2009年08月08日

JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena

今年、Trent Reznorが年内を以ってNINE INCH NAILSの活動を終了すると発表。

そして、時を同じくして、JANE’S ADDICTIONがオリジナルメンバーで再結成。

TrentはNINE INCH NAILSのデビューを見守り解散したJANE’S ADDICTIONへの愛を語り、NINE INCH NAILSの終焉を、今度はJANE’S ADDICTIONに見届けてもらおうと呼びかけ、このJANE’S ADDICTIONとNINE INCH NAILSという奇跡的なダブルヘッドライナーツアーを実現させました。

当初、北米で行われると発表されたこのツアーは、やがてEuropeでも日程が組まれました。EnglandはLondonとManchesterの2箇所。日程の関係で、僕はManchesterまで観に来る事になりましたが、この2組を合わせてもチケットが35ポンド (約5700円) というとても良心的な値段だという事に泣けました。ファン想いのTrent、ありがとうございます。

会場は、Manchester Evening News Arena。昼間から、物々しい雰囲気の人々が入口に長い列を作っていました。

会場に入っていくと、いかにもJANE’S ADDICTIONのイメージそのままのステージセットが目に入ります。低い天井。細胞の様に並べられた、不気味な照明。

開演時間を過ぎてしばらくすると、上からスクリーンが降りて来て映像が始まりました。幼い子どもとその父親が会話をしているその後ろでストリッパーが踊り続けるという、不穏な映像。

子どもの口からJANE’S ADDICTIONという言葉が発せられると、スクリーンの向こうから「Three Days」のベースイントロが聴こえてきました。

やがて紫の照明の中から、4人が姿を現しました。爬虫類の様に肢体をくねらせ、静かに歌い始めるPerry Farrell。その横には、スペーシーなフレーズを次々に繰り出すDave Navarro。遂にJANE’S ADDICTIONまでもが、僕の前に姿を現しました。

こういうオープニングは意外でした。彼等のライブというのは華やかに、ドラッギーに始まるものとばかり思っていましたから。

オリジナルメンバー4人が揃ったのは、今回が解散後初の事。Eric AveryとStephen Perkinsが織り成す地を這う様なグルーヴに、自由度の高いギターとヴォーカルが乗る、JANE’S ADDICTIONの世界。もちろんこれは今まで何度と無く聴いてきた音楽で、今夜初めて聴いた訳ではありません。でも、改めて思いました。全く説明の付かない音楽ですこれは。

続いて、「Whores」が始まりました。今年、ツアーに先駆けNINE INCH NAILSと共に発表したダウンロード限定コンピレーションアルバムにて新録ヴァージョンが公開されていましたが、演奏が巧くなり音が綺麗になったと同時に禍々しさも増幅されていました。これは怖ろしい。

そして、「Ritual De Lo Habitual」から「Ain’t No Right」。しかし、映像で観た前回の再結成ライブとは、全体として随分印象が違います。どちらが良いという意味ではありません。あの時はまだ僕の中のイメージ通りで、このバンドがここまで異質だとは感じませんでした。

「Then She Did」。暗く、ドゥーミーな曲が続きます。これだけ暗い曲を冒頭から並べてくるのも、かなり意外な展開。延々とループするベースラインがまるで何かを洗脳させるかの様。こうしてみていると、Ericがこのバンドの肝だったんだなと思います。その肝が、今までの再結成では欠けていたのですから、まずは印象が違うのでしょうね。ちなみに、意外と知らない人が多いのですが、1回目の再結成の際にJANE’S ADDICTIONのベーシストを務めたのは、RED HOT CHILI PEPPERSのFleaでした。

暗い曲が続いた後、突如として暗雲から晴れ間が差す様に「Up The Beach」が始まりました。閃光の様なDaveのギターソロが、清涼剤の様に感じられます。そして、それを傍らで見つめるPerry。この2人が、ステージ上に揃っている姿。夢の様です。

そして、「Mountain Song」。以前、SATELLITE PARTYのライブで観たPerryと違い、今夜の彼の歌声は少しハスキーさを増していました。それでも彼の歌声は、とてもセクシー。

今夜、このステージの上にいる4人は、それぞれ計り知れないバックグラウンドと個性を持っていて、それを各のほんの僅かな隙間に挿し込み、えも言われぬ化学変化を起こすのです。そして、その代償が、2度の解散であり、Lollapaloozaに見る90年代の自己矛盾だったのす。

MCでPerryが、 ”Manchesterという街が無ければ自分達も存在しなかった” とオーディエンスに語りかけます。そして、 ”JOY DIVISIONに栄光あれ” 、 ”The Haciendaに栄光あれ” とManchesterへの賞賛を続けるPerry。

そして、「Been Caught Stealing」へ。ようやく自分の中でのJANE’S ADDICTION像がここで具現化されました。いや、もうそんなものはどうでも良くなっていて当然です。ライブが始まってから、ただ拍手も出来ず声も出せず、呆然とステージに観入る事しか出来なかったのですから。

そんな雰囲気のまま、「Ocean Size」が始まります。次第にメジャースケールになっていくDaveのギターがキューになって、バンドの演奏が少しずつ華やかになっていきます。周りの観客は彼等を観慣れているのか、いや、それ以前に目の前にいるのは世界的、歴史的なバンドな訳で、演奏される曲なんて誰もが知っていて当然なんですけれども。よくもそんなに歌って踊れるなあ、と。

それでも、始まり方があれだけ意表をついたものだっただけに、僕みたいに立ち尽くしている人も何人かいましたけれどもね。

スモークが立ち込めると共に始まった「Ted, Just Admit It」。PINK FLOYDの様なサイケデリックなサウンドが、今再びオーディエンスを混乱に陥れます。

いつまでも続きそうなPerryのヴォーカルとDaveのギターの応酬は突然終わり、音が止んだと思ったら、次の瞬間4人がステージ上から跡形も無く消えていました。まるでイリュージョン。

アンコールを求める声に、しばらくの後再び現れた4人。お礼を言うPerry。

そして、ようやくここで「Stop」。しかし、この曲ではかつての様に騒ぎ立てる訳でも無く、淡々と歌うPerry。別に疲れている訳では無いのでしょうが。不思議な光景でした。

今夜のライブで唯一と言って良い程、ここぞとばかりに騒ぐ曲の筈が、オーディエンスもつられて神妙な面持ちで演奏する彼等を見守っています。

そしてまた、演奏が終わるとスモークの中に消えていく4人。あまりに目まぐるしく、JANE’S ADDICTIONは僕達の目の前に現れ、歌い、踊り、去っていきました。

そして、ステージからバンドがいなくなっても、まだその異様な空気だけは残っていました。

昨年、僕は奇跡的にMY BLOODY VALENTINEのライブを観ました。もう観られる事は無いだろうと思っていた、伝説の世界に生きるバンド。僕はそのライブレポの中で、彼等の事を彗星に例えました。このJANE’S ADDICTIONもまさしく彗星の様な存在。十数年に一度という周期で現れては、地球を掠め、その時に観察していた人々に致命的な影響を与え、また遠くへ消えていく。

この後、僕はどうやらNINE INCH NAILSのライブを観るらしいです。しかし、あのNINE INCH NAILSに対してすら、こんなバンドの次にライブをして大丈夫なのかと思ってしまう程、JANE’S ADDICTIONのライブは危険で、猥雑で、観る者の予測を遥かに凌駕したステージでした。

彼等がまた、遠くへ行ってしまう前に、僕と同じタイミングでこの国に現れてくれた奇跡に感謝。



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 01



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 02



Setlist:

01. Three Days
02. Whores
03. Ain’t No Right
04. Then She Did
05. Up The Beach
06. Mountain Song
07. Been Caught Stealing
08. Ocean Size
09. Ted, Just Admit It
 Encore 1
10. Stop



JANE'S ADDICTION Live At Manchester Evening News Arena 03
posted by Yoshitaka at 23:59| Comment(0) | TrackBack(2) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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