U.K.のバンドをU.K.で観たいと言う日本人は非常に多い。しかし、それには少しばかりリスクも伴うのでありまして。何故かと言うと、僕が今まで観たMANIC STREET PREACHERSやCOLDPLAY等がそうであった様に、地元、という事で緊迫感が失われるバンドも多いからです。もちろん、バンド側だけで無く、オーディエンスの方もありがたみを感じていない為に和やかなムードでバンドを迎えるというのも通例です。
恐らく、今夜観るNEW ORDERも、NEW ORDERを観にこのWembley Arenaに集まった1万人のオーディエンスも、例外無くそんな事象の両面を形成するのでしょう。勝手な思い込みですが。
NEW ORDERと言えば、Fuji Rock Festival 2005にてヘッドライナーを務め、 ”珍事件” を起こして去って行ったのは記憶に新しいことでしょう。日本に於いてもやらかしてしまった彼等、マイペースなのは分かっていますけれどもね。
そんな余裕をかましていられたのは、開演前だけでした。
開演時間、暗転と共にリラックスした雰囲気で現われたメンバー達。
”Good evening London. We’re Joy Division.”
Bernard Sumnerがシニカルな挨拶を告げます。
しかし、この挨拶にそんな意味が含まれていたとは。
オープニングに演奏されたのは、何と「She’s Lost Control」。こういうものは、後の方に取っておくのがセオリーなのでは・・・。全く、こちらは心の準備も何も無い状態なのに。
それだけではありませんでした。続けて、「Shadowplay」、「These Days」、「Transmission」・・・。彼等がJOY DOVISIONの曲をライブで演奏する事くらい、予備知識として知っていましたが、これらは全部JOY DIVISIONの曲ではないですか。マイペースさも度を超すと、何の躊躇いも無くこんなサプライズに興じてしまうんですね。
そして、もう来てしまいました。
「Love Will Tear Us Apart」。この曲をラスト近辺で聴いて、茫然自失とする予定だったのに。
愛は僕達を引き裂く。今、再び。
そんな歌を1万人が一緒になって合唱する、Londonという街がまた少し好きになりました。
奇跡のJOY DIVISION降臨は「Atmosphere」で締め括られ、「Waiting For Siren’s Call」でようやくNEW ORDERの曲へ。
「Crystal」、「Regret」と繋がる武骨でセンチメンタルなメロディーの応酬。このバンドの佇まいにはいつも、在りし日のPunk Rockを重ねて見てしまいます。それは、彼等がRockが最も低俗で最もかっこいい文化だった時代を知っているからなのでしょう。
それにしてもセットリストの選曲は見事と言うしかないくらい、隙の無いものですね。
Bernardの生々しいギターと、このバンドのトレードマークであり世界中のミュージシャンからリスペクトを集めるPeter Hookのベースがリードする甘美でストレートなRockを聴かせた後は、「Guilt Is A Useless Emotion」に始まるリズムマシンとシンセサイザーの支配下に。アリーナは一瞬にしてダンスフロアへと変わります。
かつてAlec Empireがシーンに登場した際に話していた様に、僕はレイヴのもたらす多幸感とか根拠の無いピースフルさというものに嫌悪感すら覚えます。しかし、Manchesterという街から来るそれは、いつでも違って聴こえます。
来ました、「Temptation」。彼等の曲の殆どは、聴いているこちら側が恥ずかしくなる程実直なメロディーラインを持つのに、何故こんなに悲しく聴こえるのでしょう。JOY DIVISIONが革命的だったのは、そこでした。何十年経とうと、新たに耳にする世代に訴え続ける、異端の音。
「Bizarre Love Triangle」、「The Perfect Kiss」・・・。どんな曲も、終わらなければならないという事を今夜程痛感したことはありませんでした。願わくは永遠に続いていて欲しい音と、それを形容するのに見合った表現を探す自分。生まれて初めて、孤独を愛せそうな気がしました。
かつて友人が、感情を殺してしまった、と言っていたのを思い出しました。そう、僕もまた、感情の一切を殺してしまったのだと。
しかし、そんなヴォイドを抱えているからこそ、胸にくる。
音楽は、悲しみでも喜びでも無く、音楽でしかないのです。
「The Perfect Kiss」が終わる頃、ステージ上からギターもベースも消えていました。メンバー達が一斉にシンセサイザーに向き合い、無機質なリズムマシンが刻むのは、世界中のクラブで今日もかかり続けるあのイントロ。
「Blue Monday」。
これでもかという陰気さに、明るい電子音で彩ることでさらなる虚しさを加味したこの曲は、この国の暗い過去を抱えて生きる人達の共感を呼び、言葉では説明出来ない一体感を呼び起こすのでしょう。そして僕はまた、その中で1人、何かを探し始めなければならないのです。
Ian Curtisという不世出のミュージシャンの死は、確かに音楽の歴史にとってかけがえの無い遺産に変わり、人々の中に生き続けています。
アンコールでは1985年の初来日公演を想起させる「Love Vigilantes」から「Turn」、そして「True Faith」と、 ”それでもなお” というバンドのメッセージを思い知らされる運びになりました。
期待していた「Krafty」は、演奏されませんでした。しかし、それも些細な事。それよりも、前述したU.K.のバンドがU.K.にて観せるものとはまた違ったタイプのライブを知った夜でした。
ライブが終わった後も、いつ完成するのかも分からないWembley Stadiumを横切る道で、地下鉄の駅で、自分の部屋で、僕の頭の中にはいつまでも「Blue Monday」が聴こえ続けていました。
僕の精神や時間を好きな様に使って、それをゴミの様に捨ててしまって、君は一体どういう気分なんだい。そして僕は、どういう気分になるべきなんだい。
何て素敵な歌詞。
僕は静かに、孤独を愛し始めました。
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Charlatansがウォームアップやたりするしね。
このウォームアップって曲者でさ、
ラスヴェガスでトム・ペティ見たらホームアップがジャクソン・ブラウンよ?
どうすりゃいいのよ・・・?
このことだったのね。
THE CHARLATANSはTHE ROLLING STONESのLondon公演2日目のオープニングアクトでした。何でもRonnie Woodが贔屓にしているのだとか。
THE WHOのオープニングアクトがTHE CORALだったりもするし、豪華ですよね。U.K.ならでは。
THE ZUTONSの単独公演が観たいこの頃。
>Genki
遂にFEEDERも取り込んで500パーセントです。
>ゆりこちゃん
そう、この事です。人の世の理です。面白いよね、全部。