2008年07月31日

自意識過剰の未来

良いものばかりは続きません。



Artwork 75



PRIMAL SCREAMのニューアルバム「Beautiful Future」。

何ですかこれは。オープニング「Beautiful Future」、リアクションが非常にとりづらい。痛い。やりたいことは分かるのですがサウンドがえらく健康的で不気味。

「Screamadelica」と「Give Out But Don’t Give Up」の中間を無理矢理行こうとしているサウンド。病んでいる感じが全然無くて、耳あたりの良いただのPopsになってしまっている気が。あのBobby Gillespieの事ですから、何か考えがあってこうしているのでしょうが。

本作が発表される直前、The Hop Farm Festival 2008で観た彼等のライブで演奏されていた、2曲目の「Can’t Go Back」はなかなか良い曲ではありましたが。前作「Riot City Blues」も痛かったですけれども、それはあくまで持ち味が発揮された痛さであったので良かった訳です。

次の曲に行く度に、残念に思ってしまいます。このバンドの武器であった先行性とか、実験性とかというのは、今回は無視ですかね。

CSSのLovefoxxxが参加している「I Love To Hurt (You Love To Be Hurt)」も、Lovefoxxxさをもう少し前に出しても良いかと思うのですが。もしかして、CSSのニューアルバムと呼応していると考えれば、まだ分かるかも。

何故かFLEETWOOD MACの「Over And Over」をカヴァーしています。そういえば、FLEETWOOD MACの新しいヴォーカリストにSheryl Crowが就くという話はどうなったのでしょうか。知名度だけではChristine McVineの後任は務まりません。でも、FLEETWOOD MACという名を冠したバンドのライブなら、一度は観てみたいと思います。

「Necro Hex Blues」ではQUEENS OF THE STONE AGEのJosh Hommeも参加しています。QUEENS OF THE STONE AGEは結局、Nick Oliveriが脱退してから長いスランプが続いていますよね。そろそろ本気を出すか、新しいバンドを組んでしまうかしてもらわないと。

といった感じに、PRIMAL SCREAM自体の話題がどうでも良くなるという不測の事態に。

それでもやはり想像してしまうのは、Maniの無邪気な笑顔なのかも。

次はよろしくお願いしますよ。
posted by Yoshitaka at 23:59| Comment(3) | TrackBack(1) | Diary - Album Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

サニーデイ・サービス

日本に帰ってきました。日本の夏は2年振り。

ていうか、そんなのどうでもよくて、

サニーデイ・サービス再結成。

青春のバンド、とまでは行きませんが、中学生の頃よく聴いていました。あの頃はラジオばかりでしたけれどもね。しかし、いつの間にかラジオなんて聴かなくなってしまいましたね。

そういえば、Londonで世話になったあの人は、日本にいた時にサニーデイ・サービスのレコーディングを手伝っていたそうな。

 ”ホントですかぁー?” 

って訊くと、

 ”アッホやなあ〜。信じろやボケェ。”

ってしゃがれた声で返されるんだろうなあ。懐かしや。





posted by Yoshitaka at 14:29| Comment(7) | TrackBack(0) | Music News | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月28日

オランダにいます

両親達はブリュッセル空港から日本へと発ち、僕は国際列車に乗って国境を越え、オランダのアムステルダムに来ています。ブリュッセルは2年振り、アムステルダムは4年振り。

8人で行動していたのがいきなり1人になると、かなり寂しいです。

母親が仕事しているところを見たのは、意外と初めてかも知れません。

皆さん、お疲れ様でした。

やっぱベルギーのムール貝は最高です。

それに加え、ベルギーは世界で一番チョコレートの美味しい国 (Fuck Switzerland) ですが、この暑さでは日本に着く頃にはベトベトになってしまうので、今回はお土産は無しです。悪しからず。

やっぱこの国はいいなあ。ベルギー、ギリシャ、フィンランドが今のところ食べ物の美味しい国ベスト3です。

ちなみに、今のところ食べ物の不味い国ベスト3はオランダ、イギリス、スウェーデン。ベルギーからオランダへ国境を越えただけで、食べ物が劇的に不味くなります。

なんつうか、久し振りのアムステルダムだけど。

いやー。

XXってるねー。



Ams
posted by Yoshitaka at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | Diary - Travel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月23日

ベルギーにいます

忙しい・・・。

Londonを離れ、今はベルギーのブリュッセルにいます。

会ってくれた人、ありがとうございました。特に何も言わずに出てきてしまいましたが、またすぐ来ますからしばしのお別れです。

久し振りにLondonで生活してみて、やはりあの街は僕の街だと思いました。

必死でもがき、苦しみ、這いつくばって4年間生きた街は、まだあそこにありました。離れてみると、あの街の汚さすら愛おしい。

そんな感じでLondonを離れるのはやはり寂しかったですが、3年振りのブリュッセルー。わーい。って感じで今は寂しさは何処かへ行きました。

ベルギーは食べ物が美味しいです。しあわせ。

明日からまた、学会で通訳の仕事です。

嗚呼、

不安。

鬱。

逃げ出したい。

ではまた。



Noel
posted by Yoshitaka at 02:22| Comment(5) | TrackBack(0) | Diary - Travel | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月13日

Where I End And You Envy




僕達は混乱の中にいるのだけれど、僕にはその混乱が見えない。だから僕は混乱している。

「Anyone Can Play Guitar」



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出会い、音楽、旅。これらの経験は、何にも代え難い僕の財産。誰にも侵す事の出来ない、僕だけのもの。いつか死が訪れて脳が停止すれば、その絶対さは永遠のものとなる。

何を出だしから勘違い染みた事を言っているのかと思われそうですが、今日程そんな事を実感した日はそうも無い様な気がしました。昨年、New Yorkまで行ってRAGE AGAINST THE MACHINEを観た時の僕も、言葉には出来ないけれどもそんな事を思っていたのかも知れませんね。

Manchesterのユースホステルは満室でした。ロビーにはRADIOHEADのTシャツを着た人達がたむろし、フロントにはここから会場に向かう道筋が書かれた地図が貼られていました。僕が泊まった4人部屋にいた他の3人ももちろん、彼等だけでは無く宿泊客の殆どが、今夜のRADIOHEADのライブを観に行く人だった様です。夕方になると、街の中心から郊外にある会場のOld Trafford Cricket Groundに向けて、一斉に人の群れが動き始めました。これは壮観です。

中心街から郊外に向けて路面電車に乗り、Old Trafford駅で降りるともう横が会場な訳ですが、その広さといったらまた異常。平坦な分、下手したらWembley Stadiumなんかよりも遥かに広く感じてしまいます。

雨が続いたManchester。今日も朝から酷い雨で、今夜のライブに備え街でレインコートを買った程でしたが、何と夕方から冗談の様に晴れ上がってしまいました。お陰で安心してライブが観られます。

美しく夕日に照らされる会場。Londonよりも更に騒がしいManchesterのオーディエンスに迎えられ、メンバー達が登場します。

まずは、定番の「15 Step」から。Thom Yorkeの声も、Johnny Greenwoodのギターも、ライブ毎のムラがありません。いつでもベストの状態に聴こえます。そういう意味では本当にプロなんだなと、今更ですが。

次が何と、「Airbag」。目配せをしながら笑い合う、Ed O’brienとColin Greenwood。Phil SelwayのドラムとThomのギターが、1つの生物の呼吸の様にシンクロしています。

そして、「There There」へ。力が抜けてしまいます。オープニングからこんな勢いで良いのでしょうか。London公演2日目にも増して、気前の良いセットリストになりそうな予感。

しかし、それ以降の曲は順番こそ違えど特に目立った変化は無いままライブは進みました。「All I Need」、「Nude」、「Weird Fishes / Arpeggi」を通ってまた「The Gloaming」が復活していて、そこから更に、ここだけ極端に異質な「The National Anthem」へ。

アコースティックな「Faust Arp」では、静かな曲なのに前方のオーディエンスが騒いでいた様で、Thomが歌うのを止め、オーディエンスに向かって

 ”やめろ。ARCTIC MONKEYSのライブじゃないんだから。” 

歓声を持って迎えられる「No Surprises」。それと同じ様に、「Jigsaw Falling Into Place」、「Reckoner」等、「In Rainbows」の曲はまるで昔からある定番曲の様に既にかなり良いリアクションが得られています。コーラスではどの曲も合唱が起こります。それらに続いてまた「Just」が演奏されても錯覚してしまう程、彼等の曲は昔から一貫して普遍的なんですよね。まるで聴く側が勝手に設けた時間軸を、指差して笑うかの様に。

Londonの2日間ではアンコールに演奏されていた「Bangers N’ Mash」は、本編で聴けました。そして、クライマックスを予感させる「Everything In Its Right Place」が始まり、良いか悪いかは置いておいてこれで今夜もRADIOHEADのライブを無事観る事が出来ました、感謝、みたいな事を思っていると、途端にサプライズは襲ってくるものなのですね。

Thomがアコースティックギターを持つ瞬間は、ライブ中何度もあります。かつてはその度に、願っていた事がありました。しかしそれは、全くと言って良い程起こり得ない事だったので、いつしか諦めてしまっていました。

今夜、ついに彼の口から、あのフレーズが聴こえてきました。

「Fake Plastic Trees」。諦めた頃に、全く。

周りのオーディエンスが全て消え、この会場には僕とRADIOHEADしかいませんでした。

言葉になりません。

遠くManchesterまで来た、ご褒美をもらった気がしました。

惜しむらくは、僕が帰っていく街に、この感動を分かち合える人が1人もいないという事。ただそれは、RADIOHEADを好きになった以上、宿命付けられた事なのかも知れませんが。

まだ本編すら終わっていないのに、今夜の僕のRADIOHEADはここで終わりました。

彼等は何も無かったかの様に「Bodysnatchers」で本編を締め、オーディエンスを満足のうちに終わらせます。

今夜のアンコールは「Videotape」から始まりました。そして、いとも簡単に「Paranoid Andorid」へ。少し前までは、 ”これをやらないとオーディエンスが許してくれない” 曲だったんですよね。寂しいのは承知の上ですが、そういうのを払拭していってくれると嬉しいです。「The National Anthem」や「There There」も、いずれはそういう扱いになってくれれば。

そこから「Myomatosis」で、更に「Optimistic」へ。そして、「Karma Police」で合唱。Londonの2日間にいじらしく散りばめられていたハイライトが、1箇所に集められた様な感じです。

2度目のアンコール、Johnnyがヴァイオリンのボウを持ち、「Pyramid Song」が始まりました。こうなってしまえば後は消去法みたいなもので、クライマックスは「2+2=5」、そして「Idioteque」でした。いきなり歌い出しを間違え、呆然とJohnnyの方を見つめるThom。愛嬌がありますね。

今回のツアーでは本編17曲、アンコール1回目5曲、アンコール2回目3曲の計25曲枠でライブが構成されていました。

しかし、です。

2度目のアンコールが終わっても、まだ点かない会場の照明。帰ろうとしないオーディエンス。まさか、まだ続きがあるのか。

何と3度目のアンコールがありました。

 ”僕達がカボチャやネズミに戻ってしまうまで、まだ少し時間があるみたいだ。” 

そう言ってThomは、もう1曲、歌う準備を始めます。

まさか。

答えは「Lucky」でした。何も勿体ぶらせてそこでやる曲では無いだろう、と、あの時誰もが思った事でしょう。そこまで考えての3度目のアンコールだったのであれば、それは凄い事ですが。

期待は外れた訳ですが、叶わなかった安堵感みたいなものがありました。残念でしたけれども、聴いてしまった方がより残念だった可能性もある訳で。

例えこの先もう2度と無くても、2003年、あの場所にいなかったことは死ぬまで悔やまれる訳で。

そして、それとこれとは全く別の事象なのですから、何も比べる必要も無いのです。

こうして、予想とは掛け離れたライブを観せてくれたRADIOHEADのU.K.ツアーが終わりました。次、彼等に会えるのは10月に大阪で。日本で観る初めてのRADIOHEADもまた、素晴らしい体験になることでしょう。



01   15 Step
02   Airbag
03   There There
04   All I Need
05   Nude
06   Arpeggi / Weird Fishes
07   The Gloaming
08   The National Anthem
09   Faust Arp
10   No Surprises
11   Jigsaw Falling Into Place
12   Reckoner
13   Just
14   Bangers N' Mash
15   Everything In Its Right Place



16   Fake Plastic Trees



17   Bodysnatchers
 Encore 1
18   Videotape
19   Paranoid Android
20   Myxomatosis
21   Optimistic
22   Karma Police
 Encore 2
23   Pyramid Song
24   2+2=5
25   Idioteque
 Encore 3
26   Lucky



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posted by Yoshitaka at 13:50| Comment(4) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月10日

A Mouse At The Door



希望を持った君は今、とても醜く見えるよ。

「Paranoid Android」



radioheadlondon4



RADIOHEADのLondon公演2日目。曇り空だった昨日と違って、今日は晴れ。会場のVictoria Parkも、RADIOHEADのライブには似つかわしくない、ピクニックの様な雰囲気。

ツアーグッズ売り場のスタッフに知人がいて、しばらく顔を見なかったけれど何処に行っていたの、と驚かれました。確かに、こちらの友人には僕が日本に戻った事は、殆ど話していません。元バンドのメンバー達も知りません。何か、仰々しいのが苦手で。

日が長いせいで、ライブが終わるまでに完全に日没するかどうかといったところ。やはり明るいよりも暗い方が、RADIOHEADには似合っているんですがね。

という訳で、今夜も完全に昼間の状態からライブは始まります。昨日と違い、赤いズボンが目立つThom Yorke。Johnny Greenwood以下皆シックな服装で、やはりColin Greenwoodだけやけに元気が良いです。

今夜のオープニングは、「Reckoner」。Thomの歌声の美しいこと。こんなにライブで映える曲だったとは。演奏された昨夜でさえ、それ程までには思えませんでした。そう言えば前回は失礼ながら殆ど目を向けられなかったPhil Selway、今回は心なしか観やすい位置で演奏している様な気がしました。あと、Ed O’brienの動きも、実はJohnnyと同じくらい忙しいんだな、とも。

前回のツアーの時は、目の前にRADIOHEADがいるという事だけで気が動転してしまっていて、もうThomとJohnnyから目が離せなかったんですよね。

続いて「15 Step」。今夜もやはり、オーディエンスと仲良く手拍子です。そしてその後には、早くも「There There」が待ち構えていました。今夜は昨夜と違って、サービスが良い様な。

初めて彼等を観たのがホール級の会場だった為か、野外で観る彼等に少し、違和感を覚えます。似合わないし、何より無駄に彼等が産業的に見えてしまう。それを味方に付けて、かつてPINK FLOYDは人類を代表するバンドになった訳ですが。永遠のジレンマですね。

「All I Need」を挟んで、「Lucky」へ。やはり昨夜とは違いますね。「Nude」、「Weird Fishes / Arpeggi」と今回のツアーの定番曲をこなし、サイケデリックなイントロの「Myxomatosis」へ。「In Rainbows」が無難に聴こえるのは、こういう攻撃的な曲が無いからでしょうね。

サンプリングされた様々な声に導かれて始まる、「The National Anthem」。この曲がライブの途中で演奏されるのは、勿体無い様な気が。それ程までに、他の曲との並列を拒んでいる様に聴こえます。

ThomとJohnnyが向かい合って歌う「Faust Arp」、そして、またも嬉しい「No Surprises」。合唱の後は、「Jigsaw Falling Into Place」へ。反乱分子の乏しい「In Rainbows」に唯一ある攻撃性が、この曲なのかも知れません。

昨夜は締めであったこの曲でしたが、今夜はこの後に続いて始まった「Optimistic」が圧巻でした。「Kid A」に収録されているこの曲、ただ1つ違うのは、当時は恐ろしく聴こえたものでしたが、今こうして聴くと ”実は” 優しく聴こえるという事。それでも多分、家に帰って改めてCDで聴こうものならどうせまた怖い思いをするのでしょうね。要は、彼等の時代に対する気迫の問題であって。

今夜はここから更に「Videotape」、「Everything In Its Right Place」、「Idioteque」と繋がり、完璧なエンディングの持って行き方だなと感心していたら「Bodysnatchers」が始まり、オーディエンスを盛り上げ、人間臭い終わり方をした彼等。

アンコールは、昨夜は演奏されなかった「House Of Cards」から。この曲が未発表曲扱いだった前回のツアー時に、初期のCOLDPLAYの様な曲だ、と形容した覚えがあります。ThomとChris Martinは仲が良いのでしょうか。ChrisはRADIOHEADに嫌われるのをとても恐れているそうですが。

そして、「The Bends」がここで。今日は本当にサービス精神旺盛ですね。Thomがドラムを演奏しながら歌う「Bangers N’ Mash」を挟み、イントロで驚きの歓声が上がった「My Iron Lung」。そして、Thomのアコースティックギターに導かれ、「Karma Police」へ。合唱するオーディエンス。曲が終わっても、まだ合唱は止みません。この曲に出てくる ”冷蔵庫みたいにうるさい” 人とはここでそうやって騒いでいる君達の事だよ、と思っているに違いないThom。この残酷なまでにアイロニーな構図がたまらなく素敵です。そんな悲惨な合唱に見送られ、ステージを去るメンバー達。

2回目のアンコール1曲目は、「In Rainbows」のDisc 2に収録されている「Go Slowly」から。ほとんど知られていないのか、オーディエンスは無反応。静かで美しい曲です。こんな完成度の高い曲が、市販されていないなんて。

そして、そんな静かな雰囲気を壊す、「2+2=5」。2年前WolverhamptonのCivic Hallで観たライブでは、この曲で騒ぐオーディエンスに対してThomが怒り狂っていました。今夜は大丈夫みたいです。

ラスト、今夜は何が来るのかなと呑気に構えていました。

そうしたら、「Paranoid Android」が。

イントロが始まって暫くの間、何が起こったのか良く分からなかった程。RADIOHEADのライブ4回目にして、ようやくやってくれました。代表曲の筈なのに、毎回は演奏されないんですよね。この曲が生まれて、もう11年にもなるんですね。もう何回、ライブで演奏したのか分かりませんが、未だにこうしてとてつもない威力を持たせる事が出来るのには感心します。久し振りにあの時の感覚を呼び覚ましてくれました。

今夜は「OK Computer」の曲が多く聴けて良かったです。こうしてライブの中に分散されて聴くと、90年代一のアルバムと言われ一人歩きをしているあのアルバムに対し、 ”まずは良質なPopsたれ” という事を彼等自身が一生懸命弁明して回っている様に思えます。

こうして放心状態にさせて去っていくのが、やはりRADIOHEADですね。昨夜も凄かったですが、今夜は致命的なダメージを受けました。

今回RADIOHEADを観て痛感しているのは、そろそろRADIOHEADを化け物扱いすることをやめにしないといけないなという事。そうしないと、一番痛いファンに成り下がりかねない。たいせつなのは、彼等はバンドである、という事を何とかして自分に認識させる事なのではないでしょうか。短期間に複数回観るという事も、それの練習なのかも知れませんね。

次は、Manchesterへと向かいます。



Setlist:

01.   Reckoner
02.   15 Step
03.   There There
04.   All I Need
05.   Lucky
06.   Nude
07.   Weird Fishes / Arpeggi
08.   Myxomatosis
09.   The National Anthem
10.   Faust Arp
11.   No Surprises
12.   Jigsaw Falling Into Place
13.   Optimistic
14.   Videotape
15.   Everything In Its Right Place
16.   Idioteque
17.   Bodysnatchers
 Encore 1
18.   House Of Cards
19.   The Bends
20.   Bangers N’ Mash
21.   My Iron Lung
22.   Karma Police
 Encore 2
23.   Go Slowly
24.   2+2=5
25.   Paranoid Android



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posted by Yoshitaka at 23:27| Comment(7) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Go To Preach




君がそこにあると感じるからといって、本当にそこにある訳では無い。

「There There」



radioheadlondon1



いよいよ、2年振りのRADIOHEADのライブです。

昨今CO2削減にやたら躍起になっているThom YorkeとJohnny Greenwood。今回のRADIOHEADのツアーは、公共機関を使わないと来られない会場ばかりを選び、ステージセットもCO2排出量を極力抑えた照明等を使用しているそうです。

今回の会場は、Victoria Park。Londonの東部、Miles Endに位置する公園です。都心部からは非常に行きにくそうですが、幸運にも泊めさせてもらっている友人の家からは30分もあれば着くことが出来ます。

今日この会場にいるオーディエンスの数は、4万5000人だそうです。2年前のLondonで前回のツアーを観たのが、キャパシティー5000人のHammersmith Apolloだったので、9倍の人数がここにいる訳ですね。Hyde Parkよりは小さいですが、それでもやはり広過ぎるくらい。

今回のU.K.ツアーのオープニングアクトに起用されたのは、歌姫Natasha Khan率いるBAT FOR LASHES。豪華な組み合わせは話題になりました。

アンデス山脈あたりの民族衣装を身に着けたNatashaとバンドが現われます。オープニングは詩の朗読に始まり、昨年度のMercury Prizeにノミネートされたデビューアルバム「Fur And Gold」から、「Trophy」。

Bjork、P.J. Harvey、Imorgen Heap等と肩を並べる存在になる、ともてはやされている彼女、歌声は確かに素晴らしい。所々、メロディーや身のこなしにBjorkと被るところがありますが、アンデンティティーを確立していくのはこれからでしょう。「Fur And Gold」と、現在レコーディング中のニューアルバムからの曲を中心にライブは進みます。曲によってキーボードや打楽器を操りながら歌うNatasha。CDを聴く限りでは、スタジオに篭って録音するのが好きそうなアーティストに思えますが、ライブもかなり慣れている様子です。

2曲目の新曲を演奏している途中、PAの電源が落ちてライブが中断してしまうというトラブルがありました。RADIOHEADの演奏中に起こらなければいいのですが。Thomが癇癪を起こしてしまうので。

どの曲も、アルバムよりも遥かに良いアレンジで演奏されていました。歌い方も更なる進化を遂げている様で、「Prescilla」なんかは別の曲になったみたいでした。

ラストは、シングルにもなった「What’s A Girl To Do」で。オーディエンスからもかなり良いリアクションが起こっていました。何よりこんな広い会場でも堂々としている姿が素晴らしかったです。

BAT FOR LASHESのライブが終わると、ステージに蛍光灯の様な物がたくさん出現しました。ステージはそれらの物体で檻の様に囲われてしまいます。

初めてRADIOHEADを観たのは、WolverhamptonにあるCivic Hallという中規模の会場。ステージは至近距離にあり、観るこちら側が混乱してしまい、今にも逃げ出したいくらいでした。今回のような広い会場では意識も拡散して、良いのか悪いのかそういう様な心境にはなりません。

あの時と同じ、MinimalのSEが聴こえてくると、メンバーが登場します。また少し、髪と髭が伸びたThom。

オープニングは、「15 Step」。Colin GreenwoodとEd O’brienがオーディエンスに手拍子をする様、促します。こんなRADIOHEADは新鮮です。そんなことして大丈夫か、と思ってしまう程。うつむきながらギターを操るJohnnyの姿と、Thomの歌声を聴くと、今回は何だか逆に安心してしまいました。

続いてはThomがGibson SGを持ち、「Bodysnatchers」。ニューアルバム「In Rainbows」からの曲なのに、オーディエンスのリアクションと合唱が凄いです。

彼等のライブを観ると、彼等がRockバンドであるという事が思い知らされます。初めて触れた彼等の形態が「Kid A」であったというのが、未だにトラウマなんでしょうね。

Thomは機嫌が良いみたいです。前回のツアーでは僕が行った2回とも、オーディエンスに向かって怒っていましたからね。しかし、怒るThomを観られるのもこの国ならではなのかも知れません。RADIOHEADだろうがSIGUR ROSだろうが、とにかくこの国のオーディエンスは話し声や野次がうるさくて腹が立ちます。

静かな「All I Need」の後に、それまでの穏やかな雰囲気を一瞬にして殺してしまった「The National Anthem」。少しアレンジを変えているみたいですが、いつ何処で聴かされても本当に容赦無い曲ですね、この曲は。

間髪入れずに、Johnnyがギターをヴァイオリンの様にボウで演奏する「Pyramid Song」へ。オープニング3曲が余興であったかの様に、彼等の精神世界に取り込まれていく様に続くライブ。続く「Nude」、「Weird Fishes / Arpeggi」も、その展開に一役かっていました。

とにかくまず言いたい事は、危惧していた「In Rainbows」の曲が、ライブで聴くと一層素晴らしく聴こえるという事。新曲を減らしてなるべく昔の曲を演奏して欲しい、という願いは間違いであったと思い知らされます。

「Hail To The Thief」から「The Gloaming」、「Amnesiac」から「Dollars And Cents」。どちらもライブでは初めて聴く曲です。随分暗い曲を持ってきたんですね。

ThomとJohnnyが2人向かい合ってアコースティックギターで演奏する、「Faust Arp」。そして、JohnnyとEdの位置にタムが置かれ、「There There」へ。しばらく途絶えていた、イントロでの歓声があがります。フォードバックを操るThomの姿が艶かしい。

 ”You might know this one.” とThomが呟いて始まったのは「Just」。この曲もライブで聴くのは初めてです。少し明るくなったかなと思えば、続くはまたこの上無く暗い、「Climbing Up The Walls」。RADIOHEADのライブはMCらしいMCも無いので、曲間は短いです。その間にステージ上ではめまぐるしく楽器が入れ替わる訳なのですが、よくそれで各メンバーとも楽器を持ち替え、あんなにスムーズに次の曲へ移れるなと観ていて感心してしまいます。

神妙なヴォーカルの「Reckoner」の後は、Tibetの国旗がかけられたオルガンが登場し、Thomが促し ”Free Tibet” コールを始めるオーディエンス。そして、それに乗せる様にして「Everything In Its Right Place」が始まります。今こそまたTibetan Freedom Concertを開催すべきだとは思いますが、虚しいのはRADIOHEADもBJORKも、中国では影響力を持っていないという事ですね。国際社会に呼びかけるだけでは、もう駄目な気がします。

「How To Disappear Completely」、そして、「Jigsaw Falling Into Place」でラストを飾ります。この曲も、CDで聴いたときは然程何とも思わなかったんですが、ライブで聴くとまた素晴らしいです。クライマックスに向かう混乱ぶりとか特に。

アンコールは、「Vodeotape」で始まりました。僕が観た2年前のLondon公演は、この曲が初めて演奏されたライブでした。しかも、オープニングに。

続いては、「Airbag」。どよめきが起こります。こういうリアクションを得られる曲は、今夜は少なかった様に思います。この曲を初めて聴いたのは高校生の時。人間、何がどうなったら、こういうことになるのかと、当時何日にも渡って考え込んでしまったものです。

 ”This is a bitchy song.” そう言ってオーディエンスの笑いを誘うThom。Phil Selwayの前にもう1つドラムセットが用意され、何とThomがそこに座り、ドラムを演奏しながら「Bangers N’ Mash」を歌い始めました。Johnnyの壊れたギターソロが凄まじい。ちなみに、Bangers And Mashというのはソーセージにマッシュポテトを添えた一般的なEnglandの料理 (あれが料理と呼べるのか) です。

さすがにアンコールでは定番曲を、という事なのでしょうか。ここまで来たらそんな事、考えてくれなくても良いのにとすら思いますが、「Planet Telex」、そして、「The Tourist」。終わらない歓声の中、再び退場するメンバー達。

2度目のアンコール、1人出てきたThomがピアノの前に座り、歌い始めたのは何と「Cymbal Rush」。THOM YORKEのソロアルバム「The Eraser」からの曲。まさかRADIOHEADでソロの曲を歌うとは、思いもよりませんでした。

残りのメンバー達が登場し、「You And Whose Army?」が始まります。やはり今日はこの色で、というのが彼等の中にあったのでしょう。

ラストは、「Idioteque」で少し上げ目に。いくら本国と言えどこれだけの人数がいれば、先日発表されたバンドが全く関与していないベストアルバムを買って好きになった人もいる訳で、そういう人達にとっては、実に退屈なライブだった事でしょう。

一貫して暗い、内省的なセットリストだった様な気がします。放置され続けたような感じ、とでも言いましょうか。

機嫌の良いThomが初めて観られたので、僕はそれだけでも満足です。



Setlist:

01.   15 Step
02.   Bodysnatchers
03.   All I Need
04.   The National Anthem
05.   Pyramid Song
06.   Nude
07.   Weird Fishes / Arpeggi
08.   The Gloaming
09.   Dollars And Cents
10.   Faust Arp
11.   There There
12.   Just
13.   Climbing Up The Walls
14.   Reckoner
15.   Everything In Its Right Place
16.   How To Disappear Completely
17.   Jigsaw Falling Into Place
 Encore 1
18.   Videotape
19.   Airbag
20.   Bangers N’ Mash
21.   Planet Telex
22.   The Tourist
 Encore 2
23.   Cymbal Rush
24.   You And Whose Army?
25.   Idioteque



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posted by Yoshitaka at 00:27| Comment(5) | TrackBack(0) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月09日

Is London Calling yet?

Londonに戻って来て、3週間が経ちました。

Londonに着いたら、さぞ感動するのでは。もしかしたら泣くかも。英語はまだ覚えているのか。道は、バスは、地下鉄はどんなんだっけか。

えっと、実際Londonに着いてみたら、感動も何もありません。パスポートコントロールを通って、税関を抜けたらそそくさと地下鉄に乗って、目的地まで。地上に出て、友人と待ち合わせ。

あまりに自然過ぎて、笑ってしまう程。

きっとですね、Londonには多分まだ僕がいて、日本から僕が来るのを知っていて空港まで迎えに来ていたんだと思います。そこでバトンタッチして、RADIOHEADを観たのも今この文章を書いているのもLondonの僕なんです。

YELLOW MAGIC ORCHESTRA、RADIOHEAD、MY BLOODY VALENTINE、負け犬の天才B、パンクの元祖N.Y.D、Manchesterから来たおっさんM、メタルの大御所I.M、スワスティカアーイP.S、ハリケーン爺さんN.Y。

以上が、ここ3週間の間に観たライブ。やっぱLondonありえない。こんな国に4年も住んでいたんだ。そりゃあ社会不適合者になるわな。

この国は北極に近いので、日が長いです。日が完全に沈むのは夜の10時過ぎです。

もう曜日感覚も時間も分からないくらい、遊びほうけていて脳が溶けそうです。

って

言いたいところですが連日忙しいです。家に帰ってからも翻訳の依頼がてんこもり。 ”遠出をする時に限って仕事の依頼が来る” というのが僕のジンクスみたいです。

半年の間にLondonもいろいろ変わりました。Heathrow空港のターミナルが増えました。Overgroundという不可解な鉄道が出来ました。EurostarがWaterloo駅からSt. Pancras駅に移動しました。Camdenのマーケットが半分くらいになりました。Astoriaがまもなくつぶれます。

危ないのは相変わらず。Londonでは今、10代の子ども達が毎日ナイフで殺し合いをしています。先日も3日連続で殺人事件があったんですが、全て僕が住んでいたあの黒人街での出来事。日本もU.K.も変わらないなあ。

そんなところです。駄文失礼しました。早くライブレポ書けってよく言われます。金とるぞこの野郎。



CCTV
posted by Yoshitaka at 06:34| Comment(2) | TrackBack(0) | Diary - Daily Life | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月04日

MY BLOODY VALENTINE Live At Roundhouse

昨年、何の予兆も無しに発表されたMY BLOODY VALENTINEの復活。そして、遂に現実のものとなる、16年振りのライブ。

MY BLOODY VALENTINEの活動期間は、僕達の世代が音楽に興味を持つ遥か前の話。それでもこのバンドはNIRVANAと並ぶくらい、今の若いリスナー達も必ずと言っていい程通る道。実際には触れられなかった割には、馴染みのある様に語られるバンドです。それ程、日本人の感性がShoegazerという音楽にシンパシーを寄せたという事なのでしょうか。

久し振り、と言ってもほんの8ヶ月振りですが、Chalk FarmにあるRoundhouseが今夜の会場。ここは数あるLondonの歴史的なライブ会場の中でも、是非見てもらいたい場所です。古くはTHE JIMI HENDRIX EXPERIENCEやTHE DOORSがライブを行った会場として有名で、建物そのものは改築されて新しいのですが、中に入るとプラネタリウムの様に完全に円形のホールになっていて、剥き出しの天井の梁と暖かな照明がかもし出す雰囲気が、何とも言えず良いのです。

今夜のライブには、実体の知れないものに接近する怖さがありました。

今夜は会場に入ると、入り口で係員達が何かを配っていました。耳栓でした。どうやらそういうことみたいです。あんな笑顔で渡されても、怖いだけですよ。

会場の照明が消されるまで、本当にMY BLOODY VALENTINEが観られるという実感がありませんでした。騙されてここにいるのでは、とさえ。

やがて暗くなり、1人、また1人と現れる、メンバー達。

「I Only Said」が始まりました。どうやら目の前にいる4人は、本当にMY BLOODY VALENTINEの様です。

いざライブが始まってみても感動よりも前に、目の前で演奏しているバンドの姿が信じられないというか、上手く理解出来ないでいました。昨年、同じく再結成したTHE JESUS AND MARY CHAINを観た時にも感じたのですが、頭が ”そんな筈は無い” と否定しているのかも知れません。

バック一面のスクリーンに現われる映像と一緒になって、脳に入り込む音。耳栓が配られただけあって、それは凄まじい音量。MOGWAIやDINOSAUR JR.のライブもかなりの音量でしたが、こちらも凄い。

そうこうしているうちに、「When You Sleep」、そして「(When You Wake) You’re Still In A Dream」とドラマ仕立てに曲が繋がります。憎い演出。

丁度僕の目の前にはKevin Shields。かろうじて、彼は過去1度、PATTI SMITHのライブでシークレットゲストとして登場した時に観た事があります。

Kevinは狂人だと、事ある毎に人は言いたがります。表情というものが殆ど無いこの男の顔は、確かに怖い。正面を向いた目。決してそらさず、空中の一点を静かに見据えています。オーディエンスなんか見えていないのでしょう。もし目を合わせたら、彼の目線が頭の後ろに貫通してしまいそう。

中央には激しく動くリズム隊の2人、両サイドには直立不動のギターヴォーカルの2人。このコントラストの妙が、ステージを1つの生物の様に見せます。

Kevinがアコースティックギターを持ち、始める「Lose My Breath」。青い照明の向こう、幻覚の様にステージに映る、Bilinda Butcherの姿。そして、このコーラス。ただ、美しい。

「Come In Alone」、そして、「Only Shallow」。1stアルバム「Isn’t Anything」と2ndアルバム「Loveless」の曲が織り交ぜられて、と言うのは当たり前ですが、こうして聴くと「Isn’t Anything」はShoegazer、「Loveless」はDream Popと明確に役割分担がされているような気がしました。今ではShoegazerと言えば「Loveless」というのが世界共通ですが、今聴くによりプリミティヴなShoegazerはやはり「Isn’t Anything」の方であったのかなと。

Kevinは曲毎にギターを取り替えますが、全てFender JaguarかFender Jazzmaster。恐らく足元には、幾つものエフェクターが複雑に繋がっているのでしょう。Shoegazer (靴を眺める人) の語源は、ここから来ています。

それにしても美しい。悲しいまでに美しいこの光景は、何処かで観た覚えがありました。

KevinとBilinda。元恋人同士であった2人が、今またステージの両脇に立って一緒に演奏しています。目も合わせず、合図も無しに、見事なまでに同期した演奏。そんな2人の最後を飾ったアルバムのタイトルが「Loveless」だなんて、あまりに悲し過ぎます。

Kevinは天才であるが故、己を痛めつけるかの如く完璧を求め続けました。「Loveless」の製作期間は2年。19箇所ものレコーディングスタジオを使用し、次から次へとエンジニアを雇ってはクビに。レコーディングにかかった費用は5億円を超え、遂に彼はレーベルから追い出されてしまいました。

悲し過ぎる過去との再会。今回の復活がどの様な意志が働いて、またはどの様なタイミングを見計らって実行に移されたかは分かりませんが、本人達の心境は、それこそ想像するに余ります。

「Nothing Much To Lose」では、Debbie GoogeとColm O Closolgの壮絶なリズムセッションが。それに覆い被さる様に、KevinとBilindaのギターの音が空中に散っていきます。

4人とも、冷凍保存されていたかの様に全く容姿が変わっていません。ましてやライブの内容ももちろんの事。その威力、神々しさ、全てが16年という空白を無きものにしてしまっていました。

そんな彼等はまるで、何十年かに一度、訪れる彗星の様。

観る人が観れば、待ち焦がれた瞬間だったのでしょう。僕はというと、前にも書きましたが、 ”まだ観られるチャンスがあるバンド” として全く認識していなかったので、目の前で繰り広げられる光景が不思議でなりませんでした。

寡作なバンドというのは、発表された曲全てが代表曲と言っても過言では無い程。どの曲を持ってこられても、本当に心から参ってしまいます。この凄まじい音量で聴く「To Here Knows When」や「Blown A Wish」の、何と素晴らしい事か。

「Slow」を挟み、予想に反しもう来てしまった「Soon」。幻想的な空気を裂く様にして、一気にキャッチーでダンサンブルな曲が始まり、歓声が上がります。まばゆい光の方へ、一斉に手を差し伸べるオーディエンス。この世界の縮図がここに出来上がっていました。

そして、「Feed Me With Your Kiss」、「Sueisfine」と休む暇も与えられず、「You Made Me Realise」へ。彼等のライブは、始まった時から全てがクライマックスの様なもの。そして更にこうして、惜しげも無くアルバムに収録されていない初期の名曲を、ジグソーパズルの最後のピースをはめる様にして持ってくるところが、意外と人間らしくてまた泣けます。

誰の顔にも優しい笑みが訪れたこの曲でしたが、終わると今度はそのまま各楽器が一斉にノイズを吐き出し始めました。そして、それが延々と続きます。インプロヴィゼーションでもジャムでも何でも無い、正真正銘のノイズ。

顔をしかめ、一斉に耳を塞ぎ始めるオーディエンス。やがて激しいストロボと、瞼の裏の残像に似た中毒性のある映像。

僕はあまりの美しさに、耳を塞ぐこともせずただ、ステージに観入っていました。ここだけではありません。ライブが始まってからここに至るまで、一瞬たりとも目を離す隙など与えてはくれませんでした。視覚、聴覚、全てがこれ程に美しいバンドを、今まで観た事があったでしょうか。

目と耳が侵されていく、この心地良さ。前衛的なアーティスト達がNoiseという音楽に辿り着いた理由が少し分かった気がしました。これは恐らく、胎内の音なのでは。人は、胎内に帰ろうとしているのでは。

途方も無い一枚岩の様なノイズでした。Noiseアーティストのライブでさえ、もう少し展開はあるものですが。

結局、ノイズは30分程も続きました。

丁度、彗星の尾にあたる部分だったのでしょうか。

登場してから退場するまで、MCは一切無し。MCどころか、誰もオーディエンスを意識してなんかいません。PIXIESやTHE MARS VOLTAもそうでした。

Fuji Rock Festival 2008に行く人は、何と幸運なことでしょうか。

90年代初頭を生きた人達にトラウマを与え、消えた、MY BLOODY VALENTINE。

彗星は巡るだけで、新しいものを携えてはいません。

あとは、取り残された僕達が、フォトンにまみれながら進化するなり退化するなり、何か別の生物と化してしまえれば。

あがなえないもの、ここに。



bilinda



kevin



Setlist:

01.   I Only Said
02.   When You Sleep
03.   (When You Wake) You’re Still In A Dream
04.   You Never Should
05.   Lose My Breath
06.   Come In Alone
07.   Only Shallow
08.   Thorn
09.   Nothing Much To Lose
10.   To Here Knows When
11.   Blown A Wish
12.   Slow
13.   Soon
14.   Feed Me With Your Kiss
15.   Sueisfine
16.   You Made Me Realise



Feed Me With Your Noize
posted by Yoshitaka at 19:07| Comment(4) | TrackBack(1) | Diary - Live Review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする