2009年08月28日

U2 Live At Croke Park Stadium

13歳の時、僕はU2というバンドに出会い、「Joshua Tree」というアルバムを手にしました。

少年の僕は例え様の無いそのサウンドに心を奪われました。そして、彼等がIrelandという、Europeの果てにある小さな国から来たと知り、1つの夢を持ちました。

Irelandで、U2のライブが観たい。

今年の夏、Europeから始まった彼等のツアー。今回のツアーを観ようと思ったら、London公演は帰国予定日より遥か先の8月14日からなので不可能。大陸の他の国に観に行くというのは、観光ビザでU.K.に入国している関係で難しい。それならば、Irelandに行って観るしか方法が無い。そんな感じに、意外と唐突に長年の夢は叶う事になりました。

Dublinの北にある、Croke Park Stadium。今夜、ここでU2のライブが行われます。前回、彼等のライブを観たのはLondonでした。そして今回は、遂にDublin。この日をどれだけ待ちわびたことか。

今日は天気が悪く、会場に向かう途中も酷い雨に見舞われました。ライブが予定通り行われるか心配になる程の雨。しかし、会場に着き、中に入ると見事に雨は止み、日も差してきてくれました。

「U2 360°」と題されたU2の今回のツアー、何やら久しぶりに凄い事になっている、と話題が持ちきりですが。スタジアムの中に入り実際にこの目で見ると言葉を失いました。



U2 Live At Croke Park Stadium 01



何ですかこれは。



総工費は、約100億円だそうです。こんなものを、ステージとして世界中を持ち歩いているんですね。参りました。

スタジアムですので半分野外の様なもの。まだ明るいうちからDAVID BOWIEの「Space Oddity」が聴こえてくると同時に、ステージセットからスモークがあがります。そして、Larry Mullen Jr.が現れ、ドラムセットに座りリズムを刻み始めました。しばらくして、Adam ClaytonとThe Edgeが登場。3人の音が合わさり、「Breathe」のイントロになりました。

黒いジャケットを着たBonoが現れました。スタンドマイクを傾けて歌い始めます。えらく気合が入っているBono。まくしたてる歌詞が、プロパガンダの様。

続いて、同じくニューアルバム「No Line On The Horizon」からタイトルトラック、「No Line On The Horizon」。スモークの向こうに観える4人。8万人の歓声と、ステージに向けて差し出される手。

厳選された少数の音、一聴して彼と判るフレーズ、The Edgeのギターは本当、素晴らしい。

更に「Get On Your Boots」、「Magnificent」と、それ程馴染みの無いニューアルバムから4曲続き、少々呆気にとられていました。しかし、そこから「Beautiful Day」へと繋がり、一斉に歓声をあげる周りのオーディエンスと共に僕の気持ちもようやく彼等に追いついた気がしました。

「Elevation」、「Desire」、そこからは僕の知っているU2でした。アコースティックでシンプルに仕上げた「Stuck In A Moment You Can’t Get Out Of」。個人的には全然思い入れの無かったこの曲ですが、このアレンジで聴かされて初めて好きになりました。こんなに美しい曲だったんだ、と。

そのままアコースティックのセットで、昨年亡くなったTHE DUBLINERSのRonnie Drewに捧げると言い彼等のカヴァー「The Auld Triangle」を披露。Dublinならではですね。

「One」、「Until The End Of The World」。U2に関しては僕の中でも初期の作品群に敵うものはありませんが、思い入れは90年代の賛否両論のあったU2にもかなりあります。30年間、あらゆる姿を見せてきたU2ですが、僕が初めてリアルタイムで接したU2というのは「Pop」でしたからね。

「The Unforgettable Fire」が始まりました。すると、ステージ上部にあったスクリーンがほどけ、網目状になって下に降りてきます。凄い。こんなもの、観た事がありません。U2は近年のツアーではシンプルなステージを好んでいたので、かつて「Zoo TV」や「Popmart」で観られたエクストラヴァガンザとしてのU2は、もう観られないと思っていました。

そして、やはりそういうステージのコンセプトに合わせてか、シンプルだった前回のツアーでは初期の曲が割と多めに聴く事が出来て、今回は90年代の曲が多めです。

間髪入れずに始まった、「City Of Blinding Lights」のイントロが僕を襲います。スペーシーで美しいメロディーと、近未来的なステージセットの組み合わせが素敵。その後は、「Vertigo」で明るい雰囲気に。曲の終わり、RAMONESの「Do You Remember Rock 'N' Roll Radio」を口ずさむBono。そして次は「I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight」へ。明るい路線が続きます。

しかし、次に始まったのが誰もが知っているあのセンセーショナルなドラムイントロ。そうです、「Sunday Bloody Sunday」です。スクリーンに映し出される、ムスリムの女性、アラビア語のメッセージ。そして、勇壮に歌い上げるBono。いよいよ、彼等らしい政治的な側面を見せ始めました。

Martin Luther King Jr.牧師に捧げる「Pride (In The Name Of Love)」と「M.L.K.」。アウンサンスーチー女史に捧げる「Walk On」。音楽では世界を変える事は出来ないのかも知れません。ただ、伝えたい事を伝えられるという独自性にかけては、何よりも素晴らしい。

そして、次は映像でDesmond Tutu大主教による演説が始まりました。アパルトヘイトから黒人を解放した大主教の演説は、今は解放を求め闘う世界中の人に向けられています。

人種。宗教。解放へ。どの通りにも名前が付けられていない様な、原生の地へ。

あのイントロが聴こえてきました。U2にまつわる個人的な思い入れの全ては、このイントロから始まり、今も尚、ただここに集約されるのみです。

「Where The Streets Have No Name」。僕みたいな小さな存在が、ここまで感動するこの曲。一体、地球上のどれだけの人のシンパシーがこの曲に宿っているのでしょう。

クライマックスの後は、「Bad」でしめやかに。THE ROLLING STONESの「Fool To Cry」を挟み、「40」へと繋げます。そして、ステージを去る4人。

すぐさまアンコールを求める声が始まり、間も無くステージに戻って来た4人。Bonoは赤いレーザーを発するスーツを着ています。ハンドル型のマイクを持ち、歌い始めたのは「Ultraviolet (Light My Way)」。この曲、僕がU2の中でも凄く好きな曲で。もう本当に嬉しかったです。泣きそうでした。

そして、そこで許してくれないのがやはりU2。今度は「With Or Without You」が始まりました。

歌い終えたBonoはオーディエンスに、そして今回のツアーを実現させるに至ったスポンサーや自治体の協力に感謝を丁寧に述べ、静かに「Moment Of Surrender」へと入っていきました。やがて、全てが終わり、笑顔を見せて4人は再び去って行きます。あれだけクライマックスを何度も迎えながらも、ラストは実に静かに終わるんですね。

全身を襲う感動は、ライブが終わって観客が帰り始めた後も、夜のDublinの街を歩いて帰る間も、抜ける事はありませんでした。2年前、New YorkでRAGE AGAINSTH THE MACHINEのライブを観た時を思い出していました。あの時も、まさにこんな感じ。

こんなに感動する事、人生に於いて他にあるんでしょうか。いつも思います。しかし、これを超える感動をこの先、生み出していかなければならないんだと感じました。

Dublinに、ありがとう。U2に、ありがとう。

僕の中で、何かが終わって、何かが始まった、そんな夜になりました。



U2 Live At Croke Park Stadium 02



U2 Live At Croke Park Stadium 03



Setlist:

01. Breathe
02. No Line On The Horizon
03. Get On Your Boots
04. Magnificent
05. Beautiful Day
06. Elevation
07. Desire
08. Stuck In A Moment You Can't Get Out Of
09. The Auld Triangle
10. One
11. Until The End Of The World
12. The Unforgettable Fire
13. City Of Blinding Lights
14. Vertigo
15. I'll Go Crazy If I Don't Go Crazy Tonight
16. Sunday Bloody Sunday
17. Pride (In The Name Of Love)
18. M.L.K.
19. Walk On
20. Where The Streets Have No Name
21. Bad / Fool To Cry / 40
 Encore 1
22. Ultraviolet (Light My Way)
23. With Or Without You
24. Moment Of Surrender



U2 Live At Croke Park Stadium 04
posted by Yoshitaka at 20:35| Comment(4) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うわぁ〜360°体験したんだぁー!!
日本にあれ持ってきてくれんのかなぁ〜

前回の埼玉が素晴らしかったから絶対日本にも来てくれるはず。
Posted by ヒロユキ at 2009年08月28日 07:39
ついに来ましたね!U2ライブレビュー!私が観たLondonとは微妙にセットリストが異なりますが、あの感動を思い出すことができました。
Posted by cherub at 2009年08月28日 15:24
実は「今回は隣の国で素晴らしいライヴを観てきました」ってコメントを頂いた時から、絶対、U2だなって確信していて、このライヴレポを心待ちにしていました!

素晴らしいライヴの様子がストレートに伝わってきて、なんだか、自分もその場にいたみたいな気持ちになっちゃいましたよ。
レポ、秀逸です。

そして、久しぶりに"Joshua Tree"が聴きたくなりました。
Posted by RAY at 2009年08月28日 17:04
>ヒロユキさん

来日したら是非一緒に観に行きましょう。今回のツアーは本当に凄まじいです。



>Cherubさん

London公演もTHE CLASHの「London Calling」等、色々な演出があったみたいですね。後日談としては、文字通り360度客席で囲めたLondon公演の方が素晴らしかったと聞いています。



>Rayさん

思えばU2も僕の原点だっのでした。後追い世代の僕でですが、彼等については、もう思い残すことはありません。ここにいる、ということを僕に再認識させてくれました。
Posted by Yoshitaka at 2009年08月30日 13:41
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