2006年12月31日

始まりを待たずして

年の終わりに、またと無い奇跡が僕を待っていました。

それは僕の働く、日本食レストランでの出来事。いつもの様に営業が終わり、スタッフのみんなで飲んでいる時。常連さん達と一緒に飲んでいるマネージャーが、僕を呼びました。隣には、今まで何度かお見掛けした事のある、長い髪に渋いジャケットを着たいかにもRockな感じの男の人。

その方の名前を聞いて、唖然。

何とその方は、僕がギターを始めて間もない中学生の頃、夢中になっていたギタリスト。何度も雑誌で記事を見かけた、全米ツアー、フェスティヴァル出演等日本人離れした活動をなさっていたあのギタリストだったのです。

”今メンバーを探している” 、 ”今度ライブがあるんだけど” ・・・。雲の上に連れて行かれた様な話を聞かされ、自分は饒舌な方と思ってはいるのですがあまりに突然の出来事に何も喋れず、喉は渇くしタバコは止まらないし。

”来年は” とか ”これが終わったら” とか、何かと区切りを待つのが僕の癖ですが、年明けを待たずして色々と動き始めました。2007年も騒がしい年になりそうです。

帰り道、ふと思い出したのが ”Can you still feel the butterfly?” というフレーズ。JIMMY EAT WORLDの名盤「Clarity」のラストで繰り返される、印象的なフレーズです。今年は、その問いに ”Yes” と言えることが出来た年でした。思春期とか、確か終わっていると思うんですよね。22歳にもなって、こんな気持ちを授かるとは。

初めてギターを手にした時の事や、初めてLED ZEPPELINを聴いた時の事や、METALLICAを観たいが為に親に黙って大阪まで行った時の事や、この国に降り立った時の事。そういう瞬間を僕は絶対に忘れたくない。点と点とを結んで、その先へ伸びる線をまた掛け続けない事には、僕はまたその ”Yes” を見失ってしまう。

その気持ちを持つ事の無意味さを悟ってしまった大人達と、その気持ちを知らずに荒みきった心を繁殖させる子ども達の狭間で、僕達は夢を見る。とても素敵な夢を。

僕達は必ずや華やかに時代を彩り、それを心ゆくまで楽しみ、誰にもそのラディカルな空気を享受させる事無く、跡形も無く消えてみせる。

眠らずに朝が来て、独りよがりの妄想に始まる今年最後の1日。
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2006年12月29日

泣き虫の独り言

絵に描いた様にバーゲンの買い物に何店も周ってみたり、2年以上振りにクラブに行って踊ってみたり、鶏をまたみんなで食べてみたり、クリスマスにも関わらずアニメに没頭している横で眠ってみたりと、怒涛のクリスマス休暇も終わりました。

夜、丁度SIGUR ROSの「( )」がかかっていて、そしてよりによって3曲目のピアノが入ってくる部分で ”泣け、子どものくせに” とか言われて自分でも信じられないくらい泣いてしまいました。

優しさをかければかけるだけはき違えられ、つけ入れられ、裏切られる。優しい人になるなんて損をするだけだと思い込んだ矢先、僕を救ってくれたのはまたと無い優しさでした。いつだろう、こんな気持ちを持っていたのは。いつだろう、こんな気持ちを失くしたのは。

いつも優しく話を聞いてくれる妖しげなバレエダンサー、心遣いの温かいこの家に住むもう1人のギタリスト、かっこいい髪型を仕立ててくれた酒を飲むとすぐ寝てしまう美容師、よく分からないうちに気が付いたら8年来の友人であるバレエ評論家、いつも幸せである事を願ってくれるPiccadilly Circusで寿司を売るパンキッシュな姐御、一緒にバイト先で天ぷらを揚げる工学博士、やっている音楽に似合わずオタク趣味なギタリスト、酒が入ると人格が豹変する優しいドラマー、やる気の無さを標榜するも誰より目を輝かせている別府にいるギタリスト、下ネタを卒業した長崎にいるドラマー、猫をこよなく愛しレタスの致死量を気にする名古屋にいるデザイナー、何かと心をシンクロさせて励まし合える東京にいるかけがえの無い親友・・・。挙げ出したらきりが無いけれども、みんな、いつもありがとう。

僕は周りの人達によって生かされているなと、つくづく。だから優しさを忘れてはいけないなと。

優しさと強さをもらいました。こんな暖かい冬は初めてでした。


全くの私事でごめんなさい。

次からはまた、音楽系ブログに戻ります。



Anyon 7
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2006年12月28日

R.I.P. JB

まさか。もう結構な歳でしたけれど、突然過ぎました。

James Brown。またしても音楽界は挙って、偉大な先人を見送る事となりました。

彼は日本で1回スタッフとして働き、Englandで3回ライブを観ました。CD「Live In Hyde Park」にもなっているRED HOT CHILI PEPPERSの2004年のHyde Park公演では、シークレットでオープニングアクトとして登場。70歳を超えた人とは思えないパフォーマンスは何度観ても惚れ惚れするばかりでした。

御冥福をお祈り致します。


R.I.P. Godfather of Soul, James Brown. We will be missing you.


JB

2004.07.02   England, London, Hammersmith Apollo
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2006年12月22日

Where Fists Dare

Londonに来てからというもの、何故か年の最後に観るライブは必ずEarls Courtでというのが通例となっています。2年前はMUSE、昨年はCOLDPLAYとFOO FIGHTERS、そして今年は・・・。順番的にRADIOHEADで間違いないと思い込んでいたのですが、何故かIRON MAIDENという運びになりました。

日頃の事は忘れて、今日は完全に16歳に戻ってEarls Courtへと向かいます。IRON MAIDENをEnglandで観るという、この上無い贅沢さ。今回が初めてではありませんが、この国のアリーナ級の会場で観る彼等のライブは初めてですね。このバンドが2006年のU.K.に於いて、どれ程の存在であるかをこの目で確認出来る、またと無い機会です。

会場へ向かう地下鉄の中は、JUDAS PRIESTやAC/DCのTシャツを着た 40代、50代と思しき大人達から、TRIVIUMやDRAGONFORCEのTシャツを着た10代の子どもまで完全武装した人達で満員。この雰囲気、一体感、好きですね。

今年の7月にRED HOT CHILI PEPPERSを観て以来のEarls Court、キャパシティー2万人のこの会場は、やはり広い。そして、この会場を何日にも渡って満員にしてしまうIRON MAIDENは、やはり有り得ない。

ニューアルバム「A Matter Of Life And Death」に伴う今回のツアーでは、同アルバム全曲を通して演奏するという思いきった事をしていて賛否両論な訳ですが、取り敢えずこの目で観てみない事には判断は下せません。この国は不味いものは不味いと言う正直な土地柄でもありますし、 ”IRON MAIDENだから何をやっても良い” という訳にもいかないでしょうから。

IRON MAIDENを観るのはこれで4回目。そして、4回目にして初めてスタンディングで観る事が叶いました。見渡す限りのアリーナを埋め尽くす、そして、4階席まであるスタンドをも全て埋め尽くすオーディエンス。80年代には当たり前だったこの光景を未だに見る事の出来るバンドは、もう片手で数えられる程。

6年前の福岡サンパレス、3年前の大阪城ホール、昨年のHammersmith Apolloと同じ様に、UFOの「Doctor Doctor」が聴こえてきました。IRON MAIDENのライブが始まる合図です。

赤いライトに照らされて、廃墟の様なステージセットを背にメンバーが登場。オープニングは必ずニューアルバムの1曲目という定石通り、「Different World」からライブは始まりました。Bruce Dickinsonがいつに無くシックな感じの衣装だったのには意外でしたが、他のメンバーはいつも通り。一旦始まってしまえば、それはIRON MAIDENのライブな訳でして。不安も何も消えてなくなり、これまで観たライブと同じ様に彼等の説得力に参ってしまうのです。ここまで愛せるのも刷り込みと言うか、本格的に音楽に興味を持つ様になった当初に好きになった一ファンの成せる業なのでしょう。

続いて「These Colour Don’t Run」。一切の躊躇も無く、新曲にも関わらずコーラスをオーディエンスに歌わせるBruce。この自信が、ファンをどこまでも付いて行かせているのでしょうね。

ステージ上にはSteve Harris、Dave Murray、Adrian Smith、Janick Gers、そしてNicko McBrain。それぞれのキャラクター性が突出しているのもこのバンドの魅力。Steveはあの鬼の様なプレイでバンドを指揮し、Dave、Adrian、Janickは個性あるソロをそれぞれ担い、Nicoはタイトなドラムでバンドを前進させます。ステージ上にこの6人がいればもう満足なんです。

シングルカットされた2曲に続いては、よりコンセプトに基いたメッセージ性のあるの世界へと。いつもならここら辺で往年の名曲が挟まれてくる訳ですが、今回は違います。それが物足りないと言えばそうですが、IRON MAIDENが現在のラインナップに再結集してもう7年です。新しい試みをしても悪くは無いでしょう。第一これがマイナス要素であればここまでのオーディエンスは集まらないし、その反応も冷たいものになって当然。しかし、どうでしょうこのオーディエンスの満足そうな様子。

ところが、5曲目「The Longest Day」が終わると、Bruceが何やら神妙な顔で話し始めました。どうやら、電源ケーブルから煙が上がり、暫くの間演奏を中断しなければならないとの事。やがてマイクの電源も切られ、パフォーマンスは完全に中断。Bruceはスポットライトを動かしたり、Steveはサッカーボールをオーディエンスに向かって蹴ったりして何とかそれぞれ盛り上げようとします。しかし、Bruceがマイクを使わず喋りたいので静かにしてくれとの手振りも伝わらない程、盛り上がったままの状態のオーディエンス。終わらないバンドの名前を呼ぶコール、拍手。愛ですね。2万人の愛を感じます。

ライブが中断してから、結局20分程時間が経ちました。さすがにファンも疲れを見せてきた頃、ようやくマイクのスイッチが入りました。歓声の中、ライブは「Out Of Shadows」から再開。

この中断さえ無ければ、彼等の確信を持ったこの挑戦的なパフォーマンスを完全な状態で観られたのに。そう思うと残念です。

シングルにもなった「The Reincarnation Of Benjamin Breeg」では、もう既にファンの間で定着しているのかコーラスを合唱するオーディエンス。

でも、正直、昔の曲が聴きたいですね。

律儀に「The Legacy」で「A Matter Of Life And Death」のセットを終え、一旦退場するバンド。そして、一息着かせて始まった、「Fear Of The Dark」。IRON MAIDENだ、ここへ来てようやく。あの合唱は何度体験しても感動的。そして、「Iron Maiden」でEddieが登場。今度は戦車です。このベタさ、ダサさ、Heavy Metalです。愛しています。

アンコールは「2 Minutes To Midnight」、「The Evil That Men Do」、そして、「Hallowed Be Thy Name」といういつもの定番曲で締め。「The Evil That Men Do」はやってくれると思っていなかったので嬉しかったです。

次は久し振りに「The Trooper」で旗を掲げるBruceを観てみたいです。どうぞよろしくお願いします。

満足しています。これは愛ですから。



Where Fists Dare
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2006年12月21日

霧の街から

Anyon 1


Anyon 2


Anyon 3


Anyon 4



昨日は-3度だったらしいです、London。今日も朝から恐ろしい霧で、全く視界が開けません。

近頃あまりに日頃の事を書かなさ過ぎるので心配されました。Trafalgar Squareに飾られたツリーや電飾を眺めながらハトをいじめようとするのを制止しながら歩いてみたり、Leicester Squareに突如出現した遊園地で遊んでみたり、イルミネーションの綺麗なRegent Streetで買い物をしてみたり、サンタクロースの帽子を被ったFreddie Mercuryの銅像を眺めてみたり、オーブンを破壊しながらも美味しい鶏の丸焼きを作ってみたり、念願の「Mamma Mia」を観てみたりと、クリスマス一色のLondonを堪能しています。僕は至って元気です。

「Mamma Mia」は以前から観たかったミュージカルで、なかなか観る機会に恵まれなかったところを救われました。音楽って素晴らしいですよね。先月観た「Mary Poppins」も素晴らしかったですが、こちらはいかにもミュージカルらしい、言ってしまえばベタなミュージカルでした。終盤は少しABBAのトリビュートライブみたいになっていて、ラストにはLondonにちなんで「Waterloo」。実態は遥か昔のものなのに、時代を超越されて愛されるという事は素晴らしい。ABBAも山口百恵も、二度と出てこないから永遠にアイドルでいられるんでしょうね。しかし、これでもうWest Endのミュージカルで観たいものは殆ど観てしまいました。「Mamma Mia」が素晴らしいと言うか、ABBAが素晴らしい。

明日は今年最後のライブ、IRON MAIDENを観てきます。今年も結局たくさんライブを観てしまいました。これからはあまり観なくなるんだろう、と思いつつ年明けからNINE INCH NAILS、INCUBUS、DEFTONESが決まっています。ええ、もうチケット確保しましたとも。

そういえば、NINE INCH NAILSのチケットが余っているんですが誰か一緒に行きませんか。

さて、クリスマスはまた鶏を焼くみたいです。ケーキは何処かに買いに行くみたいです。あと、赤くて辛いものも何かしら作らされるみたいです。みんな遊びに来てね。



Anyon 5
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2006年12月13日

見失ったその先で

日本のバンドが世界で成功出来ない理由、それは、日本人が ”Rock” という言葉を正しく発音出来ないからだ。

昔、どこかでこんな言葉を目にした事がありました。

何故この国の人は、 ”R” を ”L” と発音するのだろうか。

今頃になって映画「Lost In Translation」を観ました。映画に関しては人一倍疎く、観たいと思いつつも観ていない映画がたくさんありまして。

東京が舞台のこの映画。僕はいつも日本に帰ると東京に行きます。地元にいるよりも東京にいる時の方が日本を肌で感じる気がします。あの混沌とした街並と人の群れ、自分が他所者である事を自覚させられる心地良い疎外感・・・。いつもいい刺激になり、つい滞在日程を延ばしてしまうのです。

そんな東京に放置された外国人の孤独が、この映画では描かれています。境遇としては、Londonにいる僕と同じかも知れません。しかし、Londonと東京では何もかもが違います。

移民の多いLondonでは、誰が何処の国から来ているかという事など無関心。様々な人種が適度にいがみ合い、適度に交流をして、巧い具合に成り立っている街。時折、人種差別や危ない目にも遭いながらも、僕はこの街でこの映画に出てくる外国人の様な孤独を感じた事はありません。

日本に行くと、 ”自分が外国人である事” では無く、 ”自分が日本人ではない事” を自覚させられる。

確かにその通りなのかも知れません。

僕はLondonで、 ”自分が日本人である事” を自覚させられました。中国人も韓国人もやはり日本を嫌っていたし、南米の人達はやはり日本に友好的でした。でも、それらの民族意識の介す必要の無いところで仲良くなる事が可能だという事を教えられました。

東京はどうでしょう。野望と失望と絶望の犇く街で、日本の外から来た人達は何に共感し、何に嫌悪感を覚えるのでしょう。

この映画を通して描写されていた様に、 ”translation” というプロセスの中での ”lost” は、言語間だけで無く、人間関係においても存在するもの。そしてそれらは、個人単位で容易に払拭出来るものではありません。しかし、それらの意識の介さぬ場所で、長い人生の中でほんの短い瞬間でも、全てを超えて通じ合える何かがあると信じて。

日本を外から見つめ直すと共に、日本の外に出て来た事の使命を感じさせられた映画でした。
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2006年12月06日

聖地のシンボルを巡って

MUSEが来年の6月、Wembley Stadiumでライブをすると発表しました。

よく混同されるのですが、Wembley Stadiumと僕が近頃NEW ORDERやTOOLを観たWembley Arenaとは隣接する違う建物です。キャパシティーはWembley Arenaが約1万人なのに対し、Wembley Stadiumは約8万人。1986年にQUEENが最後のライブを行った場所としても有名でしたが、2002年から改築工事が始まり、今年完成する筈だった予定が随分と遅れをとって未だに完成を見ないままの状態が続いています。

改築工事終了後のこけら落とし公演はBON JOVIが務め、その後にTHE ROLLING STONES、ROBBY WILLIAMSと続く予定でした。しかし、完成が間に合わずアーティスト達は会場変更を余儀なくされ、僕のささやかな夢であったWembley StadiumでTHE ROLLING STONESを観るという夢も儚く消え去りました。

取り敢えず、あの会場でライブをするという事は世界的な名誉であるのです。U2、GUNS N' ROSES、METALLICA、OASIS・・・。世界的な人気を誇るアーティストでなければあの会場でライブをする事は物理的に実現不可能なのです。

ちなみに、THE DARKNESSがデビュー当時、改築工事終了後のWembley Stadiumで初ライブを行うのは自分達だと公言していましたが・・・。それどころか今ではライブ自体出来無い悲惨な状況に。

取り敢えず、あれだけ今のMUSEを批判しておきながら、観たいです。一度でいいから、あの会場でライブが観たい。

しかし、現時点では改築工事終了後の初ライブがMUSEとなってはいますが、これが果たしてこけら落とし公演となるのかどうかは現時点では不明です。それに、今度もまた ”完成しませんでした” という確率も充分にあります。

ていうか、折角GENESISが再結成したのでそちらにお願いすればいいものを。

どちらにせよ、地元Englandのバンドが務めて欲しいものです。
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2006年12月04日

姐御

世間で彼女程、 ”姐御” という呼称が相応しい存在は他に見当たりません。



Artwork 50



GWEN STEFANIのニューアルバム「The Sweet Escape」。

今の若い人達は、彼女を普通のアイドル歌手だと思っている様で、驚きです。彼女がかつて由緒正しきOrange County出身のバンドNO DOUBTのヴォーカリストだった事も、少しずつ昔の事になっていっているみたいですね。

渾然一体とした持てるサブカルチャー精神を余す所無く注入した前作「Love Angel Music Baby」が世界的に成功したお陰で、本人の意向とは裏腹にソロの地位を確立するに至り、NO DOUBT復活は遠のいてしまいました。しかし、そんな事を完全に忘れ去らせてくれる程、彼女の曲は素晴らしいものばかりでした。

オープニングの「Wind It Up」、エキセントリックなかっこよさを通り越して少し痛い印象を受けましたが、後日テレビ番組でこの曲を歌うGwen Stefaniを観た時に安心しました。やはり彼女はRock出身の人。表現力、演出力、観せ方のレベルが凡百のR & B、Hip Hopアーティスト達とは次元が違います。

KEANEのTim Rice-Oxrayとの共作「Early Winter」や、シングルカットされた「Yummy」が彼女の曲の割には大人しい。本作は前作よりも随分ストレートな作りになっていて、全体を通して聴き易い反面、前作収録の「Hollaback Girl」や「The Real Thing」の様な一度聴いただけで耳に残る曲があまり無いのが残念です。そこが彼女の図った前作との差別化なのかも知れませんが、どうしてもアルバムの印象では負けてしまっています。

このニューアルバムもまた売れに売れている訳でして、NO DOUBT復活はまた少しの間おあずけになるのでしょう。それよりも、今は彼女をライブで観てみたい、この楽曲を生で、エキセントリックな演出と一緒に聴いてみたいと思う気持ちの方が勝ります。

しかし、あれだけ日本文化に入れ込んでいるアーティストも近年珍しいですね。前作は原宿と日本人の女の子がテーマでしたし。そんな彼女ですから、ソロではまだ実現していない来日公演を是非、行ってもらいたいものです。

私事ですが、彼女が原宿に興味を持ってくれたお陰で、僕は素敵な出会いを経験する事が出来ました。僕がミュージシャンに憧れる理由はそこです。本人の窺い知る事の無い所で、多くの人に生きるインスピレーションを与えている。そんな存在が、こんな時代だからこそ必要なのではないでしょうか。
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2006年12月03日

The Last To Reunion

元SOUNDGARDENと元RAGE AGAINST THE MACHINEのメンバーが結成したAUDIOSLAVE、元GUNS N’ ROSESと元STONE TEMPLE PILOTSのメンバーが結成したVELVET REVOLVER等、前書きだけでも凄まじい世に言う夢のバンドは数多く存在します。しかし、Rock史上に置いてその魁となったバンドと言えば、このバンドを差し置いて他にいないでしょう。

元KING CRIMSONのJohn Wetton、元YESのSteve Howe、元EMERSON LAKE & PALMERのCarl Palmer、元THE BUGGLESのGeoff Downesが1981年に結成したバンド、ASIA。70年代、PINK FLOYDと共にProgressive Rock四天王と呼ばれ世界中で空前の成功を収めていたバンドであるKING CRIMSON、YES、EMERSON LAKE & PALMERのメンバーが集まったとあって、結成当初からその前評判は相当なものでした。

そして発表された、歴史的名盤「Asia」。当たり前の様に世界中で売れに売れたこのアルバムは、例によって僕が中学生の時に母親から譲られた何枚ものレコードの中の1枚でした。LED ZEPPELINやYESと一緒に聴かされた、僕にとっても懐かしいアルバム。発表されたのは僕が生まれる前の話ですがね。

そして、世界中への衛星同時中継という、音楽業界初の試みが行われた伝説の初来日公演には、僕を身篭った母親は行けず断念。そして時は経ち、デビュー25周年を記念し奇跡のオリジナルラインナップ再結集。ここで、親子2代に渡る夢を叶える事が出来ました。

会場は意外にも、中規模のShepherds Bush Empire。今再び動くとなれば、Wembley Arenaくらいは軽く埋められる程のバンドだとは思いますが。

チケットが即日完売しただけあって、ただでさえ狭くて好きではないあの会場が、更に身動きの取れない状態に。Steve、Carl側の観易い位置を何とか確保し、開演を待ちます。

あの有名なASIAのロゴがバックに登場し、いよいよライブが始まります。Steve、Carl、Geoff、Johnの4人が登場。そして、意表をついて「Time Again」から始まったライブ。

彼等がもう50代、60代の人なので、随分と落ち着きのある演奏になるだろうと思って観ていました。取り敢えず、Steveのギターはもちろん、GeoffのシンセサイザーやJohnのヴォーカルも割と余裕を感じさせるものでした。しかし、Carlのドラムだけ有り得ない。

僕がまず初めに好きになったProgressive Rockバンドは、YESとEMERSON LAKE AND PALMERでした。今年の夏、長年の願いであったEMERSON LAKE AND PALMERのKEITH EMERSONをライブで観る事が出来、1人とは言えこれでもかとEMERSON LAKE & PALMERの曲を演奏してくれてとても感動しました。そして今夜は、Carlが目の前にいます。感動。この感動を分かち合える同年代の人はまず見付からないでしょうけれども、そんな事はどうでもいいです。

続いては「Wildest Dream」、「One Step Closer」と、挨拶代わりの代表曲を演奏する彼等。今こうしてステージ上で演奏している彼等を観て、改めてどう演奏していたのかとい事を再確認しました。特にJohnのベース。彼のプレイはシンプルな様に聴こえて、かなり技巧的な事をやってのけていました。

ここで、Carlがドラムセットを降りてマイクを取り、オーディエンスに話しかけます。今日は、AISAの曲はもちろん、各メンバーが在籍したバンドの曲も演奏するとの事。そして、まずはこの曲、とSteveのギターを指差し、ドラムセットに戻って行くCarl

「Roundabout」。YESです。

2年前、僕がYESの結成35周年記念のライブを観た時は、この曲はアコースティック・ヴァージョンで演奏された為、オリジナル・ヴァージョンが演奏されるのを聴くのは今日が初めてです。Chris Squireによるあのテクニカルなベースラインをなぞりながら、綺麗な歌声を聴かせるJohn。YESのJon Andersonと声質も似ていて、雰囲気も良いです。

オリジナル活動期にも、こうして各メンバーが在籍したバンドの曲をライブで演奏していた彼等。冷静に考えてみると、ASIAは1981年のデビュー以来25年間存在してはいましたが、この4人が揃っていたのは僅か3年程、発表したアルバムは2枚だけ。手持ちの楽曲も少ないんですよね。

ちなみに、ASIAが世界的成功を収めたと時を同じくして、Steveの後任にTrevor Rabinを迎えたYESは「90125」、KeithとGregがCarlの代わりにCozy Powellを迎えて結成したEMERSON LAKE & POWELLは「Emerson Lake & Powell」をそれぞれ発表して同じ様に成功を収めました。当時のシーンを形成していた各人達がどれだけ才能を持っていたかを裏付ける事実です。ここら辺のアルバム達を聞くと、70年代Progressive Rock出身のミュージシャン達がどの様にして80年代のシーンを構築していったかというその過程がよく分かります。この系譜が、既に登場していたJOURNEYやBOSTON等と触発し合い、TOTOやFOREIGNER等へと繋がっていく訳です。

しかし、その直後にJohn、Steve、Carlが脱退し、1人残されたGeoffはJohn Payneを迎え、その後EMERSON LAKE & PALMERのGreg Lake、TOTOのSteve Lukather、SAVATAGE
のAl Pitrelli、布袋寅泰等数々のミュージシャンをスタジオ、ツアーでメンバーに迎え何とか頑張ってきたのですが、低迷したままの状態が続いていたのが現状です。

好きなProgressive Rockの話になると、無駄な知識をひけらかして話が長くなり、どうもいけませんね。

「Without You」、「Cutting It Fine」等、再びASIAの曲に戻り、数曲演奏したところでまたCarlが前へ。インターミッションに入る前に、もう1曲。今度は僕の曲です、みたいな事を言いました。

向こう10分間、ドラムセットに座るCarlから目が離せなくなりました。EMERSON LAKE & PALMERの「Fanfare For The Common Man」。この曲をライブで聴けた事はもちろんですが、とにかく彼のドラムが有り得ません。

RUSHのNeil Peart、DREAM THEATERのMike Portnoy、SANTANAのDennis Chambers・・・。今まで世界にその名を知らしめるドラマー達の数々を観て来ましたが、今日を境に、今までライブで観た中で一番素晴らしかったドラマーはCarlと言う事に決めさせていただきます。前述の名ドラマー達の記憶が薄れる程、Carlのプレイは有り得ません。あのタイム感、手数、足数・・・。56歳ですよ、彼。異常です。

インターミッションを挟み、「The Smile Has Left Your Eyes」で始まったライブ後半。この曲は個人的にもかなり好きな曲。まさかライブで、この4人で演奏されるのを聴く日が来るなんて夢にも思いませんでした。嬉しい限りです。

「Don’t Cry」を挟み、続いてはJohnの曲、とまたCarlからの通達が。

今度はKING CRIMSON、という訳で、「In The Court Of The Crimson King」。Robert Frippのギターで無いとどうもあの整合感が欠けていて白けてしまいますが、Steveが演奏するこの曲というのもレアというか豪華な組み合わせなので良しとしましょう。

またしても僕の好きな曲、「Here Comes The Feeling」を挟み、今度はGeoffの曲という事で、路線からは随分外れますが・・・。そうです、Rockを知らない人、音楽に興味の無い人でも必ず何処かで聴いた事のあるあの曲、THE BUGGLESの「Video Killed The Radio Star」です。和やかでコミカルな一時が訪れました。今思えばここが、70年代と80年代の決定的な違いなのかなと思いました。

「Only Time Will Tell」、「Sole Survivor」と代表曲が続き、本編は終了。バックに写された幻想的な映像も相成って、豪華なライブが楽しめました。

アンコール、まずはJohnが出て来て「Rise Easy」を。そして、待ち兼ねた1stアルバム「Asia」のオープニング、「Heat Of The Moment」。オーディエンスに合わせてコーラスを何度も繰り返すバンド、感動的です。

60年代から90年代まで、あらゆる時代のバンドが再結成したり全盛期のメンバーで再結集したりしてツアーをし、そのどれもが温かく迎えられるありがたい時代になりました。英米対立の消滅や、Grunge、Alternative世代のイデオロギーの崩壊が原因なのでしょう。しかし、00年代の個性を問われると正直微妙、というところが現在の課題なのではないでしょうか。

ライブが終わり、ふとそんな考えに陥ってしまった僕ですが、今夜は本当に素晴らしいライブでした。この後、来日公演を控えている彼等ですが、何と全公演ソールドアウトだそうです。

音楽史上に残るライブ、「Asia In Asia」から23年。遂に万全な体制で来日するASIA。日本で観られる人が羨ましいです。



The Last To Reunion
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