHE ROOSTERSに限っては、説明がつきません。僕が生まれる前に結成され、僕が物心つく前に歴史に名を残し、消えていったバンド、THE ROOSTERS。

「Hippy Hippy Shake」。止まらないTHE ROOSTERS。その全てを受け止めるオーディエンス。演奏が終わり、無情にも退場してしまう4人を引きとめようと、すぐさまアンコールを求める拍手が。

再び登場したTHE ROOSTERSは、「In And Out」でアンコールを始めました。凶暴な大江氏のギターに、果敢に絡む花田氏のギター。それを支える池畑氏、井上氏の鉄壁のグルーヴ。

そして、「Little Red Rooster」へ。凡百のバンドには到底真似出来ないこのグルーヴ。本当に日本人ですよね、彼等。演奏が終わり、ようやくMCらしいMCが。言葉にならない言葉で感謝を述べる大江氏。そして、 ”良いお年を” と言った後に「Leather Boots」。フィニッシュを決め、再び退場する4人。僕は巧く目の前の出来事について行けず、取り残された様な感覚を覚えました。ここが何処なのかも、今が何年なのかも、分からなくなってしまった様な、そんな感覚。

まだ帰ろうとしないオーディエンスに応えて、「Walkin’ The Dog」で始まった2回目のアンコール。

「C’mon Everybody」。失われた時間を優しく包み込む様に、4人のビートは互いに隙間無くかみ合い、万感の思いを込めて祝福する30年と3000人。

演奏を終え、また退場してしまう4人。これで帰すものかと声をあげるオーディエンス。

来た、3度目のアンコール、と思いきや、挨拶のみ。また大江氏らしいMCでオーディエンスにお礼を述べ、こんどこそ本当に帰ってしまった4人。

会場の照明が点いてもまだ、終わらない拍手、アンコールを求める声。終演のアナウンスが聞こえてきてもまだ続き、やがてスタッフがアンプの電源を切ってしまうまで止みませんでした。「恋をしようよ」、「Fade Away」、「C.M.C.」、まだ聴きたい曲がありましたからね。

僕はこの歳で、音楽とは何か、Rockとは何か、という事を手取り足取りTHE ROOSTERSに今夜のライブで教えてもらった気がしました。

LondonからPunk Rockが消えても誰もがその精神を継承しているのと同じ様に、博多のRockバンド達がその昔、ビートに託した思いもまた、今のミュージシャン達に受け継がれているのです。

ライブ終了後、渡されたチラシの中に、SONHOUSEが来年デビュー35周年記念の再結成ライブを行うという告知が挟まれていました。

50歳を迎えたTHE ROOSTERSの次は、60歳を迎えたSONHOUSE。命が続く限り、博多の男達はRockの魂を絶やさず転がり続けます。今夜、東京から福岡までTHE ROOSTERSのライブを観に来た4人の若者にも、一生消えないものが受け継がれたに違いありません。



THE ROOSTERS Live At Fukuoka Sun Palace 1



Setlist:

01.   I’m A King Bee
02.   The Silent Midnight
03.   Rosie
04.   Girl Friend
05.   Sad Song
06.   I’m Swayin’ In The Air
07.   ニュールンベルグでささやいて
08.   新型セドリック
09.   She Does It Right
10.   Case Of Insanity
11.   We Wanna Get Everything
12.   Tequila
13.   Go For The Party
14.   Hippy Hippy Shake
 Encore 1
15.   In And Out
16.   Little Red Rooster
17.   Leather Boots
 Encore 2
18.   Walkin’ The Dog
19.   C’mon Everybody



THE ROOSTERS Live At Fukuoka Sun Palace 2
posted by Yoshitaka at 23:37| Comment(3) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月30日

THE FLAMING LIPS Live At The Troxy

夏に続けて、再びLondonに来た僕。

今回の滞在は僅か3日間でしたが、Londonに来てライブを観ずに去れるものか。こんな感じに、いつ来ても、誰かしら凄いアーティストが常にライブをしているLondonは、やはり侮れません。

そして、今回はTHE FLAMING LIPSに出くわす事が出来ました。会場はLimehouseにあるThe Troxy。始めて来る場所です。Londonではもう何百回とライブを観たのに、始めて来る会場なんてまだあったのか、という感じです。

ちなみに、地下鉄工事の為にAstoria、Mean Fiddler、Club Metroと由緒正しいライブハウスが3つもLondonから無くなってしまいました。どれも思い出をたくさん作った場所でした。

Londonへは遊びで来た訳では無かったので、抜け出せられるかどうか不安でしたが何とか自由時間をもらいました。同じく今夜のライブを観に行くと話していた友人に電話を掛け、会場へ。もちろんチケットは現地調達。我ながら素晴らしい行動力。



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 01



そして、3年振り3回目のTHE FLAMING LIPSを待ち構えます。相変わらずのステージセットが目に入ってくると、ほんの十数時間前にいた日本とこの空間があまりにかけ離れていて、それだけで救われた気がしました。

彼等はライブのセッティングを自らが出てきて行います。Wayne Coyneはついでに、その時オーディエンスを相手に話をします。

初めて彼等のライブを観た時、ライブが始まる前にオーディエンスに向かって ”今夜この空間で起こった事を、今夜来られなかった人に言葉で伝える練習をして欲しい” と話したWayne。

確かにTHE FLAMING LIPSというバンドは常々、



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 02



それってまさか、いや、さすがにそんなことはしないだろう、



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 03



って事を、



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 04



平気でします。



ライブは「Race For The Prize」で始まりました。3年前と同じで変わっていません。これより素晴らしいオープニングは無いのかも知れません。

オー、ヨシミー。

ヤーヤーヤーヤーヤーヤーヤーヤー。



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 05



「Do You Realize?」

いや、まだ。だからもうちょっと観させて。



そうだ、3年前、Royal Albert Hallで初めて彼等のライブを観た時、隣にいたのはqiiのギタリスト、Ryo君だった。

そして、Ryo君を僕に紹介したのは、andymoriの小山田荘平だった。

まわってる。

誰よりも音楽が好きだと言っていた癖に、一番音楽から遠ざかろうとしていたのは僕かも知れません。

得体の知れない何かに取り込まれていくその寸前で、こうして久しぶりにEuropeの自由な空気を吸えたのは本当に良かったと思います。

やはり人間は、こうあるべき、こうでないと。言葉で顕す前向きさでは無く、体全体で表現する喜び、幸せ、全ての場所と時間を繋ぐユニティー。

今、人類に必要なのはこういうバンドなんだなと痛感しました。

そして、自分自身、これから何十年経ってもこういう世界が想像の範疇であり続ける人でありたいと思います。

London、たまに来ると良い街なんですよね。

次は、いつ、誰のライブをこの街で観るのでしょうか。

では、また。



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 06



Setlist:

01.   Race For The Prize
02.   Silver Trembling Hands
03.   The Yeah Yeah Yeah Song
04.   Fight Test
05.   In The Morning Of The Magicians
06.   Convinced Of The Hex
07.   Vein Of Stars
08.   Evil
09.   See The Leaves
10.   Yoshimi Battles The Pink Robots Pt. 1
11.   Pompeii Am Gotterdammerung
12.   The W.A.N.D.
13.   Do You Realize?



THE FLAMING LIPS Live At The Troxy 07
posted by Yoshitaka at 22:28| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月25日

FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday

僕がFLOWER TRAVELLIN' BANDを観に行くと、必ず素敵な出来事が起こります。

昨年の京都公演では何と、GREENMACHINEのDatsuさん、SEC DIMENSIONのmax0831さんとお知り合いになってしまうという出来事が。

そして、ここ横須賀公演でもまた、凄い方とお知り合いになってしまいました。更に、その方と僕がLondonでお世話になっていた方が繋がっている事も判明。世間は狭いと思い知らされました。これからもどうぞよろしくお願いします。これからの関東での生活が、また更に楽しくなりそうです。

さて、初めて訪れた横須賀。東京からだと横浜よりも更に西なので、少し遠く感じますね。

僕にとって、横須賀と聞いてまず思い付くのはSAVER TIGER。HideがXに加入する前に活動していたバンドですね。解散後、ヴォーカルのKyoとTetsuはD’ELANGERを結成しましたし、各メンバーのその後の活躍を見るに凄いバンドだったんだなとつくづく思います。

折角、横須賀に来たのでドブ板通り、かぼちゃ屋等、Hide縁の場所に行ってみようと思ったのですが、生憎の悪天候でして。電車が横須賀に着く頃には、歩き回る気分も失せてしまっていました。

というわけで、会場に直行しました。今夜の会場は、Younger Than Yesterdayというステージのあるレストラン。そして、着くやいなやいきなり会場のあるビルのエレベーターでジョー山中とすれ違ってしまう僕。近くで拝見すると、本当に凄いオーラです。

今夜もまた、椅子席で座って観るライブです。セットリストは変えてくるのでしょうか。

開演時間になると暗転し、FLOWER TRAVELLIN’ BANDの文字が映し出され、やがてサイケデリックな色彩の紋様に取って代わられます。先の名古屋公演では無かった演出です。5人が登場し、いよいよライブが始まりました。

山中氏の ”こんばんは” という挨拶から始まり、名古屋公演同様、オープニングは今夜のライブも「All The Days」。僕もまた名古屋公演同様、石間秀機の目の前、ステージ上手前方に席を取りました。石間氏は今夜も音に満足された様子。

間髪入れず和田ジョージのドラムと篠原信彦のシンセサイザーが掛け合いを始め、「What Will You Say」が始まりました。そして、石間氏のシターラがスキャットの様な短いインプロヴィゼーションを繰り出し、「We Are Here」へ。やはり今回は、前回より演奏が良い。全体が良くまとまっていて余裕も生まれ、各人の演奏の自由度も増しています。

ここでMCが入ります。36年前、横須賀でライブを行った時も、今日の様に悪天候だった事を思い返す山中氏。本当に、因縁なんでしょうね。そんな歴史的なライブに立ち会える事はありがたい。

そして、「Kamikaze」が始まります。山中氏のヴォーカルは今夜も素晴らしい。続いては「Heaven And Hell」。いかにも70年代のRockバンド然とした演奏と、ディナーショーかと思ってしまう様な紳士的な山中氏の曲紹介が面白いコントラストを生んでいます。

感動的な「Shadows Of Lost Days」へ。しかし、山中氏のヴォーカルに聴き惚れている僕のすぐ前方で、随分と酒が入ったとみえる男性が奇声を発し続けていて迷惑でした。

続いては「Dye-Jobe」。今日は間奏が長く、小林ジュンのベースも掛け合いに参加する等、サービスも利いています。

MCでは先の京都公演の事、そしてこれからの展望を語っていた山中氏。本当に、何歳だろうが夢を追いかける人は素敵だと心から思います。彼等の様に何十年も前に時代を築いた人たちでさえ、まだ野望を持っているんですからね。恐れ入ります。

「Will It」、「Love Is」。ライブが進む間にも先程の酔った男性は周りに迷惑をかけ続け、注意した方と言い争いを始めました。静かな曲の間に騒がれて、本当に迷惑。下手したら僕の父ぐらいの年の人なのに、情けない。

そんな折、ライブもクライマックスに差し掛かり、「Satori Part 2」のイントロが始まります。こういうカオスな状況というのも、Rockらしいと言えばRockらしいのでしょうけれども。

すると、先程の酔った男性が遂に我慢出来なくなったのか、ステージのすぐ目の前まで出て行って踊り始めました。見て見ぬふりをする山中氏、やりにくそう。

それでも全身全霊で歌い、演奏する5人。不安と狂気が入り混じり、演奏もなかなかの戦慄を伴って聴こえてくる様になりました。

そして、2度目の間奏が始まると、とうとう嫌な予感は的中。男性はステージに上がってマイクを掴んでしまいます。

次の瞬間、山中氏がすぐさまマイクを引き離し、男性の後頭部に回し蹴りをくらわせました。

優しかった彼の表情は一変し、鬼の形相に。

1970年、FLOWER TRAVELLIN’ BANDの日比谷野外音楽堂でのライブにて山中氏は、ライブを中断しようと乱入してきた全共闘の活動家達を1人残らず殴り倒し、ステージ前列に正座して並ばせ観客に向かって土下座をさせたという出来事がありました。ヴォーカリストになる前は格闘家であった山中氏。相手が悪過ぎます。

それにしても、あまりに美しい回し蹴りのフォームに見とれてしまいました。男性は警備員に捕まえられ退場。これでようやく安心して観られます。

バンドの方も、そこからが凄まじかったです。怒りを歌い上げ、解き放つ山中氏、それに呼応するベースとドラム、それをなだめるシターラとシンセサイザー。あまりの凄さに唖然。皮肉にも今夜のこの曲は、いつもと比べて遥かに鬼気迫る演奏になりました。

続く「Hiroshima」もまた、凄まじい。それにしても、つくづくライブは生ものだなと思いました。何が起こるか分かりません。

演奏が終わり、言葉少なに退場するメンバー達。

すぐさま拍手に呼び戻され、アンコールが始まります。やはり「Make Up」です。生まれて初めて観たFLOWER TRAVELLIN’ BANDのライブは、この曲がオープニングでした。このバンドの何たるかを端的に顕した、代表曲です。

そして、「Slowly But Surely」へ。これからの決意を示した歌詞が、次の展開を期待させてくれます。アウトロでオーディエンスに対して丁寧なお礼を述べ、5人と共にフィニッシュを決めました。

結局、セットリストは名古屋公演と全く同じでしたが、ライブの内容は全く違うものになりました。横須賀まで来た甲斐があったというものです。

ライブ後は何と、「Make Up」のジャケットを再現した写真撮影。これにも感動です。こんな歴史的な夜に立ち会えて、僕は幸せです。

次は、何処でお目にかかれるでしょうか。出来る事なら、年末Torontoへ行ってまた彼等のライブが観たいものです。

デビューから39年経ったFLOWER TRAVELLIN' BAND、今が旬ですよ。



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 01



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 02



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 03



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 04


FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 05



Setlist:

01. All The Days
02. What Will You Say
03. We Are Here
04. Kamikaze
05. Heaven And Hell
06. Shadow Of Lost Days
07. Dye-Jobe
08. Will It
09. Love Is
10. Satori Part 2
11. Hiroshima
 Encore 1
12. Make Up
13. Slowly But Surely



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 06



最後に・・・



Artwork 095



FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At Younger Than Yesterday 07
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2009年09月23日

FLOWER TRAVELLIN' BAND Live At The Bottom Line

昨年に引き続き、今年もFLOWER TRAVELLIN’ BANDのライブを観に行きました。

U.S.ツアーから帰還してきたばかりの彼等。元々、今年の彼等の国内公演はRising Sun Rock Festival 2009と、36年前に名盤「Make Up」が録音された横須賀での単独公演の2箇所しか発表されていなかったので、記念的な意味合いのある横須賀公演を観に行く事にしたのでした。しかし、東京、名古屋、大阪、京都と次々に単独公演が追加され、結局ツアーという形に。

それでも僕は当初の予定通り、横須賀公演だけ観に行く予定でした。しかし、先日とある筋から名古屋公演のチケットを頂きまして、幸運にも今夜も彼等のライブを観られる事に。

会場は今池のThe Bottom Line。元々はJazz、Fusion系のミュージシャンがよくライブをする会場なので、比較的音が良いです。

昨年は、名古屋と京都で彼等のライブを観ました。特に京都は会場がRockの聖地ともいえる京都大学西部講堂で、しかも頭脳警察まで相見えるという凄まじいライブでした。

会場に入って、開演を待ちます。前回の名古屋公演同様、椅子席でした。開演時間、暗転し、歓声の中5人が登場します。ジョージ和田、ジュン小林、篠原信彦、石間秀機、そして、ジョー山中。

それぞれ個性的に着飾っていた前回と対照的に、今回は全員がモノトーンで統一された衣装。そして、今回もやはり、石間氏の持つ異様な楽器に ”何だあれは” と驚きの声が会場から聴こえてきます。名古屋という土地柄か、楽器メーカーやスタジオ関連の人が観客に多くいらした様です。石間氏の持つ楽器はギターとシタールのハイブリッド、シターラ。

演奏が始まりました。前回のツアーでは演奏されなかった「All The Days」です。優しい笑顔がトレードマークのドラマー和田氏も、複雑なポリリズムを刻むこの曲ではとても真剣な表情。そこへ、生物学の常識を超えた山中氏のヴォーカルが入ってきます。

まず、とても演奏が堅実でスムーズ。前回は良い意味でのワイルドさが彼等の演奏から感じられましたが、今回はそこから更に上の段階へ到達した様に思えます。

続いて「What Will You Say」、「We Are Here」と昨年発表されたニューアルバム「We Are Here」からの曲が続きます。これらの曲も、昨年よりも更に良く聴こえます。

PAの調子も良く、前回は調整に手間取り難しい顔をしていた石間氏もステージ袖に向かってOKサインを出していました。楽曲の骨子を損なわず、かつ自由度の高いフレーズを繰り出す彼のシターラは本当に素晴らしい。篠原氏のシンセサイザーに助けられている部分ももちろんありますが、あれだけの事をシターラ1本でこなす事がどれだけ難しい事か。

ここで山中氏のMCが入ります。ワイルドな格好、紳士的な口調。

オリエンタルな旋律と歌詞が特徴の「Kamikaze」が始まりました。この曲もコーラスが凄まじい。そして、またも今回が再結成後初披露の「Heaven And Hell」。今回は前回演奏されなかった曲を色々用意しているみたいで嬉しいです。

続くMCで ”20代の時と同じキーで歌っています。” と話し、山中氏の真骨頂である「Shadows Of Lost Days」が始まりました。後半に向かって悲壮感を携えて歌い上げていく姿は見事としか言い様がありません。

来月、63歳になるとMCで話した山中氏。5人全員の年齢を合計すると310歳なんだそうです。しかし、63歳ですよ、この声で。

続いては明るく「Dye-Jobe」。昨年ニューアルバムを聴いた時は随分ピースフルな音になったんだなと思ったものでしたが、こういう曲でも各楽器のせめぎ合い、アグレッションを観せるところは彼等のライブならでは。まさに70年代を生き抜いた者が成せる業。

今夜のライブはメンバーに親しい方が数人観に来ている様で、フロアから交互に人がステージに近寄っていってはビールやプレゼント等を彼等に手渡ししていました。その中に、何故か ”合格” と書かれた日の丸のはちまきが。手に取って苦笑していた山中氏でしたが、自慢のドレッドヘアーをかき分けて額に巻いていました。それを見て、いつもの笑みを見せる和田氏。 ”勘弁してくれよ” といった感じの顔をする石間氏。「Will It」、「Love Is」とニューアルバムの曲が続きます。

そして、ここで平和な雰囲気を一変させる、「Satori Part 2」のドラムイントロが。たちまち起こった歓声が、幻想的なシターラのイントロを迎え入れます。何度聴いても、本当に凄まじい曲ですね。まさかこの曲を、この5人が揃って演奏しているところをこの僕が観られる日が来るなんて、ほんの数年前までは考えられなかったんですからね。本当、何が起こるか分かりません。

そして、これが最後の曲、と山中氏が言い、「Hiroshima」が始まりました。ふと思ったのですが、この様に戦争を題材にした曲を、日本人で初めて北米進出を果たしたバンドが歌っていた訳ですから、随分と挑戦的に取られたんでしょうね。

戦争が終わって60年経ち、実体験をした人が減っていく事で未来へ語り継ぐ事が難しくなって来ている今。Rockもまた、この先60、70年代を実体験した人が少なくなっていってしまったら、Rockというものの実態を後世に伝えていくのは困難な事になるでしょう。その頃には、もうRockに取って代わるものが生まれているのかも知れませんが、いずれにせよ長生きすればする程その状況をまざまざと見せつけられる僕達若い世代はとても不幸に思います。

壮絶なインプロヴィゼーションが繰り広げられ、クライマックスへと向かいます。5人が呼吸を合わせてフィニッシュを決め、 拍手と歓声の中お礼を言って去っていく彼等。

しばらく拍手が続いた後、アンコールに応えて再び現れた5人。山中氏が今年の北米ツアーについて語り始め、Texasでは地元の新聞の一面にシターラを構えた石間氏の写真が載り、彼等の帰還が報道されたと話していました。

「Make Up」が始まりました。前回ではオープニングに配されていたこの曲。Hard Rockの整合感と、日本的な旋律が見事に融合したこの曲。60年代から70年代に移行したその時既に、日本人がこんな音を出していたなんて信じられません。もし、これが70年代に国を挙げてのムーヴメントへと育っていたら、ここまで腐った音楽が蔓延する国にはならなかったでしょうに。

よくLED ZEPPELINと比較されるFLOWER TRAVELLIN’ BAND。そういえば、2年前LondonでLED ZEPPELINが再結成した時、僕は彼等のライブを観に行きませんでした。僕と親しい人は皆、僕がどれだけLED ZEPPELINを愛しているか知っているので、何故観に行かなかったんだと質問攻めに遭いました。理由は単純、夢を壊されたくなかったからです。再結成ブームが始まった頃、LED ZEPPELINだけはもし再結成してもライブは観に行かないと心に決めていましたから。

Robert Plantは再結成ライブではキーを下げて歌っていましたが、山中氏はオリジナルキーのまま。これは本当に、当たり前の様ですが凄い事です。

アンコールのラストは「Slowly But Surely」。若い世代と古い世代の融合を歌ったこの曲。若い世代を代表する1973年の彼等が書いたこの曲を、古い世代を代表する2009年の彼等が歌う。悠久の時を超え、かつて無いスケールの曲に今、生まれ変わります。

演奏が終わり、満足げにステージを去っていく彼等。全体的に、昨年より凄くなっています。

年末には再びCanadaでのライブ、そして来年には2度目のU.S.ツアーを計画しているという彼等。本当に、若いバンドも負けていられませんよ。

次は、いよいよ36年ぶりの横須賀公演を観に行って参ります。



Setlist:

01. All The Days
02. What Will You Say
03. We Are Here
04. Kamikaze
05. Heaven And Hell
06. Shadow Of Lost Days
07. Dye-Jobe
08. Will It
09. Love Is
10. Satori Part 2
11. Hiroshima
 Encore 1
12. Make Up
13. Slowly But Surely



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2009年09月16日

非常階段 Live At Namba Bears

非常階段の結成30周年ライブを観に、大阪まで行きました。

Noiseの始祖として世界にその名を知らしめる非常階段。僕がLondonに住んでいた頃も彼等は常に欧米をツアーしていて、何度も観る機会があったのですが何故かいつも都合がつかず、初体験は今回まで持ちこされてしまいました。

ちなみに、Londonに移住する前、日本に住んでいた頃はまた、10代の僕にとって非常階段はこの上無く怖ろしい存在で、ライブなど自ら殺されに行く様な気がしてとても観に行けませんでした。

今年はACID MOTHERS TEMPLE、ROVO、MAHIKARI等、何時に無く説明の付かないライブを多く観てきました。今夜もまた、その様なライブが観られる事でしょう。

会場は山本精一が店長を務めるNamba Bears。いつも大阪で観るライブというと、Summer Sonicや来日する欧米のミュージシャン等で広い会場ばかりでしたが、これでようやく大阪のアンダーグラウンドな部分に足を踏み入れる事が出来ます。

また、街自体も今までは梅田や心斎橋ばかりで遊んでいましたが、今回は日本橋や通天閣付近を彷徨ってみました。どうして今まで来なかったんだというくらい、面白い所ですね。僕にとって、Asiaで一番好きな街が香港な様に、街はカオスな方が好きみたいです。

会場は地下。降りていく階段に、おっと、これは・・・



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 01



会場内で壁一面に張られたステッカーやチラシを眺めているとやがて開演時間になり、まずJojo広重が登場。丁寧な挨拶、そして、今日のプログラムを説明し始めます。まずは様々なメンバーの組み合わせによる4セットのライブを、広重氏、T. 美川、岡野太の3人によるセッションから始めるとの事。広重氏の口調はとても優しく、凶暴な音楽を実践している人なのに、こんなに優しそうな人だったなんて驚いてしまいました。

しかし、そう思ったのも束の間、気合いの入った掛け声と共に、瞬時にして彼等の世界に入っていきました。中腰でGibson SGを構えフィードバックを発生させる広重氏。テーブル一面に並べられたエフェクターから壮絶なノイズを繰り出す美川氏。トリプルバスにシンバルをこれでもかと配した要塞の様なドラムとは裏腹にシンプルな音で攻める岡野氏。これですよ、これが非常階段です。

続いては、美川氏と共にINCAPACITANTSのメンバーでもある小堺文雄のソロ。

挙動不審気味に小堺氏が登場し、小声で挨拶。そして、チューニングの外れたアコースティックギターを拙く演奏し始め、「くるわ」、「心臓抜き、冷たく」、「気の合った夜」の3曲を披露。今にも消えてしまいそうなか細い歌声と不協和音を奏でるアコースティックギター。終末的。

小堺氏はそのままに、Junkoが登場。アコースティックギターと叫び声による、インプロヴィゼーションが始まりました。彼女の声は人間の限界を超えています。喉は大丈夫なんでしょうか。それでも聴いているうちに、 ”怖い” が ”美しい” に変わっていくので不思議です。

次は小堺氏と美川氏が入れ替わり、エフェクトノイズと叫び声のインプロヴィゼーション。凶暴なだけで無く、何処か統制が布かれている様でまた、才能を感じます。

前半が終わり、暫くの休憩に。そして、後半の始まりには再び広重氏が登場。非常階段結成のいきさつ、過去に犯した数々の伝説ついて語り始めます。結成30周年に際して広重氏は、 ”もう30年くらいやろうかな” と頼もしい一言。そして、広重氏の話は彼が非常階段を結成する動機となったFree Jazzの世界的権威、山下洋輔の事に。今夜はその山下氏のバンドメンバーであった坂田明が、スペシャルゲストとして招かれています。

広重氏の紹介により、坂田氏が登場。そして、岡野氏と共にギター、サックス、ドラムによるインプロヴィゼーションが始まりました。前半で控えめだった岡野氏のドラムが何かが切れた様に凶暴になっていて良い感じ。ギターのフィードバックと歯切れの良いサックスの音色がコントラストを描いていて綺麗でした。

そして、非常階段のメンバー全員と坂田氏がステージ上に集い、遂にラストのセッションへと移行していきます。もうその凄まじい音は言うまでも無く、暴れ狂う各人の姿にただ見とれていました。

狭いステージの上に6人いるだけでも壮観なのに、広重氏と小堺氏が交互にフロア前列の観客とぶつかり合い、危険な感じになってきました。

演奏が始まって30分が経過。そろそろ何かが来る、と思った次の瞬間、前方から黒い塊が。

トランス状態になった広重氏が、アンプを担いだままフロアに突進して来たのでした。

僕は、今まで色々な国で色々な人種のミュージシャンのライブを500回以上、観てきましたが、アンプを担いで観客に向けて突進してきたミュージシャンは初めて観ました。

それに続き、今度は小堺氏がフロアに降りてきてのたうちまわります。この様に精神を解放出来る大人になりたいものです。

それでも、今や伝説となった過去の彼等による常軌を逸したパフォーマンスの数々に比べたら、今夜のライブなんて平凡過ぎるくらいですよね。

これは、熟練の末に話題性に頼らなくても良くなった、という訳では無く、純粋に彼等が30年間同じものを信じてきた結果の洗練に他なりません。現に今夜の演奏を観ていても、歴史的名盤とされている「蔵六の奇病」や「終末処理場」の様に精神に異常をきたしてしまいそうな怖さは後退していて、替わりに奇妙な爽快感すらある感じです。

カオスのうちに終了したライブ。無言でステージを後にするメンバー達。

アンコールに応え、再び登場する広重氏。 ”楽しいね。” と嬉しそうに話し始めます。

 ”30年やってきて分かった事は、長生きしていると色々な事があるという事だね。僕も「生きている価値無し」とかいうアルバムを出したけどさ、長生きしようぜ、みんな。”

そんな広重氏の言葉が、胸に来ました。

そして、広重氏、美川氏、小堺氏の3人でノイズの応酬。3人で手を繋ぎ、腕を挙げ、勝ち誇った様に叫びます。その顔はやはり、笑顔。本当に楽しそうです。

ラストはやはり、フロアに乱入してミュージシャンとオーディエンスが入り混じり壮絶な展開に。

遂に観る事が叶った、非常階段。30年前は観る者にトラウマを与え続けた、非常階段。今の非常階段は、どうでしょうか。広重氏の言う通り、楽しいではありませんか。

帰り、会場を出ようとすると、ハンチング帽を被った見覚えのある男性が腕を組んで、誰もいなくなったステージを嬉しそうに眺めていました。店長の山本氏です。今年はROVO、MAHIKARI、山本精一 & 河端一、カヒミカリィと、山本氏が出演するライブもまた多く観た年でした。年末にはACID MOTHERS TEMPLEと山本氏のジョイントライブが名古屋の得三であり、楽しみです。

非常階段やACID MOTHERS TEMPLEの様に形の無い音楽に限らず、日本にはテレビには映らない素晴らしいミュージシャンが多くいます。そして彼等が常に、日本の外で歓迎されている事実は後進を励まし続けています。

恐れ慄いて帰る筈が、こんなに清々しい気持ちになるなんて。そんな不思議な大阪の夜でした。



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 02



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 03



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 04



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 05



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 06



Setlist:

01. ・・・Setlistって??



HIJOKAIDAN Live At Namba Bears 07
posted by Yoshitaka at 04:59| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月28日

U2 Live At Croke Park Stadium

13歳の時、僕はU2というバンドに出会い、「Joshua Tree」というアルバムを手にしました。

少年の僕は例え様の無いそのサウンドに心を奪われました。そして、彼等がIrelandという、Europeの果てにある小さな国から来たと知り、1つの夢を持ちました。

Irelandで、U2のライブが観たい。

今年の夏、Europeから始まった彼等のツアー。今回のツアーを観ようと思ったら、London公演は帰国予定日より遥か先の8月14日からなので不可能。大陸の他の国に観に行くというのは、観光ビザでU.K.に入国している関係で難しい。それならば、Irelandに行って観るしか方法が無い。そんな感じに、意外と唐突に長年の夢は叶う事になりました。

Dublinの北にある、Croke Park Stadium。今夜、ここでU2のライブが行われます。前回、彼等のライブを観たのはLondonでした。そして今回は、遂にDublin。この日をどれだけ待ちわびたことか。

今日は天気が悪く、会場に向かう途中も酷い雨に見舞われました。ライブが予定通り行われるか心配になる程の雨。しかし、会場に着き、中に入ると見事に雨は止み、日も差してきてくれました。

「U2 360°」と題されたU2の今回のツアー、何やら久しぶりに凄い事になっている、と話題が持ちきりですが。スタジアムの中に入り実際にこの目で見ると言葉を失いました。



U2 Live At Croke Park Stadium 01



何ですかこれは。



総工費は、約100億円だそうです。こんなものを、ステージとして世界中を持ち歩いているんですね。参りました。

スタジアムですので半分野外の様なもの。まだ明るいうちからDAVID BOWIEの「Space Oddity」が聴こえてくると同時に、ステージセットからスモークがあがります。そして、Larry Mullen Jr.が現れ、ドラムセットに座りリズムを刻み始めました。しばらくして、Adam ClaytonとThe Edgeが登場。3人の音が合わさり、「Breathe」のイントロになりました。

黒いジャケットを着たBonoが現れました。スタンドマイクを傾けて歌い始めます。えらく気合が入っているBono。まくしたてる歌詞が、プロパガンダの様。

続いて、同じくニューアルバム「No Line On The Horizon」からタイトルトラック、「No Line On The Horizon」。スモークの向こうに観える4人。8万人の歓声と、ステージに向けて差し出される手。

厳選された少数の音、一聴して彼と判るフレーズ、The Edgeのギターは本当、素晴らしい。

更に「Get On Your Boots」、「Magnificent」と、それ程馴染みの無いニューアルバムから4曲続き、少々呆気にとられていました。しかし、そこから「Beautiful Day」へと繋がり、一斉に歓声をあげる周りのオーディエンスと共に僕の気持ちもようやく彼等に追いついた気がしました。

「Elevation」、「Desire」、そこからは僕の知っているU2でした。アコースティックでシンプルに仕上げた「Stuck In A Moment You Can’t Get Out Of」。個人的には全然思い入れの無かったこの曲ですが、このアレンジで聴かされて初めて好きになりました。こんなに美しい曲だったんだ、と。

そのままアコースティックのセットで、昨年亡くなったTHE DUBLINERSのRonnie Drewに捧げると言い彼等のカヴァー「The Auld Triangle」を披露。Dublinならではですね。

「One」、「Until The End Of The World」。U2に関しては僕の中でも初期の作品群に敵うものはありませんが、思い入れは90年代の賛否両論のあったU2にもかなりあります。30年間、あらゆる姿を見せてきたU2ですが、僕が初めてリアルタイムで接したU2というのは「Pop」でしたからね。

「The Unforgettable Fire」が始まりました。すると、ステージ上部にあったスクリーンがほどけ、網目状になって下に降りてきます。凄い。こんなもの、観た事がありません。U2は近年のツアーではシンプルなステージを好んでいたので、かつて「Zoo TV」や「Popmart」で観られたエクストラヴァガンザとしてのU2は、もう観られないと思っていました。

そして、やはりそういうステージのコンセプトに合わせてか、シンプルだった前回のツアーでは初期の曲が割と多めに聴く事が出来て、今回は90年代の曲が多めです。

間髪入れずに始まった、「City Of Blinding Lights」のイントロが僕を襲います。スペーシーで美しいメロディーと、近未来的なステージセットの組み合わせが素敵。その後は、「Vertigo」で明るい雰囲気に。曲の終わり、RAMONESの「Do You Remember Rock 'N' Roll Radio」を口ずさむBono。そして次は「I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight」へ。明るい路線が続きます。

しかし、次に始まったのが誰もが知っているあのセンセーショナルなドラムイントロ。そうです、「Sunday Bloody Sunday」です。スクリーンに映し出される、ムスリムの女性、アラビア語のメッセージ。そして、勇壮に歌い上げるBono。いよいよ、彼等らしい政治的な側面を見せ始めました。

Martin Luther King Jr.牧師に捧げる「Pride (In The Name Of Love)」と「M.L.K.」。アウンサンスーチー女史に捧げる「Walk On」。音楽では世界を変える事は出来ないのかも知れません。ただ、伝えたい事を伝えられるという独自性にかけては、何よりも素晴らしい。

そして、次は映像でDesmond Tutu大主教による演説が始まりました。アパルトヘイトから黒人を解放した大主教の演説は、今は解放を求め闘う世界中の人に向けられています。

人種。宗教。解放へ。どの通りにも名前が付けられていない様な、原生の地へ。

あのイントロが聴こえてきました。U2にまつわる個人的な思い入れの全ては、このイントロから始まり、今も尚、ただここに集約されるのみです。

「Where The Streets Have No Name」。僕みたいな小さな存在が、ここまで感動するこの曲。一体、地球上のどれだけの人のシンパシーがこの曲に宿っているのでしょう。

クライマックスの後は、「Bad」でしめやかに。THE ROLLING STONESの「Fool To Cry」を挟み、「40」へと繋げます。そして、ステージを去る4人。

すぐさまアンコールを求める声が始まり、間も無くステージに戻って来た4人。Bonoは赤いレーザーを発するスーツを着ています。ハンドル型のマイクを持ち、歌い始めたのは「Ultraviolet (Light My Way)」。この曲、僕がU2の中でも凄く好きな曲で。もう本当に嬉しかったです。泣きそうでした。

そして、そこで許してくれないのがやはりU2。今度は「With Or Without You」が始まりました。

歌い終えたBonoはオーディエンスに、そして今回のツアーを実現させるに至ったスポンサーや自治体の協力に感謝を丁寧に述べ、静かに「Moment Of Surrender」へと入っていきました。やがて、全てが終わり、笑顔を見せて4人は再び去って行きます。あれだけクライマックスを何度も迎えながらも、ラストは実に静かに終わるんですね。

全身を襲う感動は、ライブが終わって観客が帰り始めた後も、夜のDublinの街を歩いて帰る間も、抜ける事はありませんでした。2年前、New YorkでRAGE AGAINSTH THE MACHINEのライブを観た時を思い出していました。あの時も、まさにこんな感じ。

こんなに感動する事、人生に於いて他にあるんでしょうか。いつも思います。しかし、これを超える感動をこの先、生み出していかなければならないんだと感じました。

Dublinに、ありがとう。U2に、ありがとう。

僕の中で、何かが終わって、何かが始まった、そんな夜になりました。



U2 Live At Croke Park Stadium 02



U2 Live At Croke Park Stadium 03



Setlist:

01. Breathe
02. No Line On The Horizon
03. Get On Your Boots
04. Magnificent
05. Beautiful Day
06. Elevation
07. Desire
08. Stuck In A Moment You Can't Get Out Of
09. The Auld Triangle
10. One
11. Until The End Of The World
12. The Unforgettable Fire
13. City Of Blinding Lights
14. Vertigo
15. I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight
16. Sunday Bloody Sunday
17. Pride (In The Name Of Love)
18. M.L.K.
19. Walk On
20. Where The Streets Have No Name
21. Bad / Fool To Cry / 40
 Encore 1
22. Ultraviolet (Light My Way)
23. With Or Without You
24. Moment Of Surrender



U2 Live At Croke Park Stadium 04
posted by Yoshitaka at 20:35| Comment(4) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月25日

GLEN MATLOCK、WILKO JOHNSON、PETER GREEN、etc

とまあ、今回Londonで観た主なライブはそんな感じでした、というのが前回までの日記です。

ここではその他観たライブをまとめて紹介します。



GLEN MATLOCK

SEX PISTOLSのベーシスト、Glen Matlock。彼は4人の中で最も精力的に活動しているミュージシャンだと思います。Londonでも頻繁にソロライブを行っていて、この日はDirty Southという名前のパブでライブをするとの事。パブの場所を調べてみて唖然。僕が5年前、生まれて初めて1人暮らしを始めたアパートの裏。という事は、Londonの中心部を挟んで反対側。

こんな遠くまで、自分も本当に物好きだなと思いながら行きました。

ライブはアコースティックで、SEX PISTOLSの曲とソロの曲が半々くらい。始まったのが夜中12時で、1時半に終了。



Glen Matlock 01



ライブ後、外でくつろいでいたGlenに話しかけます。Glenはとてもフレンドリーで話好きでした。

 ”初めて日本に行った時、フクオカっていう街でさー” 

 ”BLUR観た?俺レコーディングで行けなかったんだよ。どうだった?良かった?”

等々、話も盛り上がり。Londonで何してるの?えっ、バンドやってるの?と逆に質問もされ、何だか近所のおじさんと喋っている様で凄く和みました。

ちなみに、SEX PISTOLSは次はいつやるの、と聞いたところ、来年だね、と言っていました。そして、

 ”俺、SEX PISTOLSは好きだよ。”

彼はそう付け加えました。あのバンドを作り上げるのに貢献したGlenが脱退した後、加入したSid Viciousが良くも悪くもPunk Rockのアイコンになってしまった為、陰に隠れがちなGlenですが、そんな言葉を聴いて少し胸にくるものがありました。



Glen Matlock 02



WILKO JOHNSON

Pub Rockの始祖DR. FEELGOODの中心人物、Wilko Johnson。この人、Londonでは実に頻繁にライブをやっていて、本当にいつでも観れると思っていて結局まだ観た事が無いままでした。Pub Rockはその名の通りパブで観ないと、という事で、Londonの南西にあるPutneyのThe Half Moonというパブで行われたライブを観に行きました。

一言。何で今まで観なかったんだ。

黒いボディーに赤いピックガードのFender Telecasterを抱き、ピックを使わず指先で凄まじいカッティングを繰り広げるWilko。いつの日からか髪は無くなりましたが、あの怖ろしい目つき、奇妙な動き、70年代から全く変わっていません。ただただ、格好良い。Pete TownshendやBernard Sumner等、まさしく僕の好みのギタリスト。長年の相方、ベーシストのNorman Watt-Royとの絡みも絶妙。もちろん、「She Does It Right」、「Bye Bye Johnny」も聴けました。



Wilko Johnson



PETER GREEN

FLEETWOOD MACのオリジナルギタリスト、Peter Green。FLEETWOOD MACの世界的成功の裏でドラッグから抜け出せなくなり、廃人になってしまったPeter。後年Gary Mooreの助力によって復帰を果たすも、なかなか本格的に活動を再開出来ないまま20、30年と時は経ち、今に至ります。

以前、一度だけEric ClaptonやBill Wyman等が参加したチャリティーライブで彼の姿を観た事はありましたが、単独公演なんて初めてです。かつての美男子が、別人の様に太ってしまって痛々しくはありますが、人前に出て来ようという気持ちがあって、殆ど告知されなかったライブにも拘らず、会場となったCamdenのDingwallsは満員。未だにこれ程多くの人が、彼のギタープレイを忘れられずにいるんですね。

FLEETWOOD MACの曲は「Albatross」と「Black Magic Woman」以外演奏されず、後はBluesのスタンダードナンバーやカヴァーが続きました。でもこういうライブこそ、観られるだけで奇跡。

FLEETWOOD MACが今年、久しぶりのワールドツアーに出て世界中のアリーナやスタジアムでライブをしている裏で、Peterがこうして小さなライブをしているという事実には切ない気持ちにさせられますがね。



Peter Green



SPINAL TAP

Wembley Arenaにて一夜限りの再結成を果たすというコメディアン兼Heavy Metalバンド、SPINAL TAP。これは観ておかないとと思って観に行ったんですが、これが有り得ないくらいつまらなくて。



SPINAL TAP



唯一の救いは、シークレットゲストとして何とEMERSON LAKE AND PALMERのKeith Emersonが登場した事。これは驚きました。Keithは相変わらず暴れておりました。EMERSON LAKE AND PALMERもそろそろ再結成してくれませんかね。



Keith Emerson



JOHN MAYALL

Eric Clapton、Jack Bruce、Peter Green、Mick Fleetwood、Mick Taylor、Dick Heckstall-Smith、挙げればきりが無い程、世界的なミュージシャンを何人も自身のバンドJOHN MAYALL AND THE BLUES BREAKERSで育てたBluesの伝道師、John Mayall。

Charlotte Street Blues Clubという、画廊とライブハウスが一緒になったとてもアーティスティックな会場。

御年75歳のJohnはキーボードを演奏しながら歌、ハーモニカ、ボイスパーカッションを交互にこなすという離れ業をやってのけ、MCでも終始客を笑わせ、生粋のエンターテイナーぶりを発揮していました。50年もミュージシャンをやっていると、こんな境地に至れることもあるんですね。Londonですし、JOHN MAYALLですし、それこそ誰かシークレットゲストとして登場してくれないからと思っていましたが、それは無し。

ただ、惜しむらくは、最後までギターを演奏しなかったという事。Johnといえばギターなのに。残念。



John Mayall



これで、今回のLondonで観たライブの日記は終わりです。

あくまで、”Londonで観た” ライブは以上、ということです。

日本に帰る前に、もう1つ、ライブを観ました。それで本当に終わりです。これがまた、色んな意味で凄かった。またこのライブは、僕が13歳の時に抱いた夢でもありました。お楽しみに。
posted by Yoshitaka at 05:38| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月21日

BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire

黒人によるHard Core。ミクスチャーの元祖。音楽史に於いて何かとアイコン化され、崇め奉られているバンド、BAD BRAINS。元々、色々な意味で変なバンドではありましたが、今では本当の意味で変なバンドになってしまっています。

思い返せば、今は亡き老舗ライブハウスAstoriaで観た最後のライブが、このBAD BRAINSでした。あの時は、実に久し振りのBAD BRAINS来英という事もあって、会場もかなり賑わい、今まさに未知の存在と対峙せんとするオーディエンスには神妙な雰囲気が窺えました。

しかし、肝心のライブはとても微妙な結果に。個人的にも、H.R.の変貌ぶりと、オーディエンスのブーイングが鮮明に記憶に残ってしまっています。

今回のライブはあれから約1年半。会場はAstoriaよりも更に広いShepherds Bush Empire。あの時のライブを経験した人が多いのでしょう、中に入ると、フロアはなかなか寂しい感じ。人がいないので、冷房がよく行き届いてかえって肌寒い。

かくいう僕も、前回のライブを観たのなら今回は止めておけばいいのに。こういうところが、本当に自分でも物好きだなと思ってしまいます。物価が高くて有名なこの国で、ほぼ唯一日本より格段に安いもの。それは、ライブのチケットです。それにつられてこの有様です。

開演時間、暗くなったステージに静かに現れる4人。前回は宗教色を前面に出した格好をしていたH.R.でしたが、今回はラスタ柄のジャケットを着て、随分まともに見えました。

丁寧過ぎる挨拶と、メンバーを1人ずつ紹介した後、いきなり「Attitude」から始まりました。すると、今まで何処に隠れていたんだという感じに、瞬時にしてフロアの前面は人だかりが出来、暴れ始めました。

「Right Brigade」、「Sailin’ On」、「Regulator」、BAD BRAINSがBAD BRAINSだった頃の曲が続きます。取り敢えず、安心しました。前回のライブよりは、遥かに正常。

しかし、オーディエンスはもちろん、Dr. Know、Darryl Jenifer、Earl Hudsonの3人はいかにもHard Coreのライブらしいライブを展開していくのですが、やはりH.R.だけは様子がおかしい。どの曲でも直立不動で、歌詞を呟くだけ。時折、ステージ上を徘徊したり、奇声を発したりします。彼の奇行は今に始まった事ではありませんが、それでも観る者を不安にさせます。

演奏は基本的にかなり巧いですね。僕もLondonで組んだバンドのうち、2つは黒人と一緒に組んだバンドでした。彼等は常にフィーリングに頼った自由極まりない演奏をしていたので、黒人のミュージシャンというのはそういうものだという認識が出来てしまっていました。しかし、良く考えてみれば、U.S.のバンドというのはどのジャンルでも本当に演奏が巧い。逆にフィーリングに頼ってというか、率直に言って歌や演奏の技術が下手なのは決まってU.K.出身のバンドですよね。僕の敬愛するNEW ORDERも、演奏は有り得ないくらい酷いですもんね。無論、それに勝って有り余る何かがあるというのが、U.K.のバンドの魅力であり、武器であった訳ですが。

そして、Hard Coreは一段落し、Reggae調の「Jah Love」が始まりました。待っていましたと言わんばかりに嬉しそうに歌い始めるH.R.。これが彼の世界なのでしょう。ディストーションが掛かったままの音で綺麗なカッティングを聴かせるDr. Knowのギター、神秘的です。CDで聴くだけではそこまで気付きませんでしたが、こうしてライブで観ると彼の演奏するギターはとてもユニークですね。

現時点でのニューアルバム「Built A Nation」から「Give Thanks And Praises」、「Universal Peace」と続きます。モダンなサウンドに、ラスタファリズムのメッセージを乗せているこれらの曲は、斬新といえば斬新、無理矢理といえば無理矢理。

初期の名曲「F.V.K.」、SOUL BRAINS時代の「On Like Popcorn」と続き、またH.R.のReggaeコーナー「I And I Survive」。気持ち良さそうに歌う彼。Hard Coreの曲では無いと判った途端、話し声が目立ち始めるフロア。少しH.R.がかわいそう。しかし、彼はそんなフロアの話し声など聴こえていないかの様に、無心に歌い続けます。

こちらもつられてリラックスしていたら、その後すぐ来ました、「Banned In D.C.」。非常にマイペースではありますが、このライブの持って行き方に、前回とは違い、聴かせよう、楽しませようとしてくれている彼等の姿勢を感じます。

Dr. Knowのギターソロが冴える「Sacred Love」、H.R.が拝みながら歌う「Soulcraft」。今回のライブでは、彼と一緒に合掌して祈りを捧げる人の姿も見えました。

続くReggaeの「I Luv Jah」では自分の世界に入り込むH.R.をよそにジャムセッションが繰り広げられます。一瞬、誰のライブを観に来ているのか分からなくなりました。

演奏が巧過ぎてHeavy Metalみたいに聴こえる「At The Movies」。歌い終わると、優しい口調でH.R.が話し始めました。でもよく聴き取れません。あちらの方に向かって拝みなさい、というジェスチャーは分かりました。

「Re-Ignition」では、暴れるオーディエンスを見つめ ”よろしい” と言う様に頷いていたH.R.。別にこれはこれで、格好良いと思いますよ。

そして、「Pay To Cum」。さすがにこの曲くらいは、という事なのでしょうか。真面目に歌ってくれたH.R.。しかし、彼は何故かフルアコを抱えて演奏しながらこの曲を歌います。この曲でこの姿は、絶対に変。

H.R.がステージ上から去り、これで終わりかと思いきや再び始まった演奏。以降、3人で延々とセッションを繰り広げます。時折現れてはリックを呟き、また去って行くH.R.。

かなり長い時間、セッションをしていたと思います。そして、ようやくH.R.がまともにフロントに立ち、マイクに向かったと思ったら ”今夜はこれで終わり” と一言告げ、そぞろに4人は退場してしまいました。何だそれは、といった感じのリアクションをするオーディエンス。すぐさまアンコールを求める声が始まります。

どうやら出てきてくれた4人。アンコール、やってくれるみたいです。まだあの曲を聴いていませんからね。

という訳で、「I Against I」。この曲もまた、粗末に扱えないという事なのでしょうか。H.R.は真面目に歌ってくれました。この真面目に歌ってくれたときのH.R.、この姿を目にしたときだけ、目の前にいるバンドはあのBAD BRAINSかも知れない、という気にさせてくれます。

そして、曲が終わり、すぐさままた去って行く4人。今度こそ終わりです。

僕自身、Hard Core周辺の音楽を好んで聴いていた時期は非常にラディカルだったので、甘んじた姿、日和になった姿というのはどんなバンドに於いても許せませんでした。それがつまり、BAD BRAINSではReggaeの部分だったんでしょうね。ですから僕の意識の中でのBAD BRAINSの像というのは、ごく初期の、本当に危険だった頃の彼等の姿に固定されてしまっているのでしょう。

Reggae等、ルーツ音楽に関してはLondonに来てからかなり鍛えられたので、今でこそ理解出来る部分は多いです。もし、10代の頃に今の彼等のライブを観てしまっていたら、落胆の程度もかなり違っていたでしょうね。

そうは言っても、BAD BRAINSのライブが観られる機会なんて、そう無いですから。これはとてもありがたい体験なのだと肝に銘じておかなければ。

この後、彼等はFuji Rock Festival 2009へ出場します。僕からは結の言葉として、彼等はやれば出来る、という非常に差し出がましい言葉を捧げておきます。



BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire 01



BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire 02



BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire 03



BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire 04



Setlist:

01. Attitude
02. Right Brigade
03. Sailin’ On
04. Regulator
05. Jah Love
06. Give Thanks And Praises
07. Universal Peace
08. F.V.K.
09. On Like Popcorn
10. I And I Survive
11. Banned In D.C.
12. Sacred Love
13. Soulcraft
14. I Luv Jah
15. At The Movies
16. Re-Ignition
17. Pay To Cum
 Encore 1
18. I Against I



BAD BRAINS Live At Shepherds Bush Empire 05
posted by Yoshitaka at 05:42| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月18日

MORRISSEY Live At Brixton Academy

そもそも、今回Londonに来ようと決め、標準を合わせたのはBLURの復活ライブでした。それなのに、同時期にAC/DC、NINE INCH NAILS等もEnglandに来てくれて、またも運の良さを発揮。

そして、こちらも本当に奇跡的。5月に予定されていたツアーが延期になり、僕がLondonにいるこの7月に予定が組み直された、MORRISSEY。

MORRISSEYのライブを観るのは丁度1年ぶり。前回はWireless London 2009のヘッドライナーとしてHyde Parkで彼のライブを観ました。今回の会場は、Hyde Parkよりも遥かに小さいBrixton Academy。小さいとはいえ、キャパシティーは5000人もありますが。

PIXIES、SYSTEM OF A DOWN、SIGUR ROS、TOOL、THE JESUS AND MARY CHAIN、SEX PISTOLS、IAN BROWN等、ここBrixton Academyでは実に多くのライブを観ました。

Londonの中でも、治安の悪さで有名なBrixton。今日はBrixtonへ向かう地下鉄Victoria Lineが動いていなかったので、2番目に近いNorthern LineのStockwell駅から歩いていく事に。久し振りにこちらの方へ来ましたが、駅を降りて会場に着くまでの道、ギャングはあちらこちらでたまっているわ、すれ違うのはフーディーばかりだわで相変わらずとても怖い。

LondonのThames川以南は危険な場所が多いと言われます。僕が住んでいた家のあるElephant And Castle。僕の通った大学があるNew Cross。僕のバンドが使っていたスタジオがあるPeckham。これらはすべて、凶悪な地区として有名です。よく4年間無事でいられたと今になって思います。

さて、懐かしいBrixton Academyの中へと入って行きます。この不況の所為か運営する会社がCarlingからO2へと変わりましたが、だからと言って特に何も変わっていません。ステージ上にはスクリーン。ELVIS PRESLEY、THE VELVET UNDERGROUND、NEW YORK DOLLS等、Morrisseyが敬愛するミュージシャン達の映像が映し出されています。

開演時間、暗転と共にスクリーンが撤去されます。そして、暗いSEの中、静かに現れるMorrissey、そしてTHE LADSと呼ばれるバックバンドの面々。

ライブはいきなり、THE SMITHSの「This Charming Man」から始まりました。嬉しかった反面、このHeavy Metalの様な整合感のある、そつの無い演奏に、THE SMITHSの頃からのファンにしてみれば違和感を覚えることでしょう。僕も感じるくらいですから。

Morrisseyは病み上がりである事を微塵も感じさせない、いつものエモーショナルな歌声を聞かせていました。攻撃的な「I Just Want To See The Boy Happy」、ニューアルバム「Years Of Refusal」から「Black Cloud」と続きます。

そして、早くも「How Soon Is Now?」のセンセーショナルなギターリフが始まり、信者の様なオーディエンスの歓声に迎えられ、歌い出すMorrissey。前回のライブでは、ステージ上に仰向けに倒れこんだMorrisseyにスポットライトが当たり、イントロの後に起き上がるという演出を観せていました。今回は、歌い終えると同時にドラムセットの前に倒れこむMorrissey。

再びニューアルバムから「I'm Throwing My Arms Around Paris」。今の彼のライブでは、2004年以降のアルバムから定番曲として定着した曲が多くあります。

僕が日本を離れLondonに来た年、2004年は、Englandが国を挙げてMORRISSEYの復活祭を行っていた年でした。U.K.のバンドも、U.S.から来たバンドも、一様にMORRISSEYに賛辞を述べ、THE LIBERTINESやFRANZ FERDINANDがチャートを席捲した事さえMORRISSEYの帰還が国の音楽界を活性化させた賜であると報道がなされていました。

そして、「Ask」です。今夜は序盤から、かなりアグレッシヴなライブです。

「When Last I Spoke To Carol」の後は、「Mama Lay Softly On The Riverbed」、「You Just Haven't Earned It Yet, Baby」、「Moon Over The Kentucky」とメロウな路線に。静かに聞き入る事の多かったオーディエンスですが、「Irish Heart, English Blood」で再び盛り上がります。

前回と違い、ステージの近くでライブが観られて気が付いたのですが、曲が終わったと思ったらすぐさまギターを変えたり、ポジションを移動したり、THE LADSのセットチェンジが非常に機敏。鍛えられているんだなと思いました。

メンバー紹介、1人ずつTHE LADSの面々を紹介した後、 ”そして僕は個性も価値も名前も無い存在” といつもの様に自嘲するMorrissey。

そして、ここからがサービスが利き過ぎて怖いくらいの展開に。「Girlfriend In A Coma」、「Because Of My Poor Education」と、次々にオーディエンスを喜ばせる曲が演奏されます。

”僕が幸せそうに見えるかい。何故なら、実際に幸せだからね。” そう言って始まった、「I Keep Mine Hidden」。世界中のファンから一心に愛され続け、Morrisseyも今年で50歳。

曲が終わっても騒ぎ続けている観客に対し、 ”そこの彼が何か言いたがっている様だ。マイクを渡してみようか。” とオーディエンスに問いかけるMorrissey。オーディエンスが歓声で応えると、 ”残念。僕は多数の意見に従った事は無いんだ。” と皮肉にあしらい「The World Is Full Of Crashing Bores」へ。

そして、間髪入れずに始まったTHE SMITHSの「Some Girls Are Bigger Than Others」。ライブでは初めて聴けたのですごく嬉しかったのですが、やはりオリジナルの印象とは随分違います。かと言って、Johnny Marrの方も5年前にライブで観たんですが、彼もまた今では器用になり過ぎている感がありますからね。

そして、次第に暗く、控えめなサウンドが「Life Is A Pigsty」、「The Loop」へと繋がっていきます。僕はやはり、こういう感じが好きです。どんな感じでも好きですけれども。根本的にMorrisseyというミステリアスな人が好きな訳ですから。

そんな事を考えていたら、再び華やかな「I'm O.K. By Myself」が始まりました。そして、バンドが演奏を終えないうちにステージを後にするMorrissey。本編はこれで終了。

アンコールに応えて再び現れ、オーディエンスに感謝を述べるMorrissey。演奏し始めた曲は「First Of The Gang To Die」。照明を向けられ、Morrisseyと共に合唱し、これ以上無いくらいの笑顔をステージに向けるオーディエンス。アンコールに似合う曲は他にあるのではと思いましたが、いざこうして始まってみるとこの曲がラストでも申し分無い様な気がしてきました。

歌い終わり、いつもの様にシャツを脱ぎ、オーディエンスに向かって投げ、上半身裸でステージを去って行くMorrissey。素敵です。

思い返せば、NEW ORDER、HAPPY MONDAYS、IAN BROWN、OASISとManchester出身のバンドが好きなのに、彼等のライブを観たのは全てLondonでの事。いつかはManchesterで観てみたいと思いつつ、Manchesterから来たバンドをLondonで迎えるのが僕らしい、とも思ってしまいます。

音楽を聴き始めた10代の頃、Heavy Metalを教えてくれる人がいました。Punk Rockを教えてくれる人もいました。90年代以降の音楽は言わずもがな。しかし、THE SMITHSやJOY DIVISIONの様な音楽を教えてくれる人は、周りに誰1人としていませんでした。この国に住んで、曇り空の下、古い街並に生活してみて、初めて理解出来た様なものなんです。

狂信的なMORRISSEYのファンが、U.K.にも日本にも多くいます。僕はそうなるより先に、未だに誰かにこういう音楽について教えてもらいたいという気持ちを持ち続けています。

愛情が自分の中で屈折し、独り歩きを始めてしまうそうで、怖いんです。



MORRISSEY Live At Brixton Academy 01



MORRISSEY Live At Brixton Academy 02



MORRISSEY Live At Brixton Academy 04



Setlist:

01. This Charming Man
02. I Just Want To See The Boy Happy
03. Black Cloud
04. How Soon Is Now?
05. I'm Throwing My Arms Around Paris
06. Ask
07. When Last I Spoke To Carol
08. Mama Lay Softly On The Riverbed
09. You Just Haven't Earned It Yet, Baby
10. Moon Over The Kentucky
11. Irish Blood, English Heart
12. Girlfriend In A Coma
13. Because Of My Poor Education
14. I Keep Mine Hidden
15. The World Is Full Of Crashing Bores
16. Some Girls Are Bigger Than Others
17. Life Is A Pigsty
18. The Loop
19. I'm O.K. By Myself
 Encore 1
20. First Of The Gang To Die



MORRISSEY Live At Brixton Academy 03
posted by Yoshitaka at 04:34| Comment(2) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月10日

NINE INCH NAILS Live At Manchester Evening News Arena

どうしてそんなに暗い音楽ばかり聴くの、とよく他人に訊かれます。その答えは多分、 ”明るい音楽より遥かに現実的だから” ではないでしょうか。

そんな僕を構成する要素の中でも筆頭格なのが、NINE INCH NAILS。

今年、PEARL JAMのデビューアルバム「Ten」が20周年でリイシューされると聞いて、驚きました。90年代が、少しずつ、確実に、歴史に組み込まれていく事実に。

今夜ここManchester Evening News ArenaでJANE’S ADDICTIONと共にライブを行うNINE INCH NAILSもまた、デビュー20周年。そして、Trent Reznorによれば、NINE INCH NAILSのライブが観られるのは今年で最後、という事になっています。

NINE INCH NAILSのライブを観るのは、これで6回目。日本で観たのはSummer Sonic 2005での1回きり。笑ったTrentを見たのは、後にも先にもあの1回だけ。Maynard James Keenan同様、あの特異なユニティーを気に入ってくれる才人の存在は、日本にとってどれだけありがたい事か。

ステージの上は、今まで観た彼等のライブからは想像出来ない程、簡素なものになっていました。前回の「Lights In The Sky」ツアーでは、想像を絶する程の視覚効果を前面に押し出していたステージを展開していただけに、これは実に対照的。

開演時間、暗転し、裸の照明に照らされて静かに姿を現すTrent。彼の体は、前にも増して筋肉質になり今ではもうボディービルダーの様。長髪で痩せていた頃の方が、僕は断然好きです。

静かに、無機質に「Somewhat Damaged」が始まりました。Trentの声は、随分荒々しくなっていました。この人は本当に、内外共に変化の耐えない人です。

間髪入れずに「Terrible Lie」。歓声を上げるオーディエンス。そして、それを更に押し黙らせるかの様に、「Heresy」、「March Of The Pig」、冒頭から凄まじい曲の応酬。同時に、今までとライブの構成はあまり変わらないんだな、と。殆ど実感はありませんが、前回彼等のライブを観てから今に至るまで、2枚もアルバムが発表されていますからね。その間、彼等にどれだけの距離をつけられてしまったのかと、今夜のライブを観るにあたり不安に思っていましたから。

唸るTrent、「Piggy」の始まり。Trentはマイクを持ってステージを降り、前列の観客に1人ずつ、 ”Nothing can stop me now” の部分を歌わせます。相変わらず凶暴ですが、紳士的なTrent。

今回のメンバーには、ギタリストのRobin Finckが復帰している事でも話題になりました。僕ももちろん、彼を観るのは初めてです。Dave Gilmourの様な素晴らしいギターを聴かせるRobin。物凄い存在感。NINE INCH NAILSに於いて、Trentの横でこんなに堂々としている人を初めて観ました。

そして、GARY NUMANの「Metal」をカヴァー。JOY DIVISION、DAVID BOWIE、どんな曲のカヴァーでも原曲のイメージを壊す事無くNINE INCH NAILS色に染めてしまう手法は見事。

Trentがピアノに向かい、「The Becoming」が始まりました。Robinのアコースティックギターが不気味です。Josh Freezeの後任、Ilan Rubinはまだ21歳。在籍していたLOSTPROPHETSからTrentによって抜擢された、シンデレラボーイです。冷たい感触のドラムが、NINE INCH NAILSに良く合っています。確かにこれは、LOSTPROPHETSには勿体無い。

そして、ベーシストはJustin Meldal-Johnson。BECKのバックバンドのメンバーとして有名なベーシストです。今回もJosh、そしてGeordie Whiteが揃っていた前回同様、豪華な面々ですね。

ここでTrentが初めてオーディエンスに語りかけます。先程はGARY NUMANの曲を歌ったが、もう1人、尊敬するEnglandの偉人、DAVID BOWIEの曲を、と言い「I’m Afraid Of Americans」が始まりました。このカヴァーが有り得ませんでした。出来過ぎです。怖ろしい。

前回、2006年に「Year Zero」に伴うツアーで彼等を観た時は、いつになく ”バンド” らしい彼等がいると感じました。今回の彼等は、そこからよりプリミティヴなサウンドに、より生のバンドに近付いていました。

そして、何と「Burn」が始まりました。レアな、そしてファンの間で人気な曲を次々に出してくる彼等。サービスもここまで効いていると不気味です。

その後も、「Gave Up」、「La Mer」、「The Fragile」と、初期の曲を中心にライブは進みます。

「Gone, Still」。「Still」収録のこの曲も聴けてしまうなんて。

続いて、「The Way Out Is Through」。ライブが始まってから、一貫してモノトーンの照明。思い返してみれば、「With Teeth」のツアーと「Year Zero」のツアー、両方とも観ましたが、この両ツアーを境にして色彩感覚が180度変わっています。

静かで暗い曲が続いた後、あのドラムが始まりました。「Wish」です。歓喜するオーディエンス。

「Memorabilia」が始まったかと思いきや、「Survivarism」でした。ようやく復活後の曲が出てきましたよ。それにしても、今に始まった事ではありませんが、彼等のライブは非常に目まぐるしい。ステージ上に出し入れされる楽器の数。次々に繰り出される攻撃的な曲。息つく間も無いとはこの事。

PIGFACEの「Suck」。曲の後、オーディエンスへ感謝を述べ、1人ずつメンバー紹介をするTrent。

「The Day The World Went Away」、「The Hand That Feeds」、「Head Like A Hole」。攻撃的な曲が続き、いよいよこれからクライマックスかと思ったその時、音が止むと同時に無言でステージを去った4人。そんな、まさか。こんな唐突な終わり方なのでしょうか。これまで彼等のライブにはアンコールというものが無かったので、取り残された様な不安に襲われました。

すると、程無くして暗闇の中から一条の光が差し、その先にいるTrentがシンセサイザーに向かい「Hurt」を歌い始めました。

今日、自分を傷つけてみた。まだ痛みを感じられるかどうか知りたくて。

かつての盟友Marilyn Mansonを罵ったり、インターネットに携わる人たちを批判したりと近頃不穏な動きをみせるTrent。この曲は、今夜は他の誰でも無くTrent自身に向けられている様に感じられました。そして、そう感じる事によって、近頃の彼の心情をほんの僅かでも、察する事が出来る様に思います。

全てが終わり、彼等が去ったのを見届けて明るくなる会場。途方も無い時間、ここに立たされていた様な感覚が残ります。先程のJANE’S ADDICTIONのライブが、遠い昔に思える程。

今夜の彼等はいつもと違い、1つも楽器を破壊しませんでした。Trentもどこか穏やかでしたし。

NINE INCH NAILSがATARI TEENAGE RIOTの最期を看取ってから、今年で10年。時代は巡り、今度は愛するJANE’S ADDICTIONに見守られる中、NINE INCH NAILSが眠りに就きます。

英語に ”deserve” という動詞があります。日本語にはこの単語を差す動詞は存在しません。ある特定のバンドに対して長年に渡り、愛や夢を勝手にシンクロし続けた結果、僕は今夜の様なライブを ”deserve” したなと切に思いました。観る側として究極の自己満足です。

1999年を思い出していました。音楽を聴き始めて間も無い僕を待っていた、解散に次ぐ解散。

また何年後かに会えるかも、という台詞は、Trentを尊敬する身として伏せておくことにして。時代の変わり目はいつも面白くて、寂しいものです。



NINE INCH NAILS Live At Manchester



NINE INCH NAILS Live At Manchester 02



Setlist:

01. Somewhat Damaged
02. Terrible Lie
03. Heresy
04. March Of The Pigs
05. Piggy
06. Metal
07. The Becoming
08. I'm Afraid Of Americans
09. Burn
10. Gave Up
11. La Mer
12. The Fragile
13. Gone, Still
14. The Way Out Is Through
15. Wish
16. Memorabilia / Survivarism
17. Suck
18. The Day The World Went Away
19. The Hand That Feeds
20. Head Like A Hole
 Encore 1
21. Hurt



NINE INCH NAILS Live At Manchester 03
posted by Yoshitaka at 10:35| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月08日

JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena

今年、Trent Reznorが年内を以ってNINE INCH NAILSの活動を終了すると発表。

そして、時を同じくして、JANE’S ADDICTIONがオリジナルメンバーで再結成。

TrentはNINE INCH NAILSのデビューを見守り解散したJANE’S ADDICTIONへの愛を語り、NINE INCH NAILSの終焉を、今度はJANE’S ADDICTIONに見届けてもらおうと呼びかけ、このJANE’S ADDICTIONとNINE INCH NAILSという奇跡的なダブルヘッドライナーツアーを実現させました。

当初、北米で行われると発表されたこのツアーは、やがてEuropeでも日程が組まれました。EnglandはLondonとManchesterの2箇所。日程の関係で、僕はManchesterまで観に来る事になりましたが、この2組を合わせてもチケットが35ポンド (約5700円) というとても良心的な値段だという事に泣けました。ファン想いのTrent、ありがとうございます。

会場は、Manchester Evening News Arena。昼間から、物々しい雰囲気の人々が入口に長い列を作っていました。

会場に入っていくと、いかにもJANE’S ADDICTIONのイメージそのままのステージセットが目に入ります。低い天井。細胞の様に並べられた、不気味な照明。

開演時間を過ぎてしばらくすると、上からスクリーンが降りて来て映像が始まりました。幼い子どもとその父親が会話をしているその後ろでストリッパーが踊り続けるという、不穏な映像。

子どもの口からJANE’S ADDICTIONという言葉が発せられると、スクリーンの向こうから「Three Days」のベースイントロが聴こえてきました。

やがて紫の照明の中から、4人が姿を現しました。爬虫類の様に肢体をくねらせ、静かに歌い始めるPerry Farrell。その横には、スペーシーなフレーズを次々に繰り出すDave Navarro。遂にJANE’S ADDICTIONまでもが、僕の前に姿を現しました。

こういうオープニングは意外でした。彼等のライブというのは華やかに、ドラッギーに始まるものとばかり思っていましたから。

オリジナルメンバー4人が揃ったのは、今回が解散後初の事。Eric AveryとStephen Perkinsが織り成す地を這う様なグルーヴに、自由度の高いギターとヴォーカルが乗る、JANE’S ADDICTIONの世界。もちろんこれは今まで何度と無く聴いてきた音楽で、今夜初めて聴いた訳ではありません。でも、改めて思いました。全く説明の付かない音楽ですこれは。

続いて、「Whores」が始まりました。今年、ツアーに先駆けNINE INCH NAILSと共に発表したダウンロード限定コンピレーションアルバムにて新録ヴァージョンが公開されていましたが、演奏が巧くなり音が綺麗になったと同時に禍々しさも増幅されていました。これは怖ろしい。

そして、「Ritual De Lo Habitual」から「Ain’t No Right」。しかし、映像で観た前回の再結成ライブとは、全体として随分印象が違います。どちらが良いという意味ではありません。あの時はまだ僕の中のイメージ通りで、このバンドがここまで異質だとは感じませんでした。

「Then She Did」。暗く、ドゥーミーな曲が続きます。これだけ暗い曲を冒頭から並べてくるのも、かなり意外な展開。延々とループするベースラインがまるで何かを洗脳させるかの様。こうしてみていると、Ericがこのバンドの肝だったんだなと思います。その肝が、今までの再結成では欠けていたのですから、まずは印象が違うのでしょうね。ちなみに、意外と知らない人が多いのですが、1回目の再結成の際にJANE’S ADDICTIONのベーシストを務めたのは、RED HOT CHILI PEPPERSのFleaでした。

暗い曲が続いた後、突如として暗雲から晴れ間が差す様に「Up The Beach」が始まりました。閃光の様なDaveのギターソロが、清涼剤の様に感じられます。そして、それを傍らで見つめるPerry。この2人が、ステージ上に揃っている姿。夢の様です。

そして、「Mountain Song」。以前、SATELLITE PARTYのライブで観たPerryと違い、今夜の彼の歌声は少しハスキーさを増していました。それでも彼の歌声は、とてもセクシー。

今夜、このステージの上にいる4人は、それぞれ計り知れないバックグラウンドと個性を持っていて、それを各のほんの僅かな隙間に挿し込み、えも言われぬ化学変化を起こすのです。そして、その代償が、2度の解散であり、Lollapaloozaに見る90年代の自己矛盾だったのす。

MCでPerryが、 ”Manchesterという街が無ければ自分達も存在しなかった” とオーディエンスに語りかけます。そして、 ”JOY DIVISIONに栄光あれ” 、 ”The Haciendaに栄光あれ” とManchesterへの賞賛を続けるPerry。

そして、「Been Caught Stealing」へ。ようやく自分の中でのJANE’S ADDICTION像がここで具現化されました。いや、もうそんなものはどうでも良くなっていて当然です。ライブが始まってから、ただ拍手も出来ず声も出せず、呆然とステージに観入る事しか出来なかったのですから。

そんな雰囲気のまま、「Ocean Size」が始まります。次第にメジャースケールになっていくDaveのギターがキューになって、バンドの演奏が少しずつ華やかになっていきます。周りの観客は彼等を観慣れているのか、いや、それ以前に目の前にいるのは世界的、歴史的なバンドな訳で、演奏される曲なんて誰もが知っていて当然なんですけれども。よくもそんなに歌って踊れるなあ、と。

それでも、始まり方があれだけ意表をついたものだっただけに、僕みたいに立ち尽くしている人も何人かいましたけれどもね。

スモークが立ち込めると共に始まった「Ted, Just Admit It」。PINK FLOYDの様なサイケデリックなサウンドが、今再びオーディエンスを混乱に陥れます。

いつまでも続きそうなPerryのヴォーカルとDaveのギターの応酬は突然終わり、音が止んだと思ったら、次の瞬間4人がステージ上から跡形も無く消えていました。まるでイリュージョン。

アンコールを求める声に、しばらくの後再び現れた4人。お礼を言うPerry。

そして、ようやくここで「Stop」。しかし、この曲ではかつての様に騒ぎ立てる訳でも無く、淡々と歌うPerry。別に疲れている訳では無いのでしょうが。不思議な光景でした。

今夜のライブで唯一と言って良い程、ここぞとばかりに騒ぐ曲の筈が、オーディエンスもつられて神妙な面持ちで演奏する彼等を見守っています。

そしてまた、演奏が終わるとスモークの中に消えていく4人。あまりに目まぐるしく、JANE’S ADDICTIONは僕達の目の前に現れ、歌い、踊り、去っていきました。

そして、ステージからバンドがいなくなっても、まだその異様な空気だけは残っていました。

昨年、僕は奇跡的にMY BLOODY VALENTINEのライブを観ました。もう観られる事は無いだろうと思っていた、伝説の世界に生きるバンド。僕はそのライブレポの中で、彼等の事を彗星に例えました。このJANE’S ADDICTIONもまさしく彗星の様な存在。十数年に一度という周期で現れては、地球を掠め、その時に観察していた人々に致命的な影響を与え、また遠くへ消えていく。

この後、僕はどうやらNINE INCH NAILSのライブを観るらしいです。しかし、あのNINE INCH NAILSに対してすら、こんなバンドの次にライブをして大丈夫なのかと思ってしまう程、JANE’S ADDICTIONのライブは危険で、猥雑で、観る者の予測を遥かに凌駕したステージでした。

彼等がまた、遠くへ行ってしまう前に、僕と同じタイミングでこの国に現れてくれた奇跡に感謝。



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 01



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 02



Setlist:

01. Three Days
02. Whores
03. Ain’t No Right
04. Then She Did
05. Up The Beach
06. Mountain Song
07. Been Caught Stealing
08. Ocean Size
09. Ted, Just Admit It
 Encore 1
10. Stop



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 03
posted by Yoshitaka at 23:59| Comment(0) | TrackBack(2) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年08月05日

THUNDER Live At Hammersmith Apollo

さて、今度はHard Rockです。好きな音楽の幅が広過ぎると、それに伴い出費もかさみます。いつからこうなってしまったのでしょうか。

個人的な話をすると、2005年あたりにそろそろHard Rock、Heavy Metalから卒業しないとという動きがあったのですが、そんな折に観に行ったACCEPTの再結成ライブによってそんな考えは見事に消されてしまいました。あのライブは本当に素晴らしかったです。

そんな僕が、とりわけ思いを寄せているHard Rockバンドの1つに、THUNDERがあります。

90年代初頭、Grunge対Brit Popで喧騒の中にあったU.K.にありながらも、チャート上位に幾つも曲も送り込んだ正統派British Hard Rockバンド、THUNDER。今年、デビュー20周年を祝う為に発表されたツアーが突如、バンド側からの発表により解散ツアーになってしまいました。

彼等の解散は2度目。僕が初めて観た彼等の映像は、1999年に日比谷野外音楽堂で行われた彼等の解散ライブでした。その僅か3年後、周りに説得されてMonsters Of Rockの復活と共にTHUNDERは再結成します。そして、あれから10年後の今年、彼等はまた、袂を分かつ決断を下しました。憶測される理由は様々でしょう。それでも、本当の事は彼等自身にしか分かりません。ファンはただ、見守るのみ。

今夜、Hammersmith Apolloで行われるライブはそのツアーの最終日。当初、Shepherds Bush Empireで予定されていたこのライブのチケットは発売後、瞬く間にソールドアウト。対策としてよりキャパシティーのあるHammersmith Apolloに会場が変更されましたが、チケットは更に売れ続け、ソールドアウト間際で僕は間に合い、2階の立見という酷い場所で観る事になりました。

実は、これだけ多くのライブを観ているにも関わらず、解散を控えているバンドのライブを観るという経験は殆どありませんでした。それこそ、7年前 (もう7年も前になるんですね) に警護公園で観たNUMBER GIRLのライブくらいなものです。

空調も届かない2階席の後方は、まるでサウナの様に暑くなっていきました。取り敢えず観やすい位置を確保するのですが、本当に無理矢理入れたといった感じの酷い場所です。

開演時間、先日ライブを観たばかりのAC/DCの「Thunderstruck」が聴こえてきました。THUNDERのライブが始まる合図です。

いよいよメンバー達が姿を現し、それぞれの楽器から一斉に音が放たれました。単独公演としては一応、これが最後のライブ、と発表されているだけに、バンドもオーディエンスも何処か悲しげなムードになるのではと思った今夜のライブ。しかし、そこはTHUNDER、やってくれました。始まったイントロは「Loser」なのに、何を思ったのか「Dirty Love」の歌詞を口ずさみ始める稀代のヴォーカリスト、Danny Bowes。しばらくして気付き、苦笑いをするDannyによってそんな危惧は消し去られてしまいました。

マイペースなTHUNDERのこと、解散ライブだからといって特別な事はしないだろうと思っていましたが、どうなのでしょう。過去2回、彼等のライブを観た事がありましたが、ライブのオープニングは決まってこの曲でした。

「On The Radio」、「Higher Ground」、馴染みの曲がそれに続きます。Dannyとのコンビで常にこのバンドの顔であり続けた左利きギタリストLuke Morley。そして絶妙なツインギターの絡みに欠かせないBen Matthews。伝統的なベーシストらしく男前で寡黙なChris Childs。そして間抜けキャラで常に他のメンバーからいじられるドラマーGary Harry James。こうしてステージ上を見渡してみると、やはり寂しい。

ちなみに、間を空ける事無く頻繁に来日してくれた親日家である彼等ですが、日本でライブを観た事は1度もありませんでした。

短いMCの後、Lukeのアコースティックギターで始まる「Low Life In High Places」。コーラスでは歌をオーディエンスに歌わせるDanny。彼はTHUNDER解散後、ツアープロモーターになるそうなのですが、こんなに歌の巧いヴォーカリストが引退するなどという事、誰が納得出来るでしょうか。

オーディエンスとの掛け合いに続き、「The Devil Made Me Do It」へ。そして、デビューアルバム「Back Street Symphony」に収録されていたSPENCER DAVIS GROUPのカヴァー「Gimme Some Lovin’」が演奏されました。ライブで聴くのは初めてです。今までのライブではあまり演奏されなかった曲が演奏されたとあって、嬉しいと同時にやはり今夜のライブは特別なのかと、せつなくなってしまいます。

「Empty City」、「Like A Satellite」と、Benのキーボードがイントロを奏でる美しいバラードが続きます。複雑な心境の僕を尻目に、いつもと変わらぬ素晴らしい歌声を聴かせるDanny。僕がこのバンドを好きになった理由は、何よりこのDannyの歌声でした。デビュー当初はブロンドの長髪でしたが、今ではクイズ番組の司会者の様な容姿。でも、このギャップがまた素敵です。

そして、次に始まったイントロに唖然としてしまいました。まさかの「River Of Pain」。THUNDERを代表する初期の名曲ですが、ライブで聴く事が出来たのはこちらも今夜が初めてです。この曲を聴きたいが為にTHUNDERのライブを観に行った、と言ったら怒られそうですが、それ程の曲です。ですから今夜はようやく聴く事が叶って嬉しかったです。

続いて、近年の定番「You Can't Keep Good Man Down」で再び盛り上がるオーディエンス。更には、「Love Walked In」でのオーディエンスの合唱。ここら辺も、今まで通りのTHUNDERのライブです。

そして、いつも通りの「I Love You More Than Rock 'N' Roll」で、いつも通りの終わり方を観せる彼等。あくまで自然に。そう思っているに違いありません。

割と長く待たされたアンコールは、Dannyのお礼と共に「A Better Man」から始まりました。歌詞が、まるで今までの彼等を回顧しているようで、せつな過ぎます。

「Back Street Symphony」が始まりました。アンコールもいつもの調子でいくのかな。そうしたら、やはりあの曲は聴けなかったか。そう思った次の瞬間。また、まさかのギターリフが聴こえてきました。「She's So Fine」。この曲が聴けてしまった今、正直言ってTHUNDERに思い残す事は何も無くなってしまった様に思います。憎いですね、最後にこんなプレゼントを用意していたなんて。

そして、オーディエンスに掛け合いを求め、「Dirty Love」が始まりました。これで最後です。

ステージ上の5人は、仲良さそうに演奏を楽しんでいました。Dannyもいつも通り、と言ったら嘘なのかも知れませんが、やはり終始笑顔でした。

曲の途中、MICHAEL JACKSONの「Billy Jean」とJOHNNY KIDD AND THE PIRATESの「Shakin' All Over」も挟んで随分と長い間演奏が続きました。

そして最後の音が止み、楽器を置いて会場を見渡す5人。歌う事をやめないオーディエンス。

前回の解散は1999年で、再結成が2002年でした。今回も順当に行けば、2012年には彼等にまた会えるのかな、とつい思ってしまいます。

ただ唯一気がかりなのは、やはり聴けずに終わると思っていたあの3曲を、今夜全て聴けてしまった事です。これでTHUNDERが僕の中で完結してしまいかねないので、全てを出し尽くすなんて事は止めて欲しかったです。贅沢な悩みでしょうけれども。

取り敢えず、5人がそれぞれ、幸せになれる選択をして欲しいと、心から願っています。

あとはDanny、あまり人を寂しがらせる様なことを言わない事。




Setlist:

01. Loser
02. On The Radio
03. Higher Ground
04. Low Life In High Places
05. The Devil Made Me Do It
06. Gimme Some Lovin'
07. Empty City
08. Like A Satellite
09. River Of Pain
10. You Can't Keep A Good Man Down
11. Love Walked In
12. I Love You More Than Rock 'N' Roll
Encore 1
13. A Better Man
14. Back Street Symphony
15. She's So Fine
16. Dirty Love



THUNDER Live At Hammersmith Apollo
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2009年08月03日

THE DAYS Live At Club Upset

London日記の途中ですが。

僕の高校時代からの友人である、はまちゃん、ななちゃん、こじまくん (結成当初は、なおやもいたらしい・・・) のバンド、THE DAYSがツアーで名古屋にやってきましたので、観に行きました。というか、これに合わせて日本に帰って来ました。

池下にあるClub Upsetでのライブ。時差ぼけで頭がかなりまいっていて、珍しく遅刻しそうになりました。

会っていきなりはまちゃんに髪がすっきりしたねと言われたけれど、そういうはまちゃんも髪が黒くて新鮮な感じ。

最後に彼に会った時に、凄い勢いで曲が書けている、どれも短いけれど、みたいな話を聴いて、その時の言葉がこういうことだったんだ、とライブを観て分かりました。

演奏は上手いけれども、かといって凶暴さも消されていないし。みんなTHE ROOSTERSが好きということで、「Black Leather Boots」と「恋をしようよ」をカヴァーしていて凄く決まっていました。ちなみに今度、何と花田裕之と対バンするというんだから出来過ぎ。

彼等のオリジナルは、短い中にも必ず印象付ける所があって、どれも良い曲だなと思って聴いていました。

逆光のスポットライトに照らされて、うつむいたまま無心にギターをかき鳴らすはまちゃんの姿が一瞬チバに見えて、いや、褒め過ぎるのでやめておこう。

ライブ後の打ち上げにも連れて行ってもらって、普段出来ない様な音楽話がたくさん出来ました。名古屋にはいないんですよ、WILKO JOHNSONとかTHE ROOSTERSとか村八分とかの話が出来る人。だから本当に楽しかった。

101Aしかり、HANJIROしかり、なんか近頃では友達付き合いでという以前に、個人的に好きなので何度も観させてください、と心から思える実力のあるバンドが周りに増えてきて困っています。花田氏との対バン、法事で行けなくて無念ですが、THE DAYSとは末永く、よろしくお願いしたいと思っています。

それでは、残りの日程も楽しんで。東京でまた。



THE DAYS Live At Club Upset 01



THE DAYS Live At Club Upset 02



THE DAYS Live At Club Upset 03



THE DAYS Live At Club Upset 04



THE DAYS Live At Club Upset 05


THE DAYS on MySpace:

http://www.myspace.com/thedaysjp


THE DAYS on Mixi

http://mixi.jp/view_community.pl?id=3279087



THE DAYS Live At Club Upset 06
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2009年07月26日

OASIS Live At Wembley Stadium

苗場組の皆様、お疲れ様でした。また今年も苗場にいけなかった僕は、こちらで馬鹿兄弟を観ていました。



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Wembley Stadiumへとまた来てしまいました。今夜は、OASISを観に。

昨年、OASISの故郷Manchesterに行った際にはよりによってOASISが誰より敵視するRADIOHEADのライブを観てしまいました。今年、Londonに来た際にはよりによってOASIS因縁のライバルであるBLURのライブを観てしまいました。歴史に残るであろうBLURのHyde Parkでのライブから僅か1週間も経たないうちに、今度はOASISがLondonでライブをするとあって、ここぞとばかりにNMEは ”OASISとBLURの闘いが今再び” なんて見出しをつけていますが、実際には両者も近年になって歩み寄り、特にNoel GallagherはDamon Albarnを評価し始めています。

という訳で、RADIOHEADやBLURばかり観ているとGallagher兄弟に怒られてしまいそうなので、OASISも観ておかないといけません。

実は、Englandに約4年間住んでいたにも関わらず、僕はこの国でOASISのライブを観た事がありませんでした。前作「Don’t Believe The Truth」に伴うツアーも、完全にスルーしてしまいましたし。

さて、そんな僕にとって初のEnglandで観るOASISのライブは、ライブアルバム「Familiar To Millions」が録音された事でも有名なここWembley Stadium。今夜はその初日です。会場はフーリガンみたいな連中が多くいて、下手したらHeavy MetalやHard Coreのライブよりも身構える必要があるのではと思ってしまう程。

開演時間になり、スクリーンにバンドのロゴが映し出されます。凄まじい歓声があがる会場。

LED ZEPPELINの、失礼、「Fuckin' In The Bushes」が始まりました。いよいよです。

ステージ上に彼等が現れます。Liamが軽く挨拶した後、Noelのギターで「Rock 'N' Roll Star」へと入っていきます。Liamに合わせ、一斉に歌い出すオーディエンス。途切れる事の無い歓声、この恐るべき一体感。まるでフットボールの試合みたいです。THE WHO、SEX PISTOLS、IRON MAIDEN、NEW ORDER等、Englandという集団のユニティーをこれでもかと見せ付けられたライブは幾つか観てきましたが、OASISもまた、言葉を失います。観たら分かる、としか言えません。

先の来日公演では坊主頭だったLiamでしたが、今は随分髪も生えています。続いては来日公演と同じく「Lyla」。オーディエンスの歌う声は途切れません。Andy Bell、今夜はサングラスを掛けています。僕は彼が好きなので、OASISのライブの際にはGallagher兄弟と同じくらい、彼に観入ってしまいます。

Chris Sharrockのドラムのイントロが「The Shock Of The Lightning」の始まりを告げます。3月に名古屋で観た時に比べて、随分馴染んでいるドラム。手数もやや多くなった様にも思います。

「Cigarettes And Alcohols」、「Roll With It」とデビューアルバム「Definitely Maybe」からの曲、そして、「To Be Where There's Life」、「Waiting For The Rapture」とニューアルバム「Dig Out Your Soul」からの曲が続きます。あのニューアルバム、僕の周りではあまり評価が良くありませんでしたが、これでもかという程サイケデリックな雰囲気が個人的にはとても好きです。こういうアルバムや、古くはGRATEFUL DEAD、近頃ではTHE BRIAN JONESTOWN MASSACRE等が日本で受け入れられない事実は、生活文化の違いに根差しているものなのでどうしようもありません。

また、今回のライブは非常に広い会場なのでステージ両サイドにスクリーンが設置されているのですが、この映像のカメラワークが非常にクオリティーが高い。ステージに観入る傍ら、スクリーンの方にもつい頻繁に目が行ってしまいます。

「The Masterplan」、「Songbird」とNoelがヴォーカルを執る曲が続きます。そういえば、僕はまだライブで「Acquiesce」を聴いた事がありません。兄弟が歌い分けるあの歌も、是非ライブで聴いてみたいものです。

Liamがステージに戻り、「Silde Away」が始まりました。この曲を聴くといつか「Don't Go Away」を復活させてくれないかなと思ってしまいます。イントロが似ていますからね。そして、続いてはセンセーショナルに「Morning Glory」が始まります。今の彼等のライブは以前よりもテンポが良い様に思います。8万人のオーディエンスとLiamが向き合い、闘っているのか抱き合っているのか良く分からないこのカオスは、続いてまさかの「My Big Mouth」を呼び出します。「Be Here Now」収録のこの曲が演奏されるなんて、Liamが歌うなんて、本当に驚きました。歌い終わると、照れ隠しなのかすぐ後ろを向いて去っていくLiam。いつかは「D’you Know What I Mean」や「Stand By Me」あたりも復活する日が来るのでしょうか。

水戸黄門の、失礼、「Importance Of Being Idle」が始まりました。この曲、Noel自身が好きなんでしょうね。必ず演奏されます。

続いてNoelはアコースティックで「Half The World Away」、そしてLiamが戻って来て「I'm Outta Time」で再びサイケデリックな世界へ。

そして、ここで「Wonderwall」が。何度と無くライブで聴いたこの曲も、8万人のEnglandのオーディエンスの中で聴くとまた格別。しかし、Liamと一緒になって歌っていた、まさにコーラスに入るその直前で、PAのトラブルが発生。音が全く聴こえなくなるという事態に。観客のどよめきに異変を察知し、演奏しながら顔を見合わせるメンバー達。回復したりまた途切れたりしながらも、オーディエンスの合唱も手伝って何とか曲は終わりました。Noelは笑顔で ”Fuck you” を連発していましたが、特にステージ上での混乱は無く。先のManchester公演でも同じ様なトラブルがあって40分もライブが中断したと聞いていたので不安になりましたが、今夜はどうやらすぐに解決した様です。間を空けずに始まった「Supersonic」のイントロが、困惑するオーディエンスをなだめてくれました

来日公演同様、この曲で本編は終わりかと思いきや、何と「Live Forever」が始まりました。来日公演ではセットリストから外れていたので、本当に嬉しかったです。欲を言えば、折角のWembley Stadium、どうせならあの時の様に、John Lennonの顔がバックに現れて欲しかったですけれども。

これで本編は終わり。そして、彼等を褒め称えるかの様に歌い、歓声をあげ、思いのたけを誰もいなくなったステージに向けるオーディエンス。

しばらくして、アコースティックギターを持ってNoelが登場。やはりアコースティックバージョンの「Don't Look Back In Anger」が始まりました。そう言えば、この国でOASISは観た事はありませんでしたが、NOEL GALLAGHERのソロライブは観た事がありました。2年前のRoyal Albert Hall、シークレットゲストでPaul Wellerが登場、2人のデュエットが堪能出来ました。あの時と同じ様に、今夜もこの曲でGem Archerのソロが良い味を出しています。

続いてNoelのアコースティックでもう1曲、ニューアルバムから「Falling Down」。そしてLiamも戻ってきてバンドが揃い、「Champagne Supernova」へ。切ない曲調、アウトロがいよいよもの寂しい。

そして、今夜もとうとう終わりを迎えてしまった様で、THE BEATLESのカヴァー「I Am The Walrus」が始まりました。この曲が復活したのは良い事ですが、THE WHOの「My Generation」もまた聴きたいところ。コーラスではやはり日本と同じく、掛け声をあげるオーディエンス。

曲が終わり、ステージ上にメンバー達が楽器を置き、去って行きます。今夜の彼等を見守るRockの神々に敬礼するかの様に、揃って空を仰ぐNoelとLiam。珍しく、印象的な姿でした。

EnglandのミュージシャンのライブをEnglandで観るのが常によい事ではありません。基本的にどんなバンドを前にしても騒がしいこの国のオーディエンスが、そのライブにどう影響を与えるかが判断基準な訳ですけれども。

今夜、もう観慣れた感のあるOASISを、とても新鮮な感覚で観られたのは嬉しい発見でした。

これで、OASISのライブをEnglandで観るというアンフィニッシュドビジネスが終わりました。次こそは、PAUL WELLERですかね。



OASIS 1



Setlist:

01. Fuckin' In The Bushes
02. Rock 'N' Roll Star
03. Lyla
04. The Shock Of The Lightning
05. Cigarettes And Alcohol
06. Roll With It
07. To Be Where There's Life
08. Waiting For The Rapture
09. The Masterplan
10. Songbird
11. Slide Away
12. Morning Glory
13. My Big Mouth
14. The Important Of Being Idle
15. Half The World Away
16. I'm Outta Time
17. Wonderwall
18. Supersonic
19. Live Forever
 Encore 1
20. Don't Look Back In Anger
21. Falling Down
22. Champagne Supernova
23. I Am The Walrus



OASIS 2



2009.03.18  OASIS  Rainbow Hall, Nagoya

http://franticjapyoshi.seesaa.net/article/116497554.html


2007.03.27  NOEL GALLAGHER  Royal Albert Hall, London

http://franticjapyoshi.seesaa.net/article/37438380.html


2005.08.13  OASIS  Summer Sonic 2005, Osaka

http://franticjapyoshi.seesaa.net/article/5904646.html
posted by Yoshitaka at 21:02| Comment(7) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月24日

BLUR Live At Hyde Park

こんな僕にも、大学という場所にいた事がありました。

僕のいた高校は、著名な卒業生に政治家や財界人しかおらず非常に退屈なのですが、僕のいた大学University Of London Goldsmiths Collegeは著名な芸術家を何人も、中でもこのBLURとPLACEBOという世界的なRockバンドを2組も輩出しています。

昨年、そのBLURにGraham Coxonが7年振りに復帰し4人になって帰って来るというニュースが届けられました。そして、今夜はGraham復帰後初のライブと当初発表された、Hyde Parkでのライブ。先日のHyde Park Calling 2009では雨に降られましたが、今夜は大丈夫みたいです。

僕がまだ大学にいた時に、大学の講堂でGRAHAM COXONがライブを行い、観に行った事がありました。今回、BLURもこのLondon公演に先がけて同じくあの大学の講堂でライブを行っています。こちらも行きたかったのですが、日程が間に合いませんでした。

僕にとっては、初となるBLURのライブ。90年代のEnglandを代表する3つのバンド、OASIS、RADIOHEAD、BLURが、これでようやく僕の中で出揃った形になります。

ステージセットにはバンドのロゴと共に、Londonの地図、Englandの地図が描かれています。そうですよね、BLURはLondonのバンドなんですよね。



BLUR 6



開演時間、まだ明るい空の下サイケデリックなSEと共に現れる4人。10万人のオーディエンスが集まった会場を見渡し、何とも嬉しそうな顔をするDamon Albarn。そして、ステージ下手にはもちろん、ギターを持ったGrahamがいます。Grahamと同じく、Damonも以前ソロでライブを観た事がありますが、あの時はこんな姿など想像出来ませんでした。

Grahamのギターが静かに、彼等のデビュー曲「She’s So High」のイントロを始めました。歌い始めるDamon、歌詞の一語一句、丁寧に。この曲のけだるさに、彼等の帰還を祝福したい気持ちをじらされているみたいです。歌い終わり、厳かに歓声と拍手を送るオーディエンス。おかえりなさい。



BLUR 1



しかし、次の瞬間、誰もが聴き覚えのあるあのシンセサイザーのイントロが始まって、会場は瞬時にダンスフロアへと変わります。Alex Jamesのベースに先導され、歓喜し、踊り狂うオーディエンス。「Girls And Boys」です。オーディエンスも一斉に歌い出し、Damonの声が聴こえない程。 ”外人” である日本人の僕がこういう空間にいさせてもらえるというのは、本当に贅沢な事。Damonもいきなりフロアに下りて行って、前列のオーディエンスの目の前で歌っています。

MCで、この場にこうしていられる事に対し感謝を述べるDamon。こちらこそ、どれだけ感謝したらいいのかというくらい。長い間、僕はBLURに間に合わなかったんだと思っていましたから。

「Tracy Jack」、「There’s No Other Way」、「Jubilee」。惜しみなく代表曲を次々に披露する彼等。どの曲も、Grahamのギター無しでは成り立ちません。どの曲でも彼のギターによるイントロがキューになっていて、GrahamがいないBLURが存在したなんて、思い出せなくなってしまいそうです。

攻撃的な曲が続いた後は、「Badhead」。そして、続けて「Beetlebum」でまたオーディエンスを喜ばせます。演奏している間、ステージの電光掲示板には ”Vote for Dave” の文字が映し出され、労働党議員に立候補したドラマーのDave Rowntreeへの投票を呼びかけています。僕達、移民は随分と労働党のお世話になりました。Daveにも頑張って欲しいものです

「Out Of Time」、「Trimm Trabb」、「Coffee And TV」と静かな曲が続きます。北極が近いEnglandの夏は、夜9時でようやく夕暮れになります。穏やかな空の下、昼の都会の喧騒をなだめるかの様に、名曲達が1つずつ丁寧に甦っていきます。

そして、Grahamのギターが静かに「Tender」のイントロを奏で始めました。体全体を襲うこの感動。泣きそうでした。曲が終わりに差し掛かっても、いつまでもコーラスを繰り返すバンドとオーディエンス。街が汚いとか、食べ物が不味いとか、治安が悪いとか、Londonを見渡すと嫌な所ばかり目に付きますが、僕はこの瞬間がいとおしくてこの街に何年も居続けたんだ、と再確認しました。

続く「Country House」で陽気に、「Oily Water」でサイケデリックに、「Chemical World」で凶暴に、「Sunday Sunday」でコミカルに、あらゆる表現の手法を持ち合わせたBLUR。本当に多彩なバンドなんだと思い知らされます。

こうして離れた所から90年代を見返してみると、これらの曲の聴こえ方が問題のアルバム「13」の以前、以後で違ったんだという事が、良く分かります。彼等があのアルバムで賭けに出ていなければ、2009年の今BLURというバンドの評価はどうなっていたのでしょうか。

この曲は、この公園の近く、Kensingtonに住んでいた時に書いたものだ。Damonがそう話し始めると、それだけで歓声があがります。そして間も無くして、この曲に欠かせない人物、Phil Daniels本人が登場。「Parklife」を、Hyde Parkで聴く日が来るとは、あまりに出来過ぎです。主導権はPhilに任せて、果敢にフロアに降りてオーディエンスと触れ合うDamon。知的な人だと昔から思っていましたが、それに加えてこんなにはしゃぐ人だったんですね。

そして、いよいよクライマックスへと向かうのかと思わせる「End Of A Century」へ。そして続いては「To The End」が。オーディエンスも一緒になって歌うコーラスの寂しさといったらありません。

もう1曲、しめやかな曲「This Is A Low」が続き、本編は終了。彼等が去った後、ステージに残っているのはギターのフィードバックだけ。

アンコールを求める間、また「Tender」を歌い続けるオーディエンス。

そして、再び現れ、オーディエンスにお礼を言うDamon。そして、ここからが凄かったです。「Popscene」、「Advert」と攻撃的な曲が続き、そして、じらす様にDaveのドラムが入っていき、来ました、「Song 2」。気が狂れた様にステージ上を転がりまわり、ギターを演奏するGraham。参りました。何でも出来るバンドなんですね、BLURというのは。

凄まじい展開に呆気に取られて眺めていると、またステージからいなくなってしまった彼等。しかし、またすぐ呼び戻され、サイケデリックなGrahamのギターで「Death Of A Party」が始まりました。

そして、ミクスチャーなこの街、この国に捧げる、と言って「For Tomorrow」が始まりました。これからの彼等にも、この曲は向けられているのでしょう。DamonとGraham、仲良くしてくださいね。

まだこの曲があったかといちいち思う程、名曲のオンパレードがオープニングから続き、そして、ようやくここで「The Universal」が始まりました。何かがまた、始まろうとしているのかも知れません。BLURの帰還が音楽界にもたらす影響は、未知数です。

これでライブは全て終わり、また始まった時の様に笑顔を見せるDamon。そして、丁寧にお礼を言い、去って行く4人。

BLURは解散なんてしたことは無い。だからこれは再結成では無い。Damonがそう付け加えています。

Londonの、Londonによる、Londonの為のバンド、BLUR。Londonを後にした僕も、どういう縁か気が付いたら彼等の帰還をここで祝っていました。

普段なら、早くも次なる展開を待ち始めるところですが、もうこれ以上、何も望みません。今夜、このHyde ParkにBLURの全てがありました。

NEW ORDERやSEX PISTOLSのライブを観た時と同じ様に、また少し、Londonが、Englandが好きになりました。これから世界の何処に行こうとも、この街に住んでいた事を、僕は誇りに思い続けるでしょう。



BLUR 3



BLUR 4



BLUR 5



Setlist:

01. She’s So High
02. Boys And Girls
03. Tracy Jacks
04. There’s No Other Way
05. Jubilee
06. Badhead
07. Beetlebum
08. Out Of Time
09. Trimm Trabb
10. Coffee And TV
11. Tender
12. Country House
13. Oily Water
14. Chemical World
15. Sunday Sunday
16. Parklife
17. End Of A Century
18. To The End
19. This Is A Low
 Encore 1
20. Popscene
21. Advert
22. Song 2
 Encore 2
23. Death Of A Party
24. For Tomorrow
25. The Universal



BLUR 2
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2009年07月18日

CROSBY STILLS AND NASH Live At Royal Albert Hall

全く、奇妙なタイミングです。NEIL YOUNGがライブを行って間も無くして、今度はCROSBY STILLS AND NASHのライブが同じLondonにて行われます。

CROSBY STILLS AND NASHは名前の通りDavid Crosby、Stephen Stills、Graham NashというFolk界のドンが3人集まった豪華なバンドで、全盛期にはこれにNeil Youngが加わりCROSBY STILLS NASH AND YOUNGという名前で活動していました。しかし、元々ソロでスタイルを確立していたNeilは程無くして離脱。また3人に戻るといった道を辿ります。その後、事ある毎にNeilは客演し、4人になったり3人になったり自由な活動を続けてきました。

今年、CROSBY STILLS AND NASHとNEIL YOUNGは同時期にLondonでライブを行うだけで無く、Glastonbury Festival 2009までも共に出演。仲が良いのか悪いのか、取り敢えず4人同時にステージに揃ってはくれないのか、とやきもきさせられます。

さて、今夜CROSBY STILLS AND NASHがライブを行うのは、由緒正しいRoyal Albert Hall。LOU REEDの「Berlin」再現ライブを観て以来1年振りです。Londonに数ある歴史的なライブ会場の中でも、こことEarls CourtはPINK FLOYDやLED ZEPPELIN等が闊歩していた60、70年代と変わらない外観なので、初めて来た時には卒倒しそうになりました。



CSN 1



ちなみに、DavidとGrahamは以前ここRoyal Albert Hallで行われたDAVID GILMOURのライブでゲストとして歌っているのを観た事があります。

今夜のライブは2部構成なので、開演時間がいつもより早く、夜8時にはもう暗転し、静かに1人ずつ現れる3人。あたたかい拍手の中、始まったオープニングは「Helpless Hoping」、いきなり1stアルバム「Crosby Stills And Nash」からの曲です。そして続いてまたも1stアルバムから「You Don’t Have To Cry」。3人の美しいコーラスは、不快な暑さを忘れさせてくれます。

いかつい顔とは裏腹に甘い歌声のDavid。何処かのテノール歌手の様な外見になったStephen。昔と変わらず男前なGraham。歳をとっても仲が良いのは何より。

ここで彼等はMCで、 ”友人” の歌を何曲か歌う、と話し始めます。彼等の ”友人” というとこの世界の頂点にいる人ばかりなのですが。という訳で、始まったのはTHE ROLLING STONESの「Ruby Tuesday」。3人の絶妙なハーモニーで聴くこの曲も悪くありませんね。

続けて、JAMES TAYLORの「You Can Close Your Eyes」、Tim Hardonの「Reason To Believe」、BOB DYLANの「Girl From The North Country」を披露。

カヴァー曲の連続の後は、またしても1stアルバムからスキャットの美しい「Guinevere」。そして、CROSBY STILLS NASH AND YOUNG名義の曲「Dream For Him」へ。この曲は割と新しい曲なので、音像もかなりソリッド。

続いて披露されたGRAHAM NASHのソロでの新曲「In Your Name」は、逆に古き良きFolkといった感じ。そして、ここで不意を付く様にして3人の代表曲「Our House」が始まります。会場からは驚きの声、そして、3人と1万人が一緒に歌い始めます。

次の曲は、彼等が以前はもう2度とライブで歌わないと決めたそうなのですが、今夜は彼等のたいせつな友人の1人であるJerry Garciaに捧げるとして、GRATEFUL DEADの「Uncle John’s Band」が始まりました。彼等には、Jerryの様に伝説の世界へと旅立った友人も多くいます。

そして、またも代表曲の「Southern Cross」が演奏され、満足げなオーディエンスの歓声に包まれながらインターバルへ。

約20分のインターバルを挟み、第2部は何とBUFFALO SPRINGFIELDの「Rock ‘N’ Roll Woman」から始まりました。驚きました。Stephenのギターソロが素晴らしい。

GRAHAM NASHの代表曲、「Military Madness」。やはり3人の中では、Grahamがリーダー核なのでしょうか。この曲から、3人共アコースティックギターからエレクトリックギターに持ち替えます。

続けて「Long Time Gone」が始まりました。一貫してアコースティックギターで奏でられた第1部とは対照的に、第2部ではRock色のある曲を並べてくる様です。

Davidが ”Stephenの素晴らしいギターソロに対抗して僕はこれを” と言い、「Deja Vu」のアルペジオを演奏し始めました。Grahamとのハーモニー、そして今度はStephenが透明感のあるギターソロを奏でます。3人のチームワークは素晴らしい。

そして、静寂が訪れます。パイプオルガンの音が聴こえてきて、それまでの平和な雰囲気から一変、厳かなイントロが始まります。「Cathedral」。今までの曲が絵空事だったかの様に、シリアスな空気に支配される会場。

そして、今度はそれがまた絵空事だったかの様に始まるBUFFALO SPRINGFIELDの代表曲、「Bluebird」。

そして、「Almost Cut My Hair」。それまでとは違うDavidの険しい歌声と、Stephenの激しいギターソロが絡み、凄みを利かせます。

そして、またもBUFFALO SPRINGFIELDの「For What It’s Worth」へ。タイミング的には、ここら辺りでNeilが登場してくれても良い様な気がしますが。

ちなみに、Neilは加入時に名前の通り若い人が入ったと話題にされたそうです。そんな4人も現在は、DavidとGrahamが共に67歳、Stephenが64歳、そして、Neilが63歳。各人とも、年齢を聞いて驚いてしまう程、ステージの上では衰えを感じさせません。

いつしか攻撃的になった演奏は、音の塊となってラストへ向かいます。そして音が止み、何事も無かったかの様に済ました顔でステージから去って行く彼等。

これでもかというくらい見せ付けられた、見事なハーモニー、見事な演奏。

やがてアンコールで再び現れた彼等。バックバンドの紹介に始まり、「Wooden Ship」へ。この曲でも、Stephenのギターソロが冴え渡ります。凄まじい演奏。再びクライマックスへ向かう3人。

そして、帰ろうとしないオーディエンスに応え、2度目のアンコール。まだあの曲を聴いていませんからね。「Teach Your Children」でsy。殆ど3人がギターを演奏してオーディエンスが歌う、カラオケ状態。曲が終わると、誰もが満足げな表情で3人へ拍手を送ります。

正直、3人揃った彼等を観る事自体に価値があるんだと思い今日ここへ来た訳であって、ライブの内容までは期待してはいませんでした。ところが、こんなに素晴らしいライブを観させてもらって。60、70年代を第一線で活躍した人を目の前にしてそんな事は言ってはいけませんね。あのLED ZEPPELINでさえ、彼等無くして自分達は無かったと公言したくらいですから。

1曲を除いて、頑なまでに初期の曲を演奏し続けた今夜の彼等。

CROSBY STILLS AND NASHとNEIL YOUNG。こうして両者のライブを観てみて分かる、明らかな違い。何故揃わないのかというより、何故揃っていられたのかという疑問の方が自然ですね。

ただ、CROSBY STILLS NASH AND YOUNGでは1988年に「American Dream」、1999年に「Looking Forward」と、およそ10年周期で再結成しアルバムを発表しているので、そろそろかなとも思いますが。2006年にはツアーもした事ですし。

4人共、いつまでも元気でいてください。



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CSN 4



Setlist:

01. Helpless Hoping
02. You Don’t Have To Cry
03. Ruby Tuesday
04. You Can Close Your Eyes
05. Reason To Believe
06. Girl From The North Country
07. Guinevere
08. Dream For Him
09. In Your Name
10. Our House
11. Uncle John’s Band
12. Southern Cross
 Intermission
13. Rock ’N’ Roll Woman
14. Military Madness
15. Long Time Gone
16. Déjà Vu
17. Cathedral
18. Bluebird
19. Almost Cut My Hair
20. For What It’s Worth
 Encore 1
21. Wooden Ships
 Encore 2
22. Teach Your Children



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posted by Yoshitaka at 01:24| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月14日

NEIL YOUNG Live At Hyde Park

今年もHyde Parkで行われるフェスティバル、Hyde Park Calling 2009。今年はヘッドライナーがNEIL YOUNGという事で、迷わず観に行きました。残念ながら明日のもう1組のヘッドライナー、BRUCE SPRINGSTEEN AND THE E STREET BANDは別の用事が入っていて観られません。無念。

野外なので天気が気になっていましたが、今日は快晴。このフェスティバルのヘッドライナーは毎年豪華で、2006年はROGER WATERSとTHE WHO、2007年はPETER GABRIELとAEROSMITHを観ました。Hyde Parkにも何だかんだでもう何回も来ていますね。



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さて、Neil Youngの他に、今日出演した他のバンドを手短に。書こうとするとどんどん長くなってしまうので。


THE PRETENDERS

フロントの2人だけはPINK FLOYDのSyd Barrettのトリビュートライブで観た事がありますが、THE PRETENDERSとしては初めて。出番は短かったですが、「Brass In Pocket」、「Don't Get Me Wrong」が生で聴けただけでも嬉しい。以前は後輩にあたるRADIOHEADの「Creep」をカヴァーしたことも有名になりました。これ、意外と素晴らしいですよ。



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BEN HARPER AND RELENTLESS 7

BEN HARPERは長年観たいと思っていたミュージシャンの1人。ギターも歌も素晴らしい。新曲が殆どでしたが、BEN HARPER AND INNOCENT CRIMINALS時代からの定番、LED ZEPPELINの「Good Times Bad Times」のカヴァーも演奏してくれました。



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FLEET FOXES

今のU.S.の若手で最も実力があると評判のバンド。デビューして間も無いのに、こうしていきなりフェスティバルの2番手ですからね。Post RockをCountryの要素で再構築したようなサウンド。美しいハーモニーが、より暗い世界を描き出しています。NICK DRAKEやJEFF BUCKLEYが好きな人はこのFLEET FOXESも好きになると思います。



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今日のライブは、STARSEEDのギタリストPete Wickerと一緒に観に来ました。ちなみに前回NEIL YOUNGを観たのも彼と一緒。今回、彼がNEIL YOUNGを観に行く事を知っていて、彼には僕がLondonに来ている事を秘密にしておき、いきなり前日に電話をかけて驚かせてみました。



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前回NEIL YOUNGのライブを観たのはPaddock WoodのThe Hop Farmという田舎も田舎、まるで地の果ての様な場所。見知らぬ土地の、鬱蒼とした森の中、冷たい雨が降り、7月だというのに信じられない寒さで、戦慄も増幅されていました。それに比べ、今回の会場は都会の中心、慣れ親しんだHyde Park。気分も随分楽です。

しかし、前回同様、彼の登場を待つ間に雲行きが怪しくなり、とうとう雨が降り始め、やがて雷まで。これはNeil Youngが連れて来たに違いない。

そして、遂にNeilが現れました。黒いジャケットをまとい、8万人の歓声に腕を挙げて応えるNeil。

あの時と同じ様に、静かに黒のGibson Les Paul Standardを掲げるNeil。ディストーションをかけたギターが唸り始めたそのリフは、何と「Hey Hey, My My (Into The Black)」。いきなりやられました。前回はまだ2曲目にこの曲でしたので、一呼吸置けましたが。何度観ても圧巻です。



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続いて、アコースティックギターに持ち替え、「Mansion On The Hill」、「Are You Ready For The Country」、「Everybody Knows This Is Nowhere」と明るい曲が続きます。Country独特の、平和な空気が会場を包みます。MCは短い挨拶のみですが、Neilは常に笑顔です。

しかし、その後またギターを持ち替え、「Spirit Road」と「Words」が立て続けにやって来て寒々とさせられます。これです。この致命的な何かを求めて、僕は未知なる存在に対峙を臨むんです。

そして、 ”You are very quiet tonight” とオーディエンスに毒づくNeilがこれ見よがしに「Cinnamon Girl」のギターリフを始めます。この曲、前回は演奏されませんでした。後半の凶暴なギターソロは昔のまま。そしてそんな雰囲気のまま、「Fuckin’ Up」へ。いよいよ凄みをみせるNeil。遠まきに観ているだけでも恐い。これが、NEIL YOUNGの世界。



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ここで、Neilはオルガンへと移動します。彼のステージ上にある機材は全て、アンティーク家具の様な貫禄のあるものばかり。このオルガンも、どこかの古い教会から持ち出してきた様な外見。ハーモニカの爽やかなイントロで始まる「Mother Earth」。優しいオルガンの音色と、彼の歌声に聴き入るオーディエンス。

厳粛な雰囲気の中、次に始まったのは「The Needle And The Damage Done」。息が詰まります。しかし、また「Comes A Time」、「Unknown Legend」とのどかな曲に移り、少し気分も楽になります。この構成はオーディエンスの為を意図しての事でしょうか。

そして、「Heart Of Gold」へ。NEIL YOUNGというミュージシャンの代名詞とも言える、彼の人生の何たるかを歌った歌。一体、生まれてから何回このギターとハーモニカの切ないイントロを聴いたことでしょう。まだ若造と呼ばれる歳かも知れませんが、この頃この曲にある ”And I'm getting old” という歌詞の意味が少し分かってきた様に思います。しかし、分かったつもりでいても、この先まだ気付かされる事は多いでしょう。

続いて、またも代表曲の「Old Man」。こういう歌を歌える男になりたいと心から思いますが、その為にはまだ人生に於ける経験が足りません。

代表曲の連続は止まらず、今度は「Down By The River」まで。この曲は前回演奏されませんでした。オリジナル同様、延々と続けられるギターソロ。これも、NEIL YOUNGのトレードマークですね。オーディエンスと一体となって歌うコーラスも素晴らしい。少し歌い、またギターソロ。我を忘れ、気の遠くなる様な時間を共有します。

延々と続いた演奏もとうとう終わり、これでライブも終わりかと思いきや、間髪入れず始まった「Get Behind The Wheel」。うって変わって明るく軽快な曲に、踊りだすオーディエンス。嬉しい事に、まだ終わりそうにありません。

そして、明るい気分にさせられた後、間髪入れず始まったギターリフに、またしても僕の呼吸は止まりそうになりました。「Rockin’ In The Free World」。こちらも、前回は演奏されず残念に思った曲。どちらかというとオリジナルよりもPEARL JAMのヴァージョンに近いと感じました。雰囲気がそうさせているだけなのかも知れませんが。これで3曲も、前回聴けなかった代表曲が聴けました。

MY BLOODY VALENTINE、PIXIES、NINE INCH NAILS、RAGE AGAINST THE MACHINE、TOOL、SIGUR ROS。これまで幾度と無く、この世のものとは思えない様な存在と対峙してきました。しかし、そんな人生の中で、最も心が動かされた瞬間とは、実はWembley Arenaで観たPEARL JAMのライブで、彼等がこの曲を演奏し始めた瞬間でした。全てが未知の体験でした。感動とは違う、どんな言葉でも到底言い表す事の出来ないあの時に感じた何かが、今の僕の出発点となりました。

あの時と同じ様に、いつまでも終わらないで欲しいと願いながら観ていました。すると、何といつまで経っても終わりません。延々と演奏されるコーラス。歌い続けるオーディエンス。Woodstock、Isle Of Wight Festival 1970等、昔のフェスティバルではこういう光景は当たり前だったのでしょうね。

そして遂にフィナーレを迎え、ようやく暗くなった空の下、彼等はステージを後にします。

それでもまだ歌い続けるオーディエンスに応え、再び登場するNeilとバンド。そして、彼がギターを抱えて歌い出したのは、THE BEATLESの「A Day In The Life」。彼のライブでは欠かせないこの曲は、その夜の終わりを告げる役目を担っています。

しかし、ここで予期せぬ事件が起こります。曲の中盤、変調する部分に差し掛かった、その時でした。何者かがステージに現れ、騒然となる会場。悲鳴の様な歓声と共に前方のオーディエンスが一斉に腕を上げ、ステージも見えなくなってしまいました。一体、何が起こっているのか。

しばらくして、ようやくステージが見えました。どうやら、Neilの隣で何者かが一緒に歌っています。ようやくその人物がこちらに顔を向けたその時、僕は目を疑いました。



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Paul McCartneyでした。

シリアスなNeilに対し、終始はしゃいでいるPaul。この曲の終わりにはいつも、Neilがギターを痛めつけるのが慣例なのですが、鬼気迫る表情でギターを床に叩きつけるNeilの肩を抱き、一緒に歌おうよとマイクを向けるPaul。もう少し空気を読めと言いたいところですが、そこはPaul、許せてしまうんですよね。出て来てくれた事があまりに嬉し過ぎて。



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ラストは2人仲良く抱き合い、Paulはオーディエンスに向かい、しきりにNeilを讃える仕草。

全てが終わった後でも、目に映った全ての出来事を1つずつ認識させるのに時間がかかり、呆然としてしまった僕。前回同様、Peteと僕は「Like A Hurricane」を聴く事は出来ませんでしたが、もうそんな事はどうでも良い。

昨年、BelgiumのフェスティバルRock Wachter 2008でのエピソードを思い出しました。ヘッドライナーが2日目にNEIL YOUNG、3日目にRADIHOEADという構成で、RADIOHEADのライブの際にThom YorkeがMCで ”NEIL YOUNGと同じステージに立てるなんて一生分の目標を達成してしまった” と発言。僕は、Thomにも憧れている人がいるんだ、と思ってしまったのです。

Neilがまだこうして元気でいてくれている事。こんな時代にいてもまだこの様な恩恵を受けられる事。こういうかけがえの無い瞬間を分かち合える友人がいるという事。僕が生きているという事。

全ての事に感謝しつつ。また、次なるインスピレーションを探しに。



Setlist:

01. Hey Hey, My My (Into The Black)
02. Mansion On The Hill
03. Are You Ready For The Country
04. Everybody Knows This Is Nowhere
05. Spirit Road
06. Words
07. Cinnamon Girl
08. Fuckin’ Up
09. Mother Earth
10. The Needle And The Damage Done
11. Comes A Time
12. Unknown Legend
13. Heart Of Gold
14. Old Man
15. Down By The River
16. Get Behind The Wheel
17. Rockin’ In The Free World
 Encore 1
18. A Day In The Life



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posted by Yoshitaka at 12:53| Comment(4) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする